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九龍伝説  作者: ゆめ
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天女の子孫 ~シアル~

 名も持たない小さな国。

 そこが彼の故郷、生きてゆく場所。


 お互いを必要としあい、一人として要らぬ者はおらず、みなが友人であり家族。

 国を治める王も道を歩く人も、草木に宿るモノも全て同じ生命。


 穏やかに流れる時はとても静かで、誰もがその流れを静かに受け止めていた。

 雨が降らぬならば降らぬ事を嘆くより空に太陽が輝く事を喜び、雨が続けば豪雨を嘆くよりも天の恵みを喜んだ。

 誰かが死んだならみなで悲しみ、一人で悲しむ者はいなかった。

 決して他を恨まず、憎まず、緩やかに生きていた人々。

 透明で、一点の曇りのない、美しき宝石のような魂を持つ人間達。


 しかし一度危機に直面すれば、鬼神のごとき強さを誇る。

 誰もが必ず持つ『心の闇』さえも彼らは受け入れ、分かち合う事でそれに呑まれる事は決してなく、聖なる力を持ちながらこの闇の世でも迷う事無く生きている。


 優しさと強さを同時に併せ持つ者達。

 少年は彼らの事がとても好きで、そんな彼らを愛する自分が好きだった。


 一族は代々王に仕える者。

 王はこの小さな国を護る柱。

 今は暖かな腕の中で護られているが、やがて少年も柱を護る要となる。

 それは遠い未来ではなく、目に見える未来の事。

 来年15歳の成人を迎える。

 成人を迎えると同時に彼は護衛兵として父の部下になるのだ。



「春宵が来たわ」

「あら本当、春宵、今日もお話をしましょう」


 鮮やかで羽のように軽い衣装をまとった美しい天女たち、彼女達は少年の腕をとると自分達の輪の中に引き入れた。

 城の中央部にある中庭の池の周りは天女たちのためにある空間、この中庭を手入れする専属の者もいる。


「うん、でも今日は天女様のお話が聞きたいよ」


 ぴょんと天女の膝に座ると、少年は一段高い場所にいる天女に視線を合わせた。

 月の光を浴びたような金色の柔らかな髪、白い腕に良く映える紅い薔薇の飾り、漆黒の瞳が優しく少年を見つめる。

 天女をまとめる長であり、そして少年の大切な家族の一人。


「春宵は本当におばあ様の事が好きなのね」

「うん!」


 天女の言葉に元気よく頷く。

 長は少年の祖母で母親は天女の長の娘、美しい歌に心奪われた少年の父が長のもとに百日間通い続け、長の娘を妻にする事を許された。


「お前の父は意思の強い男だ。一度手に入れると決めたものは、決して諦めなかった。娘もあの男のそんな真っ直ぐな所を好いたのだろう」


 優しく微笑み、少年の頭を撫でる。


「お母様」


 鈴のような声が長に声をかける。


「ティニア、どうしたのですか?」

「シアルを知りませんでしたか? 薬草を摘みに行く約束をしていたのですが……」


 そう言って困ったように尋ねたのは、長の娘であり少年の母親。

 長と同じ瞳と髪の色をしており、少年の金糸の髪は彼女達から受け継いだものだとわかる。


「ここにいますよ」


 娘の言葉に前にいる精霊の膝を指す。

 こそっとシアルと呼ばれた少年が顔を出した。


「母上」

「シアル、ここにいたのですか」

「はい」

「行きましょう」

「はい。ではおばあ様、天女様達、また遊びに来ますね」

「ええ、待っていますよ。シアル」

「春宵今夜は満月よ」

「月花が咲くわ」

「ええ、今夜必ず」


 手を振りながら、シアルは母と共に薬草摘みへと出かけた。




「今宵はいい月です」

「ええお母様」

「ティニア、お前は幸せですか?」


 突然の質問に母を見上げると静かな瞳が娘を見つめていた。


「私にはキースとシアルがいます。幸せですわ」

「後悔はしていませんか?」

「人間になった事に後悔はありません、だって私は、ただ一度の人生をあの方と共に終わらせられるのですもの」


 母の言葉に娘はとても幸せそうに微笑んだ。


「そうね。でも私には……役目があった」


 最後の言葉は娘にではなく、独り言の様だった。


 母は静かに月を見上げた。

 黄金に輝く大きな月。

 自分達の祖先はあの月より来た者、何代も前の城主に助けられ、それ以来ずっとこの城を護っていると、そう言い伝えられてきた。


 あの月が故郷というのなら帰ってみたいと思った事もあった、だがそれ以上にこの地を離れるのが惜しく結局はこの地に留まって今がある。


 優しい人々、優しい国王、彼らとともに静かに生きる。

 祖先はその道を選んだ。

 代々の長もその道を選び、自分も選んだ。


 天女が死ぬと天へと昇るという。

 自分が死んだらどうなるのだろうか?

