化神
命の玉に秘められた恐ろしい力…その力が遂に人間に襲いかかり恐怖が人間に降り掛かる…大貴たちはどう立ち向かうのだろうか!!
俺達は学と一緒に病院を回っていた。
そこに2人のお医者さんが放心状態で歩いていたのだ。
「ウソだ…愛弓さんは…死んだハズ…」
「千江美ちゃんも死んだハズ…」
1人は愛弓さんの時の担当医、もう1人はどうも千江美ちゃんの担当医のようである。
そりゃな…驚くよな…人が生き返ったんだから…てか、これニュースになるんじゃないかな…
「先生」
学がお医者さんに声をかけた。
「あっ、学くん…千江美ちゃんのことよかったね…でも、とても不思議だね」
「ええ、すごく嬉しいです」
「そう、それじゃ」
そのお医者さんたちは歩いていったのだ。
「ダイさん、その玉すごいっすね」
「学、敬語は勘弁してくれよ~」
「りょ~か~い~」
「アハハ…了解…」
この人極端なんだね…まぁいいや
そんな時、俺は交通事後で亡くなった人がいるという話を聞いたのである。
よく人が死ぬな…今日は
「よし、ちょっと行ってくる」
俺はみんなから離れ亡くなった人がいるところに入り命の玉を使い生き返らせていった。
その後も俺は数人の患者の命を助けたのだ。
数日後、塾では。
「ユウ、そっちテストいつ?」
「俺は再来週の月曜、ダイは?」
「俺は再来週の木曜から」
「ふーん…そうだ、さっき学からメールがあってさ」
「学が?なんたって」
「生き返った千江美ちゃんさ白血病キレイさっぱり消滅してたんだって!!」
「マジかよ!?…命の玉は病死も生き返らせ…その病気すら消してしまうのか…」
「やべぇーな、命の玉…」
「………そういえば、命の玉の取扱い説明書に化神がどうとかってのあったな…」
「ダイ、化神って?」
「さぁ?ヤス…麗子さんあまり説明してくれなかったし…」
「麗子さんって女神の?」
「うん」
その時
理科の先生の神藤 歩美先生が入ってきたのである。
「はい、今日はテスト対策やるよ」
俺達はそれぞれのテスト範囲を勉強し、その後、社会の授業も終わった。
理科と社会の授業は連続でありそれぞれ1時間10分ずつあるのだ。
塾の外で俺たちは明日の勉強場所を相談していたのである。
「明日ガストンで勉強しない?」
「いいねぇ~ダイにしてはいい考えだな~」
「ヤス…なんだその喋り方は………」
ヤスを初め殆どが賛成したがユウだけは用事があるためパスした。
そして、次の日の11時頃、俺達はファミレスのガストンの前に集まったのだ。
ガストンとは個人経営のファミリーレストランで本店が葛飾区にあってここは支店で足立区に支店がもうひとつありタイ、ベトナム、インドの料理を中心としているのである。
俺が先頭で店内に入っていった。
「いらっしゃいませ、お客様何名様でしょうか?」
「9人で」
「9名様…………かしこまりました、お席にご案内いたします」
「はい」
俺達は案内された席に座ったのだ。
「ひとまずドリンクバーだな、俺は他の注文決まったけどな」
「早いなダイ、まっ、俺も決まったけどな」
「ヤス、お前の見てるメニュー安いな、ヤスだけに」
「黙らっしゃい…」
また、くだらんことを言ってしまったのである。
そして、みんな注文がきまって店員さんを呼んで代表して俺が注文することになった。
「御待たせいたしました、ご注文をお伺いいたします」
「えーと…ドリンクバー9個に…」
「ドリンクバー9個ですね」
「それから、タイ風冷製パスタ1個」
「タイ風冷製パスタ1つ」
「タンドリーチキンとキーマカレー」
「タンドリーチキンとキーマカレー…カレーはナンとライスどちらにいたしましょうか?」
「ナンで」
「かしこまりました」
「それから……………………」
全員分の注文が終わり俺達はジュースを取ってきて勉強し始めたのだ。
その後、みんな注文した料理を食べ終わり勉強もだいたいは終わったので俺達は会計をしに伝票を持ってレジへと向かったのである。
そして、俺達は会計をすまして店内から出た。
その時
「よう、俺らと遊ばない~」
「や…やめてよっ!!」
声がした方を見ると薩摩藩のしたっぱらしき不良が女子高生に絡んでいたのだ。
「やめろっ!!」
俺はじっとしてられず止めに入ったのである。
「お前はこないだの公園の……よくも!!黒田さんに大恥じかけさせたな」
「いや…あの…」
「ちょっと表出ろやっ!!」
ここ外だし…
その時
「まてぇーいっ!!」
そこに学が現れ薩摩藩を蹴り飛ばした。
「長州藩のリーダー大神田 学!?」
「そうだ、千江美の恩人になにしやがるっ!!」
「はっ?1人じゃなんにもできなねぇ癖によ!!」
「なんだとっ!!」
「いや、1対1ならお前の方が明らか弱いだろ…」
俺が率直な意見を述べると薩摩藩達は皆怒りの表情をしたのだ。
