表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界からの勇者召喚 失敗!  作者: 猫宮蒼
一章 ゲームでいうところのありがちな追加要素

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/232

きっと異邦人だけの感覚



 合間合間に魔術師たちの方の強化をしつつも、ステラたちもようやく王都へ行く事ができるようになった。

 転移装置を使ってダンジョンの一階層へと来たものの、流石に王都となれば気にもなるので一度ダンジョンの外に出る。そうして見た街並みは――


「うーん、普通」


 ある意味とても失礼な感想だが、想像していた範囲内という点でとても普通であった。

 とりあえずお城が結構近くに見えるな、というのが次に思った感想だろうか。


 こちらの世界ダンジョンを中心に町だの村だのを作ってるわけだし、城に至っては一番大きなダンジョンのあるところ、を選んで作っている。今の所ここが最大かな? と思って作ったとしても、その後他に大きなダンジョンがあればそちらに城を作り、今までの城は他の貴族に下げ渡されるとかいうわけわかんない所だし、そもそも魔物が外を闊歩しているわけでもない。外敵がいない、という意味で考えると城とかまぁ、場所はどこでも大差ないのかもしれない。


 戦争とか起きたらどうなるのかしら……とは思ったが、流石にそんな物騒な質問はするにしても場所を選ばないとまずい。


 ただ、思っていたよりは探索者らしき人々の姿が見受けられる。


 今までのダンジョンでも直接関わることがなくても遠くで見かけたりだとかはしていた。けれども国最大のダンジョン、となるともしかしたら難易度も他と比べて高いだろうし、もしかしたら実力がまだまだ……って感じで実はそこまで探索者もいないんじゃないかしら、とも思ってはいたのだ。

 けれどもそんなステラの予想を裏切るように、王都の通りには武装した探索者らしき人物がざっと見ただけでも結構な数いるし、立ち並ぶ店もかなり賑わっているようだ。


 寂れてたら逆に王都どうなってんの……? となるわけだし、そこはあるべき姿として安心すべきだろうか。


「へー、他のダンジョンで見かけた探索者よりも何ていうか……いかにもって感じするな」


 眺めていたクロムがぽつりと呟く。


 年齢にばらつきはあれど、確かにそこかしこで見かける探索者たちは何というか……歴戦の戦士、といった感じのオーラがあるように見える。他のダンジョンで見かけたまだまだここに来るには少し早いんじゃない? と言われそうな探索者たちと比べると、明らかにレベルが違うと言ってもいい。


(ファンタジージャンルにありがちな、冒険者ランク、みたいなのに当てはめるなら今までのダンジョンで出くわした探索者たちは精々CとかB、その中に一つ二つAが混じってた、みたいな感じだとして、ここら辺はAがむしろ普通。その中で更に異色を放つ、みたいなのでSってところかしら)


 彼らが身に着けている装備もパッと見ただけでいい物だとわかる。鎧の素材もそこらで手に入るようなものではなく、むしろ何かの魔物の素材とかですか? みたいなのが多い。


 そういった探索者たちと比べると、ステラたちはある意味で浮いている。探索者ではなく普通の住人です、という雰囲気でしかない。ただの住人ではないと思えるのは一応武器を所持しているからだ。

 こちらが彼らを何となく眺めている間、彼らもこちらに気付いたのだろう。直接何かを言ってくる雰囲気ではないが、それでもちらちらと視線が向けられているのは感じ取れた。


「ま、俺たち見た目だけなら明らかに場違いだもんな」

 生温い笑みを浮かべるベルナドットに、そうでしょうね、とキールが頷いた。

 内心で一番場違いなのぼくですけどね! とキールが叫んでいる事など知る由もない。

 ステラたちは見た目が場違い感あっても実力でここまで来たが、キールはどちらかといえばステラたちに便乗しただけだ。場違い感をより一層実感するのは言うまでもなかった。


「先にちょっと王都散策してみてもいいかしら?」

 思ってたのと大体違わなかったとはいえ、だからといってすぐダンジョンへ、というのもなと思ってステラはキールに声をかける。

「それは勿論。ぼくも少し興味があります」

 王都に来るだけ来ておいて、ダンジョンには行かない、なんて言われれば流石に文句を口にしたかもしれないが、ステラたちはダンジョンに行くつもりはある。ダンジョンから帰るとなると大体転移装置で拠点のあるグリオ農村にすぐさま戻るので、ダンジョン探索を終えてから王都を見るよりは先に見た方がいいだろう。そもそもダンジョンから帰る時に見回る元気があるかも疑わしい。


