表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

 耳障りな心電図のアラームがまだ耳に残っている。死ぬ間際は、聴覚だけ残るってのは本当だったんだな。息を引き取り、プツンと切れた記憶線がここに結び付いている。

 目を開けると私は森のなかに横たわっているようだった。死の直前の体の不快感はなくなっている。

 「やっとお目覚めですか?」

 横たわっている俺の目の前を何か小さいものが横切った。

 「こんにちは、前世では声しか届けられなかったので会うのは初めてですね。私はフラン。よろしくお願いします。」

 目の前をフワフワと漂う妖精がこちらへお辞儀をしてきた。彼女が前世で語りかけてきた主らしい。

 「君がここに連れてきてくれたのか?」

 「はい、そうです。生前、お医者様として多くの命を救ってきたあなた様!この世界でもぜひその腕を振るってください。」

 「もちろん。私はそのためにここに来たのだからな…」 

 私は手を付き、ゆっくりと起き上がろうとする。しかし、地面に立てた手に少し違和感があった。柔らかすぎる??地面の草のせいではない柔らかさがそこにはあった。そして、恐る恐る自分の手に目をやる。

 「なっ、なんだ?これは…」

 自分の手、それは紛れもなく猫の手であった。柔らかそうな肉球がついている。

 「!!!」

 私は目の前に見えた湖に向かって駆け出した。そして、水に映った自分の姿を見て落胆した。

 「やはり、猫になっている。」

 転生し、新たな生を受けたはいいが姿は猫になっていた。二足歩行は出来るようだが、手がこれでは患者を治療など出来るわけがないではないか?!

 「オズワード様?どうしたんですか、オズワード様ーーー??」

 フランが心配そうに私の周りを飛び回っている。だが、今の私にはそれにかまう心の余裕はない。せっかく医師としてまたやっていけると思っていたのに、猫の姿ではどうしようもない。

 憤りとこれからの不安が心のなかに渦巻いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