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異世界からの勇者召喚 失敗!  作者: 猫宮蒼
一章 ゲームでいうところのありがちな追加要素

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微妙に分かり合えない部分



 パルシア王国。

 町や村の名前はダンジョンに行く際に耳にしていたけれど、国の名前は聞いた事がなかった。

 だからこそどこ、それ。とキールに問いかければ、この大陸だという。


 つまり、アミーシャはこの大陸唯一の国の、最大規模と称される城が置かれたところのダンジョンへ来いと言っていたわけだ。


 ダンジョンができてから町や村を作るというこの世界の成り立ちは相変わらずヘンテコだなぁと思わなくもないが、そういや国を作る時、ダンジョンの規模とか最初から、それこそ入る前からわかるものなのだろうか?

 その疑問もキールに問いかければ、勿論最初からわかるはずがないと返された。


 では、国はどうやって? と聞けばまず最初に大陸の中で一番大きいだろうと思われるダンジョンがある場所に城を建設し、そこを王都とするらしい。

 けれどもその後他のダンジョンの方が大きいとなれば、そちらに城を建てる。

 最初にあった城はどうするのかと思えば、そちらは領主や貴族が暮らす事になるらしい。


 なんというか非効率的だな、とステラは思ったが、この世界ではそれが普通の事らしいので何も言わなかった。自分たちが暮らしている世界であれば、何でわざわざダンジョンの近くに王族も一緒に住まわせるのかと突っ込むところだが、こちらの世界ではそれが当たり前なのだ。異世界のあれやこれやに口を出してまで改革しようとまでは思わない。

 とはいえ、内心でヘンテコだなぁ、と思うのはどうしようもない事だ。


 正直人類史の最初の部分を知りたいなとも思った。

 ステラが転生する前の世界であれば、動物が進化して人間になっただとか、まぁそこら辺はさておくにしても最初は定住していなかったはずだ。基本的に狩猟民族。その後は他の大陸から農耕技術などが入ってきて、稲作だとかをするようになって、そこで土地に根付くという流れになったわけで。


 ダンジョンが出来て、その周辺に人里を形成するのがこの世界の普通であるというのなら、一番最初にこの世界にダンジョンが出来る前はどうだったのだろうか、と考えてしまう。


 ダンジョンができた時代にもよるけれど、この世界の人間も進化論に則って生じたのであれば、ダンジョンは人類が発生するよりも昔から存在していたのかもしれない。

 人間の後にダンジョン、だと最初の頃は定住していなかった説も出てくる。


 いや、アビリティとかいう神の祝福なんてものがあるくらいだし、もしかしたら神子のようなものがいた可能性もある。神の声を伝えて、その結果ダンジョン周辺に里を形成……無い、とは言い切れない。

 とはいえそこら辺まではキールも理解できていないようだ。アズリアの書庫にあった本を全て頭の中に叩き込んだルクスもそこら辺把握していないようなので、実際にどうなのかを知っている存在がいるかどうかも疑わしい。


 ……いや、ステラたちが暮らす世界みたいに世界ができた時から生きてる神族がいるとかならまぁ、そういった存在に会う事ができれば最初期の頃を直接聞かせてもらう事も可能だ。会えるかどうかは運もあるけれど。ステラは運が良い事に神族と知り合う事ができたし、クロノやルクス経由で神族への伝手もないわけじゃない。

 人間種族やそれ以外の種族が世界最初期の頃の歴史を知っているか、と言われれば多分あまり知られていないようだけれど、それでも知ろうと思えば知れる。


 けど、神族と知り合う機会もないような立場であったなら。

 きっと世界がどうやって成り立ってきたか、だとかは前世の記憶と照らし合わせて想像するのが限界だろう。


 けれどステラのように前世の記憶があります、みたいな人間はそういるものではない。身近にベルナドットがいるけれども、それ以外に前世の記憶あります、なんていう人とは出会った事がないのでいないと考えておくべきだろう。


 ステラの世界ではある程度知ろうと思えば方法がないわけではないけれど、こちらの世界は果たしてどうだろうか。人の中にこっそりと紛れて神族やそれ以外の種族がいる、というのであればともかく、どうにもこちらの世界には異種族だとか亜人種だとか呼ばれる存在はほとんどいないらしいのだ。

 全くいないわけではないらしいけれど、キールは少なくともお目にかかった事はないらしい。

 もしかしたら、ダンジョン関係ない場所にひっそりと暮らしている可能性はあるけれど、転移機能を使って各地を移動している探索者が未開の地を探索しようとなるかはわからない。


 普段は転移装置を使って移動しているとはいえ、それらを使わず移動する者もいないわけではない。けれども、便利な転移機能があるのだからわざわざ外を出て地理もあまり詳しいわけではない所を行こうとするものは昔から滅多にいなかったのだとか。