 魂だけ、故郷に帰るのだろうか?


(私は……人として転生し、あの方の妻になりたい……)


 すぅっと長の頬を一筋の涙が伝う。

 金色の月がもう見えない。

 だけど瞼にははっきりと月の姿が浮かび上がっている。


「ああ、月が綺麗だわ……」


 長は静かに目を閉じた。

 さぁっと風が吹き、長の身体を優しく撫でた。


 ある満月の晩、天女の長は静かに息を引き取った。

 百年という天女にしては短い生涯、同時刻に引退していた先代国王も息を引き取った。


 それは国王と天女の長の秘められた恋。

 互いの立場ゆえに想いを明かせなかった二人、死に顔はとても穏やかだったという。


 長の跡を継いだのはシアルをよく膝に乗せていた天女だった。




 先代国王の壮大な葬儀が終わり喪が明けた翌年、国は大いに賑わっていた。


 話題の中心は美しく成長を遂げた天女の血を引く少年。

 成人を迎えると同時に国王の一人娘と婚約の誓いを交わし、それが国中に発表されたのだ。

 婚儀が行われるのは来年の春の月、1年後の姫が15になるその日。

 事実上、シアルは次期国王として発表されたのだ。


「父上……聞いてません」

「言ってないからなぁ」

「言ってませんでしたの?」

「言ってなかったんだ」


 親子三人、顔をあわせての家族会議。

 シアルは婚約を受け入れはしたものの、こんな大っぴらに発表されるとは聞かされていなかったので、それに対して抗議を行っていた。


「でもなぁシアル、相手は姫様だ。大々的に発表されて当然だと思うが?」

「考えなかったの?」

「っぐ」

「俺はてっきり、姫に政略結婚をさせないため、横から掻っ攫ったと思っていたんだが……本当は姫がシアルを落としたんだって?」

「……はい」


 父の言葉にシアルは顔を真っ赤にしながらも頷いた。

 昔からシアルの事が好きだった姫は自分が知らぬ相手と結婚するのが嫌だったのではなく、これほどまで美しく成長したシアルを他の誰にも渡したくなかったのだ。


「姫君に夜這いまでかけられては想いに応えないと……次は何が起こるかわかりませんからね」


 が、しかし、惚れた相手に弱いのは父親とそっくりらしい。

 一番驚くべきは打診されていた隣国の王子との婚約を断り続けていた事、国王は国土拡大よりも娘の幸せを選んだのだ。


「だって陛下ってどこまでも親ばかだし、娘の為なら国土拡大の夢もあっさり捨てるさ」


 国王の側近兼、親友の父がお茶をすすりながら肩をすくめた。


「でもお前が次期国王……お前の護衛って誰がやるんだろうな?」

「自分の身は自分で護りますよ、まぁ弟の一人でも作ってください、期待してますから」

「――シアル……」

「さて、そろそろ行きましょうか、式典が始まっちゃいますよ」


 椅子から立ち上がると、シアルはさっさと部屋から出て行ってしまった。


「弟作るか?」

「子沢山は私の夢ですわ」


 にっこりと笑顔を返し、ティニアはそっと夫の頬にキスを落とした。


「さぁ行きましょう、今日はシアルの成人の儀の日ですものね」

「といっても、俺の部下であるのはたったの1年、寂しいなぁ」

「私が傍にいますわ」

「俺も君の傍にいるよ」


 二人はシアルと共に洗礼を受ける神殿へと向かった。


 この国では15になると神殿で神父より洗礼を受けるのだが、シアルの一族は特別に王より洗礼を受ける。

 これは王を護っている証しとして、王の感謝の意がこめられている。


 今年はシアルの成人の儀の他にも護衛兵となる儀式、次期国王として他国から来る人間や神々と顔合わせを兼ねた晩餐会が開催される。

 小国にも関わらず神が訪れる理由、それは歴代の国王が行ってきた善行の賜物である。


 通りは賑わい、来臨する神々を迎えるため、どの家にも神が休むための場所が用意される。

 今日から三日間だけ、どんな闇世も忘れ、この国は祭りに入るのだ。




 国中の人間が集い、天女が見守る中、シアルの成人の儀は始まった。


 七色に彩られたステンドグラス。

 琥珀色の祭壇。

 金の細工が施された支柱。

 荘厳な雰囲気に包まれた神殿。


 神父から聖水を渡された国王は、聖なる言葉を述べながらシアルの上にその水を振りまいた。

 成人の儀を終えるとそのまま護衛兵となる儀式が始まった。

 シアルの父が王の一歩後ろに控え、母は王妃の隣に控えていた。


「我が国を護る者として羽ばたく者よ、汝にその身を護る武器を与える」


 王が何かを包んだ白い布を差し出し王妃が布を開く、現れたのは何の細工も無い30cmほどの長さの銀色の杖。


「この品はお前への祝いとして今日この場にも参られている、南の魔女から頂いた物、お前の意思に添い姿を変える。人を傷付けるも、救うもお前の使い方一つ、心して使うが良い」