「じゃ、とりあえずいくつかのお店見てきましょうか」



 ――物流、という意味では王都が栄えているのはわかる。

 ダンジョンの規模が多く、そこから持ち出されたアイテムのいくつかが売りに出されたりしているし、同時にダンジョンへ向かう探索者のための武具や防具、薬の類なども種類が豊富だ。


 けれども、栄えていると思えるのは探索者向けの店が多く、一般向けとなると正直他の街などと大差ないようにも思えた。

 しかしそれも当然なのかもしれない。

 ステラたちの世界のように王都だとかの栄えて当然であるべき場所と比べてこちらの成り立ちは異なる。

 探索者にとっての物流はそれこそ豊富であっても、それ以外の一般向けの店は言ってしまえばある程度の条件を満たして転移装置を使って他の街だとかに行けばどうとでもなる。


 転移装置を使える商人が多少物のやりとりをする事はあっても、せっせと王都に物を運ぶ必要はそこまで存在しないのかもしれない。


 探索者ギルドで王都のダンジョンについての情報を調べてみれば、どうやらここのダンジョンは入るたびに中が変わるタイプのダンジョンであるらしい。それ故に地図はありますがあまり役には立ちませんよ、と職員に言われてしまった。

 それでも一応地図あるのね、と言えば中が変わるといっても過去同じフロアになったりしたものがあるかもしれないし、そこから法則を見いだせるかもしれないから、とも言っていた。


 毎回中が変わるといっても、確かに前回と違うけど前々回あたりと同じフロアがあった、なんて事はあるかもしれないので一応地図の情報提供は募集しているとの事だ。


「あぁ、確かに毎回中が変わるって言っても、最初に入った探索者の一時間後に別の探索者が入ったりした場合更に変化が発生するとかわからないものね。人が入るたびにどこかに変化が加わる、とかだと無制限に変化し続けるかもだけど、そうじゃなくてある程度のタイミングで足を踏み入れたのをキッカケにダンジョンの中身が決定される、とかあるかもしれないとか考えると地図はあって困るものでもない……のかしら?」


 人が入るたびに変化判定入ってダンジョンがそこから更に変形していったら中にいる探索者が一応地図を描いていたとしても無意味に終わるだろうけれど、流石に入ってから中身が変わる、といった話は聞いた事がないらしいので変化するにしても恐らくある程度のタイミングで決定されていると考えるべきか。


 一応今までにこういったフロアがありましたよ、みたいな地図が取り扱われているが、恐ろしい事に他のダンジョンの地図と比べるとその量が既にシャレになっていない。

 過去の地図全部入手するとなると、まず間違いなく図鑑だとか辞典だとかの分厚さと並ぶだろうし、下手な鈍器より攻撃力が高そうなものになるのは明らかだ。


 ここから法則性を見いだせとか言われても正直面倒でしかない。

 面倒だが、しかしそういったものを調べようとする物好きは一定数いるらしい。正気だろうか。


 ちなみにこのダンジョン、かつて過去にクリアした者がいるので一応全五十階層ある事は確実だった。


 まぁ毎回内部が変わるダンジョンの五十階層分の地図を、となればそりゃ正気を疑うレベルの地図があってもおかしくはない。とはいえ、五十階層付近の地図はあまり数がなかった。過去にクリアしたものがいるとはいえ、今あのダンジョンに足を運んでいる探索者の誰もがクリアできているわけではないらしい。


 ギルド職員は「えっ、ここに来れたって事は一応ダンジョンに行けるんだろうけど、えっ、そんな装備で大丈夫か……?」というのを顔に隠す事なく出していたが、流石に口に出すまではしなかった。しかし顔は雄弁に語っている。何かの間違いじゃなかったりする……? みたいなちょっと不安げな何かも混じっていたが、ここのダンジョンについて聞きたいの、と言ったステラの質問には答えられる範囲で答えていった。