 それでも全くいないわけではないけれど、先人が手探りながらも探索して、どうにか隣町だとか隣村だとかの場所を確定させたのが関の山だ。


 それぞれが何かあった時に、近くの町や村に行けるくらいの範囲しか地図も描かれていないらしい。

 世界地図とかそれ故にとても貴重なのだとか。


 ……魔物がいるわけではないのだから、外の世界を探索するのはそこまで危険もなさそうではあるが、いかんせんほとんどが未開の地。転移機能付きの装置が適当な場所にあるわけでもないため万一道に迷ったら最後。隣の町や村に行って、そこで次の町や村に続く道を教わって、という固定のルートくらいでしか移動しないのだとか。


 そこら辺を聞いてやっぱりヘンテコな世界だなぁ、という感想しか出てこない。


 隣町や村の場所を教えてもらって転移装置を使わず移動する者もいないわけではないようだけど、もしかしたら近所なのに変に迂回なんかしてとても遠回りしている可能性もあるわけだ。


 ともあれ、そういった流れで城を作り、最終的に一番大きいだろうダンジョンがある土地を王都とする。

 そしてアミーシャはこの大陸、この国の中で最大規模のダンジョンを指定した。


 来れるはずがないと高をくくっているのか、それとも……

 まぁ考えた所で結果は変わらない。どのみちそのダンジョンにはいずれ足を運ぶ必要があるわけだ。最大規模のダンジョン、つまりはそこならキールが目当てにしている秘薬もあるかもしれないのだから。


 けれど、とステラは思う。


 本当にあるのかしら?


 いや、過去にそういったアイテムの存在があったからこそあるのは確かなのだろうけれど、そのダンジョンで見つかったというわけでもないだろう、とは思う。


 というかだ。

 転生した挙句再度新たに復活したステラとはいえ、まだ何となく前世のノリは残っている。

 それ故にそういった考え方をするのであれば、だ。


 ゲームで言うならまだまだ全然序盤とか下手したらようやく中盤とかじゃないの、これ。

 としか思えないのだ。


 確かに上級者向けダンジョンに来たという時点ではなんかもうゲームの中では佳境迎えた感じはする。

 けど、ゲームを基準に考えたら、一つの大陸の中の最難関ダンジョンにこれから行くわけで、それってそこクリアしたら次の大陸行く流れよね? とも思えるのだ。何というゲーム脳。


 舞台が極端に狭いゲームもないわけではない。何かもう世界の命運をかけてるくらい壮大な戦いがあったりするくせに、舞台が実は世界の隅っこにあるような小さな島での出来事、だとか。船だとか飛空艇だとかで海だの空だのを移動して世界を股にかけるわけでもないちょっと大きなクローズドサークルでの出来事なのに全世界の命運がかかってたりするような壮大なストーリーすぎて、逆に続編の存在を疑い始めるやつだとか。


 勿論ここでキールの目当てのアイテムが見つかるならそれに越した事はない。けど、そう簡単に見つかるとも思えない。一度の探索で発見できるなら今頃そのダンジョンに入ってる探索者は億万長者にでもなってるだろう。そうなればわざわざダンジョンに行く必要があるようにも思えない。

 退屈に飽きてスリルを求めてダンジョンへ、とかいう酔狂なのも中にはいるかもしれないけれども。


 そう考えるとアミーシャは最初のボス、という存在に該当するのかしら……なんて考えて、いやまぁ、序盤のボスって言われたらそれはそれで、と思えるけれどどうにもしっくりこない。

 ゲームに当てはめるからだ、とも思う。そういう考え方をしなければ、特に何かがおかしいわけでもない。


 考えすぎかしら、でも、うぅ~ん……というのがステラの心境だった。

 どうあれ、アミーシャの背後に他の何かがいるのは確かだろうとは思う。

 一人の人間にあんなダンジョンを作れるだけの力はないだろうし、であれば背後に何かしらの存在があるのは確実だ。

 アミーシャとの件がどういう方向に向かうかはわからないが、それでもそれが落ち着いたら恐らくはその何かが出てくる可能性もある。


 ルクスとはそのあたりいくつかの推論を踏まえて話し合ったけれど、結局のところはその時にならないとわからないものだ。

 であれば、言いなりになるのもなぁ、と思わなくもないがアミーシャの言う通りパルシア城がある王都のダンジョンへ行くしかないわけで。


 今はまだそのダンジョンへ行こうにも転移装置の行先に表示すらされていないので、あともういくつかのダンジョンを攻略する必要がある。

 キールに少しばかり無茶をさせるかもしれないが、なるべく早めにダンジョン攻略をするべきかもしれない。


 正直ゆっくりしていてもいいのだが、あまりにも遅いと何だかまたアミーシャが文句を言うためだけに出てきそうな気がするし。

 それは……別にどうでもいいのだけれど。

 けれど捨て台詞が覚えてなさいよ! で終わって撤退した時と比べてアミーシャなりにキリっと決めた上で別れたあとだ。もしそうなったら色んな意味で居た堪れないだろうなぁ、とも思えるので、ステラは一応、本当になけなしの気遣いでもって急ぐ事に決めたのだった。

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