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24 乳姉妹との再会

 冬の休暇にはさすがに家に戻った。

 この時には家からポーレとゲオルグが迎えに来た。

 駅までは皆と一緒だった。

 鞄一つの荷物とかさばらない程度の土産を持って、乗り合い馬車に揺られて行く。


「リューミンは残留組なのね」

「向こうは雪で支線が止まることがあるからって」

「残念だろうなあ、向こうの家族は」


 だろうな、と夏に会った彼等を私も思い出していた。

 あれは本当に楽しかった。


「それじゃよい年を!」

「よい年を!」


 言い合って、それぞれの地方に向かう停車場へと向かった。

 すると暖かそうな格好に身を包んだポーレが大きく手を振っていた。


「テンダー様あ」

「ポーレ!」


 私は駆け出していた。


「元気だった!」

「また戻らないのかと心配でしたよ~」

「夏はごめんね。でも新年は一応家で過ごさなくちゃ」


 そして既に取ってあった客車にまた乗り込んだ。


「皆二等でもいいのに」


 夏のことを思い出し、ぼそっと口にした。

 すると。


「「それは駄目です」」


 二人の声が揃った。


「少なくとも、自分がついている以上、ちゃんとお嬢様を一等車でご無事に帰さないといけません」


 ゲオルグは――以前はあまり気付かなかったが、なるほど真面目なんだなあ、とふと思った。


「それに私もテンダー様と久しぶりに沢山話したいです!」


 ポーレのその言葉には、使用人的にはどうか、という視線が彼から放たれたが。



 走り出した列車の中で、先に私はポーレとフィリア宛てのお土産を渡しておいた。


「戻ってからのことが今一つ想像できないので、今のうちにね」

「そうですね…… やっぱりテンダー様が居ないと伯爵家の仕事も私はつまらないです……」


 ポーレはしゅんとなる。


「そう言えば最近はどう? 東の対の人達は」


 私は妹と、彼女と一緒に過ごしている両親のことを尋ねた。


「ああそうですそうです、聞いてくださいよテンダー様!」


 ぐい、とポーレは身を乗り出した。


「最近向こうのお嬢様が東だけでなく、本館にお友達を呼ぶ様になりました」

「本館に?」


 本館は、朝食と正餐の時にだけ行く場所だった。

 それは基本的には自分もアンジーも同じはず。


「何でも奥様が訪問した先の同じ年頃のお嬢様方をお招きになって、お茶会を、と」

「……何だか大変そうね」

「大変なんですよ! 十二、三のお嬢様方が、奥様方を真似たお茶会を開くから、と招待状が飛び交うわ、それまで真面目にやって来なかったピアノを弾き出すわ、ドレスはこれがいいあれがいい、って型録を奥様と首っ引きで……」

「で、それにメイド達が皆かき回された、と」

「そうなんですよ……」


 はあ、とポーレはため息をついた。

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