 一応このダンジョンをクリアできている探索者の話もさらっとだけど伝えておく。

 数日前にダンジョンに行ったとの事なので、恐らく今頃は三十階層かそれより更に下の階層にいるだろうとも。

 五十階層あるダンジョンをどれくらいで攻略するのが普通なのかはわからないが、何度かクリアした事のある探索者たちは大体十日前後で戻ってくるとは聞いた。



「安全地帯があるのって階層主倒した次のフロアよね。階層主って大体区切りのいい階にいるけど……」

「あぁ、このダンジョンは階層主の次のフロア以外にも安全地帯と呼ばれるフロアがあるみたいなんですよ。なので、十階層ごとに休憩するってわけでもないみたいです」

「そうなの?」

「えぇ、ただ、内部が毎回異なっているので、安全地帯にあっさり行ける時もあれば無い場合もあるので……」

「そうなのね」


 職員の言葉に相槌を打つ。

 毎回ルート固定ならまだしも、内部が前回と違うとなれば地図はあまり頼りにならない。次の階層へ行くべく階段を探すのは言うまでもないが、すんなり次の階層への階段が見つからない場合それこそ全体的に練り歩く結果になってしまうだろう。更には魔物との戦いもあるし、ダンジョンの中には罠もある。

 他のダンジョンと違って今魔物出ないしここらで少し休むか……とかできればいいが、恐らくはそう簡単にいかないだろう。


 安全地帯でしっかり休息をとらないと、次に休憩できるのはいつになるかわからない、なんて事はザラにありそうだ。


 十階層ごとに休憩するにして、単純計算で五日目にはクリアできてるような気がするが、実際の所は十日前後。規則正しく休めればいいが、場合によっては中々休めない場合であればうっかり安全地帯で泥のように眠りについて気付いたら一日経過していた、なんて事もあるのかもしれない。

 まぁダンジョンでいつも通り規則正しい生活しようなんて考えるのはステラくらいかもしれないが。


 ある程度ダンジョンの情報を聞いたのでステラとしてはこれ以上用はない。

 店も大体見て回った。

 武具やら防具は中々にいいお値段していた。

 初心者向けダンジョンに行く探索者が強い武器欲しーい! ってなって仮に王都に来る事ができたとしても、恐らく金が足りないのではないか、と思う程度にはいいお値段していた。


 ついでに飲食関係の店も見てきたけれど、ここの名物です! みたいなのは見なかった気がする。嘘でしょ名産品とかないの……? とは思ったが、いかんせんステラたちの世界とは成り立ちが異なるのでないのが普通なのかもしれない。

 いや、樹林街ポルトカリとかはオレンジの実使ったメニューとかそこそこあったな……と思い返す。


(うーん、そもそも転移装置で行こうと思えばひゅんっ、で着いちゃうわけだし、旅行とかいう概念あるのかしらここ。そう考えるとその土地限定、みたいな商品とかなくても、まぁ……うん、個人的にとても微妙だけれども、えぇ、はい)


 自分に言い聞かせようとしてもどうにも納得がいかない。けれどもごねてもどうにかなる話でもないのでどうにか胸の中にしまい込んだ。


 一通り見て回って満足……したかと言われるととても微妙だが、まぁこれ以上見て回るものもなさそうなのでステラたちはダンジョンへと向かう。


「ここのダンジョンで待つ、なーんてアミーシャは言ってたけど。もしかして今律義にダンジョンの中にいて私たちの出待ちとかしてるのかしらね?」

「いや……流石にいつここに来るか、なんて知らせてないし、流石にそれはないだろ……」

「そうよね。いつ来るかわからないのにそれでも前のダンジョンとかは待ち構えてたっぽいから……もしかしたら安全地帯とかそこら辺でずっと寝泊まりしてたりするのかしらね」

「けど転移装置なくてもダンジョンから転移してただろ、あれでもしかしてどうにかしてるんじゃないか?」


 ベルナドットとそんな会話をしながらもダンジョンへとやって来る。

 思えばアミーシャのあの転移能力もどういう感じで使えるものなのか謎のままだ。

 多分ダンジョンから脱出してるんだろうな、とは思うがもしかしたら安全地帯の転移装置がある場所に移動しているだけかもしれない。

 もしくは、こちらに何らかの印でもつけてそれを目標としてワープしている可能性もある。

 けれどもルクスが何も言っていないので、そういった何かがこちらに仕掛けられているとも思えない。


 面白がって黙っている説もないわけではないが、まぁないだろう。


 ともあれ、ダンジョンの中に入ればどこかでアミーシャと遭遇するだろうな、とは思う。

 前回あんな言い方で撤退したのだ。これで出会わなかったらむしろ色んな意味で台無しである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