「はい、我と我が祖先の名にかけて、決して誤った使い方をせぬ事を、ここに誓います」


 王の手から受け取った銀色の杖は、初めて持つとは思えないほどシアルの手に馴染み、静かにシアルの心と共鳴するのがわかった。

 シアルは棒を片手に立ち上がると後ろを振り向いて銀の杖を高く掲げた。


 神殿に歓声が上がる。

 シアルの両親が視線を合わせ、静かに笑みを零した。

 再び王座に向き直ると会場にも静寂が戻る。


 王と王妃らが横に移動し、来臨していた神々がシアルの前に立った。

 淡いオレンジ色のマントを翻し、一番にシアルの前に立ったのは煉獄王・辰王。


「この国の民は我が国にきても嘆く事が無い、美しき心で嘆く者の心を癒すので、私もとても助かっている。王を大事に、そして善き王になりなさい」

「ありがとうございます」


 次にシアルの前に立ったのは天女の長であった。


「今日は本当に素晴らしい日、貴方の晴れ姿、我らも嬉しく思います」


 そう言ってシアルの額にそっと口付けを落とす。


「光栄です」


 ふわりと笑い返すと長もにっこりと笑い返した。


 この国にはドラゴンが住んでいる事もあり、竜族の王である三大龍、神ではないがこの国を度々訪れる風の民・珱、次に四大天使長の玖李など、豪華な顔ぶれがシアルに祝いの言葉を述べていった。


 全ての来訪者との謁見が終わると、シアルの隣に黒髪の美しい女子が立った。

 彼女が生まれた時もまた盛大に祝われた。

 国王が溺愛する一人娘・マリアンヌ、シアルの婚約者である。


 二人が神殿を訪れた人々にお辞儀をしたのを合図に、祝福の歌を奏でるメロディーが流れ、天女が歌い出す。

 華やかなムードの中、シアルの儀式は全て無事に終了した。


 シアルと王女は手と手を取り合い、神殿を訪れた人々に感謝の意をこめて、昨日の朝シアルが摘んできた白い花びらを配った。

 それは王宮の敷地内にしか咲いていない貴重な花、花びら一枚を湯と一緒に飲むだけでどんな万病にも効く。

 城が用意した食事が広場に並べられると、市民は広場に、国王らは城へと移動した。

 踊り子が舞い、楽器が奏でられる中、宴が始められた。




 くすくすと笑いながら神々が宴を楽しんでいる。

 床に敷かれた鮮やかな絨毯の上に座り、極上の酒と美味い食事を味わう。

 この国の祝い事に出席する理由の一つが、仲間達とのゆっくりした時間である。

 辰王と玖李は一緒に座り久しぶりに酒を酌み交わしていた。


「今年は天龍の民も参加しているらしですよ」


 辰王が示したのは銀縁の額当てをした集団。


「あの神と龍の混血の民ですね」

「おや、噂をすれば」


 くすりと辰王が笑みを浮かべる。

 そちらに視線をやると、徳利を持った天龍の子供がこちらに歩いてきた。

 紫色の癖毛をぴょんぴょんと跳ねさせながら上座に座る三大龍の元へたどり着くと、自分の頭より少し大きい徳利を傾け、ゼノスと闇龍、黄龍の杯へと酒を注いだ。


「名は?」

せいともうします」


 元気よく答える子供に気をよくし、ゼノスは暫くその子供と話していた。


「まぁ、天龍は龍の血がありますからねぇ、孫みたいなものでしょう」

「ゼノス様に珍しく表情がある……」

「ところで、黄龍の膝にいる子供、誰でしょうねぇ?」

「さぁ……黄龍様に跡継ぎの噂はまだ聞いてませんけど?」


 首を傾げながら酒を交わす二人の右隣には、魔族の王・羅刹らせつと供の魁焔かいえんがおり、その隣に風の民代表・珱、2つ隣に水の民・フィティーナス、辰王らより左に二つ離れた席には、神狼の代表としてリギアがいた。


