表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いつでもどこでも短編小説『予言』

作者: 日生慎一郎

 ある日ネット掲示板に予言者を名乗る人物が現れた。初めの数日のうちは巨大地震が起こるだの、大統領が暗殺されるだの、にわかには信じがたい予言のばかりを掲示板に垂れ流し大いに噂になった。

 少し噂が落ち着いた頃には「これから起こる巨大地震は人工地震だ」とか「その大統領を暗殺するのは日本の工作員だ」などといよいよ信じられない予言ばかりを書き込むようになった。掲示板の利用者たちは「ネタ切れか」「調子に乗るな」などと口ぐちに言いあったが、彼はそのような批判には耳も貸さず予言を次々に書き込むのであった。


 掲示板の利用者の中では彼の鼻を明かそうと住所の特定にあたる集団が現れた。掲示板の過去の書き込みはもちろんのこと、彼のものと思しきSNSのアカウントまで見つけ出して、特定班はついに住所の特定に成功した。

 そしてリーダー格の人物が彼の家へ乗り込むことを決意した。地図アプリによると彼の家と言われているところはいわゆる高級住宅街にあり、決して豪邸というほどではなかったが、幸せそうな暮らしを送っているらしいということでより一層掲示板の人々の反感を買うようになった。

「まさかこんな所に住んでいるわけがない」

そういう者も多かったが、誰もが少なからず期待していたことも事実である。


 しかし彼の家の前につくとその期待は大きく外れることとなった。なんと家があったはずの場所は更地になってしまっていたのだ。地図で確認すると確かにここに住居があるはずだ。不審に思ったリーダー格はちょうどそこへ通りがかった男にこの家のことについて尋ねてみた。聞くとこの家の人物は有名な議員の秘書で、男とは家族ぐるみの付き合いだったのだが、つい最近挨拶もなく引っ越してしまったようで誰も行方を知らないという。

このがっかりさせられる結末に掲示板では()が怖くて夜逃げしたのだろうということで落ち着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