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投獄(3)

 3日ぶりに見る空は快晴であった。眩しさで目が半分ぐらいしか開けられない。

 両腕は縄で縛られており、兵士に連れられるままに歩いていった。

 「ここだ。」

 兵士に荒々しく背中を押された。その頃には眩しさにも慣れ、ようやく目も見えるようになっていた。そして、連れてこられた場所もよく見えた。

 木造の壁に囲まれた小さな空間がそこにはあった。一見ただの空き地のようにも見えたが、端の方に目をやると黒ずんだシミが至るところにあった。

 「(あれは、血痕か…?)」

 「すごく嫌な感じがします…。あっ…オズワード様、あれ…。」

 フランは、鳥籠のようなものに入れられていた。その隙間から何かを指差している。

 その先をたどると、斧を持った大男が立っていた。全身黒ずくめの装いで、表情は分からない。

 「あれが、処刑人か。」

 「ほら座れ!!」

 兵士は声を荒げると、私の身体を押さえつけ、四つん這いの体勢をとらせた。

 ズルズルと、斧を引きずる音が近付いてくるのがわかる。

 ゆっくりと、だが確実に音が近付いている。

 「(音が止まった?)」

 そう思った瞬間、影が落とされたように暗くなった。

 「やめて!オズワード様ーー!!」

 フランの叫び声が上がる。

 「(あぁ、あの斧が振り落とされたのか…。転生した人生は短かったな。何もなせないまま終るのはやはり口惜しい。)」

 後悔と無念が心を支配する。

 しかし、死を確信した次の瞬間。

 「待った!!」

 女の声が聞こえた。

 そして、誰かに抱えあげられたかと思うとすぐさま宙を舞った。

 下を見ると、自分の首に振り下ろされるはずだった斧が地面に刺さっているではないか。

 私を抱えている女は、弧を描きながら着地した。右側に私を抱え、左手にはフランの入った鳥籠を持っているようだ。

 長い銀髪をなびかせる女騎士といった姿である。

 「ヒルダ様!何をなさるんですか!?」

 「この猫と妖精は預かる!これは、ヴェロニカ様の命令だ。拒否権はない!」

 ヴェロニカという名前を出された兵士は、不満そうな顔を出してはいたが、それ以上の詮索はしなかった。

 「さぁ、行こうか。」

 突然の展開に着いていけない部分の方が多かった。疑問ばかりが頭に浮かんでくる。しかし、命が救われたというのは事実のようだった。そして、この女騎士に着いていく以外に生き延びる手段はない。

 私はヒルダと名乗る女騎士に続いて町の中心にある屋敷へ向かった。

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