「来るたび思うんですが、本当にこの国って名前がないのが不思議ですよね」

「本当に。これだけ豪華なメンバーが訪れるのに、名も無いのは勿体無いですね」


 二人が語っていると音楽が静かなものに変わり、シアルとマリアンヌが手を取り合って前に進み出た。


「あれが本日の主役である次期国王」

「天女の血が流れているんですね、独特の光を放っている」


 音楽にあわせて舞う二人。

 漆黒の髪を持つ王女と、月のような金色の髪を持つシアル。

 対照的な二人。

 しかし交わす目線はお互いを見つめている。


「国王にしておくのは勿体無い」

「でも、彼に秘められている力など、使う日がこないのが一番です」

「そうですね」


 顔を見合わせてくすくすと笑う。

 やがて曲が終わると盛大な拍手が送られ、若い恋人達は席へと戻っていった。


「ん?」

「どうしたんですか玖李?」

「リギアが帰るようです、あんなに荷物を持って……」


 三大龍に声をかけ二言三言言葉を交わすと、リギアは王族らに礼をして帰っていってしまった。


「ちょっと話してきますね」

「ええ」


 玖李はすぐにリギアを追った。

 土産を詰めた袋を持ったリギアにはすぐ追いつけた。


「リギア、もう帰るのですか?」

『…………』


 口に袋をくわえている為、喋れぬリギアはこっくりと一つ頷いた。


「急がなくとも、祭りはまだまだ続くんですよ?」

『……ふぅ。相棒が外で待っているのでな、遅くなると怒られるのだ』


 袋を下ろしたリギアは苦笑しながらそう答えてくれた。


「相棒? 一緒にこなかったのですか?」

『少し疲れているらしくてな。さて、そろそろ行かぬと奴が飢え死にしてしまう』


 再び袋をくわえ直すとリギアは尻尾を2,3回振って去っていった。


「一度会ってみたいものですね」


 呟きながら玖李は会場へと戻っていった。




 リギアは人気の無い場所に来ると、背中の翼を広げ空高く舞い上がった。

 真っ直ぐに城から離れた森へと向かい、目的地にたどり着くとさらに奥に進み入り、洞窟の前で足を止めた。


『ユン、帰ったぞ』


 リギアが声をかけると、暫くして洞窟からユンが顔を出した。

 蒼白い顔はまるで死を呼んでいるようで、リギアは見るたびに苦しい思いをしている。


「お帰り」

『土産を持ってきたぞ』


 下に降ろした土産を前脚で突っついた。


「ありがとう」


 力なく笑うとユンは洞窟から出てきて、地面に寝転んだリギアにもたれかかった。


『身体の具合は?』

「少しいい、まだちょっとダルイけど」

『すまん、本当なら祭りに参加せねばよかったのだが……、少し無理をさせすぎたな』

「お世話になった国のお祝いに参加するのは当然だよ」


 疲れたように目を閉じ、リギアの腹を枕代わりに寝転がる。

 本当は二人のねぐらに置いてくれば良かったのかもしれない、だがこの状態のユンを一人にするなどリギアには到底考えられなかった。


「祭りはどうだった?」

『盛況だったぞ、各地から様々な要人が来ていた。人の祭りに神があれほど集まるのは、あの国ならではだろうな』

「うん、そうだね」


 ふぅ。と苦しそうにユンが息を吐き出す。


『大丈夫か?』

「大丈夫だよ。それより、お客の顔は覚えてる?」

『言われていた相手は全てチェックしてきた』

「その人たちは将来、リギアの仲間になる人たちだよ」

『お前も、だろ』

「…………うん」


 リギアの言葉に間をおいて力なく頷く。

 生気を欠いているユンに、リギアはふと神殿で配られた花びらを思い出した。


『いいものを貰ってきたんだ。飲めば少しはよくなるかもしれない』

「これって……奇跡の草」

『次期国王がみなに配ったものだ』

「ありがとう、いただくよ」


 ふわりと笑うと、ユンはそれを水と一緒に飲んだ。

 甘い香りと優しい味わいが口の中に広がる。

 身体の中に効力が一瞬で浸透してゆく、消えかけていた命の蝋燭が僅かに増えたのが手に取る様に分かった。


「ああ、身体が楽になる」


 蒼白だった顔に久々に赤みが射しこむ。

 病の影響で干からびてパサパサになっていた髪が、一瞬の内にもとの絹のような手触りの良い髪に戻った。

 それはまさに奇跡。


『すごい効力だな』


 純粋に驚いたリギアがユンを見る。


「奇跡って起こるんだね」


 ふふっと嬉しそうにユンが笑う。


「嬉しいな、リギアと一緒にいられるなんて」

『我も嬉しいよ、ユン、二度と心配をかけるなよ』

「そうだね」


 リギアの首にぎゅっと抱きつくと、ユンは幸せそうに微笑んだ。


「決めた」

『なにをだ?』


 目を細めて優しくユンを見つめるリギアに、ユンは「なんでもない」と首を振った。


(リギアに贈り物をするよ、僕にしかあげられない贈り物を)


 心の中でそう囁き、ユンはリギアに抱きついたまま、眠りについた。


『ゆっくりと眠れ』


 首に抱きついたまま眠ってしまった相棒を器用に前脚の間に移動させると、護るように抱き込みリギアもまた眠りについた。


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