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35 地方による体型の違いと文通を続けるコツ

「考えたことが無い訳じゃないのよ。だってここにやってくる学生は各地からですもの。皆が皆、帝都近郊に住んでいる女性達の様に胸やお尻を強調する様な形にできる訳ではないのよ」


 叔母曰く。

 南の出身の学生は全体的に背が高く、そして胸が小さい。

 腰は大きい場合もあるが、その限りではない。

 一方、北の女性は胸も腰もたっぷりしている。

 ただ、歳をとると腹が出やすいらしい。


「そして中央部の草原では、全体的に小柄で膨らみが少ない体型の子が多いのね。あとその辺りだと、そもそも普段から下履きを使っているから長いスカートが苦手、ということもあるし」

「確かに街中では各地の服が見られますものね」

「そう。だけど貴族の夜会などでは、帝都近郊のそれに合わせられてしまうの。そうすると、去年の合同祭の時のヒロインの様に、あちこちに詰め物をしたり、腰をぐっと締めないといけない訳」

「ヒドゥンさんは締める程ではなかったと聞きましたけど」


 そう。

 手紙で彼は、自分の腰が女性のコルセットですんなり入る程度だ、と言っていた。

 だからあの時使っていたのはともかく胸パッド腰パッドというものばかりだ、と。


「あらずいぶん仲良くなったものね」

「話は合うんですよね」


 ただ、実際に会うことは無いのだが。


 手紙は一月に一回の割合で往復している。

 よく続くわねえ、と既に脚本の件で仲良くなった第五男子との文通は止めてしまったエンジュが呆れた様によく言ってくる。

 そりゃ最初から飛ばすからだ、とはあえて言わない。

 それに向こうの相手はどうもエンジュが財団の娘というところに目をつけている感が強かったのだという。

 そういう姿が透けて見えだした頃から何となく嫌気がさしたらしい。

 それに比べると、どうも私とヒドゥンさんの文通は、ヘリテージュ辺りに言わせると「ご隠居の様なテンポ」らしい。

 いやまあ、だからこそ続くのだろうけど。

 

「書いてくる内容が面白いんですよ」

「それだけ?」

「それだけですよ」


 他に何があるというのだろう?



 そうこうしつつ、二年の冬には暖かい南東のキリューテリャの元へ、今度はリューミンと一緒に出かけた。

 冬はセレは自宅に戻るのだという。

 同じ辺境であっても、ちょうど反対の位置にある地域。

 特に海を中心とする生活にリューミンは目を白黒させていた。

 考えてみれば、あちこちにお世話になるのなら、リューミンを冬に誘った方がいいのだ。

 彼女は冬は寮に残留組なのだから。


「でも一度は秋から冬の生活も味わって欲しいわ」


 そう彼女は言う。


「私も向こうの箱の暮らしは気になるから、卒業したらお願いしてもいいかしら」

「無論よ! 学生のうちは休みが短いから戻る必要が無いと言われるけど、もし貴女が来るなら、半年くらい居着いてもらって、冬支度から春の祭りまで体験してもらうわよ」


 卒業後の楽しみが一つ増えるというものだ。 

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