「なんだ、子犬が轢かれちゃった癖に~」
ブチッ…
俺の中で何かがきれたのである。
「てめぇーら、不良とか言ってはしゃいで調子のってんじゃねぇーぞ!!1人じゃ何もできねぇのはお前らだろうがゴラッ!!」
そして、俺は薩摩藩を全滅させたのであった。
「おい貴様」
「やばっ、黒田…」
「ダイさん、俺に任せて!!」
「学……」
黒田と学は睨み合いになった。
「黒田ぁぁっ!!」
「大神田!!」
2人は殴り合いになったのだ。
「ダイさん行ってください」
「学…でも…」
「言っただろ俺に任せてって…さぁ、行って」
「……わかった!!ありがとう」
俺達は絡まれていた女子高生を連れてその場から離れたのだった。
そして、薩摩藩の奴等がいないところまで来れたのである。
「ありがとうございました」
「いいって…怪我してない?」
「大丈夫です」
「よかった、俺は三村 大貴、よろしく」
「私は北倉 真由子です……………あの…よかったらライン交換しませんか?」
「えっ…」
「いや…あの…お礼とかもしたいですし…」
「お礼なんていいよ………てか、俺ガラケー…」
「え…じゃメアドでもいいですか?」
「……メアド交換…いいよ…しよっか…」
「はい!!」
俺は北倉さんとメアドと電話番号を交換した。
「そういえば何年生?その制服、ユウ…じゃなくて佐々木 裕矢と同じところだよね?」
「はい、あー、佐々木君の知り合いなんですね」
「そう、塾が一緒なの、あー、佐々木君ってことは同級生?てことは俺と同い年?てか、あいつと同じ高校とか頭いい~」
「いやいやそんな、でも、佐々木君、クラスではその…友達いないから」
「あーね、俺らみんなそうだよ、塾のメンバーがいつめん」
「いつめん?」
「いつめんのメンツ」
「ああ!!なるほど、ん?そこはメンバーじゃ」
「どっちでもいいや」
「ですよね、ああ、そうだ、今度、今日のお礼に勉強教えますよ」
「勉強?それは助かるな、テスト近いし」
「はい!!」
「俺の所、バカ高だし…」
「えっ…あっ、そんなつもりじゃ…」
「冗談、ありがとう!!」
「……もう、いじわるですね」
「ごめんごめん」
その後、北倉さんからお礼として喫茶店で勉強を見てもらい、その後も数日間、一緒に勉強したりテスト勉強の息抜きに買い物に行ったりしてちょっとしたことが切っ掛けで俺と北倉さんは交際することになったのだった。
「マジかよっー!?」
そして、あの恐ろしいテストが始まったのだ。
俺はなんとかテスト最終日を向かえたのである。
やっと…やっと…今日で終わりだ…眠すぎて今なら空を飛べるぜ!!ヒャッハハ…
「ヒャッハハ…」
眠さでテンションが可怪しくなってる俺をクラスメイトたちが怪しそうに見ていたのだった。
そして、テストが終わり俺は家に帰ると着替えてタロウのお散歩用のバックを持ちタロウにリードをつけて散歩に出かけた。
タロウは嬉しそうに俺に両前足でじゃれていたのだ。
「やっぱお前可愛いな~」
その時
ケータイに着信が入ってきたのである。
「ヤスだ」
俺はケータイのボタンを押して通話モードに切り替えた。
「ヤス、どうした?」
『テストおつかれ、みんなカト山にいるから来いよ』
「タロウの散歩中」
『タロウも連れてくればいいじゃん』
「………わかった、それじゃ…」
『じゃ、また後で』
カト山とは加藤 健治という人が所有している自然が生い茂る小さい山で名前はないが加藤 健治の名前からそう呼んでいたのだ。
この加藤 健治は実は俺の中学校の時の3年間担任だった先生なのである。
「カトTがたまに山をパトロールしてるからな会わないといいな個人的にも会いたくねぇーし…」
加藤teacher…通称カトTだ。
俺が中学生の頃からクラスのみんなはカトTと呼んでいたため今も呼んでおり本来カトTと関わったことのないヤスたちもカトTと呼んでいたのだ。
俺はカト山に着くとタロウと一緒にカト山を登ったのである。
「ダイっ」
「ヤス、みんなっ」
「タロウ、久しぶり」
『ワン』
「タロウ、1×1=」
『ワン』
「正解、ダイより頭いい」
「ふざけんな、タケ」
俺が言えた口ではないがつまんねぇ!!
「サッカーやろうぜ!!」
「リュウ…タロウがいるんだ…サッカーは無理だ」
「ダイ…………!!サッカーが無いなんて」
たく…そんなに好きならサッカーボールになっちまえよ…
「どうしよっか?」
「よしっ、やす、それじゃ……………………ん?カトT!?」
下の方にあのカトTがいた。
マジキメぇよ…最悪だ…
俺達はとっさに茂みに身を潜めたのだ。
「しまった!!タロウのバック置いたままだ」
「ダイ、何が入ってるの?」
「ヤス……命の玉…」
「ヤバいだろぉぉ」
「ヤス、静かにしろっ!!」
そして、カトTがバックを見つけると溜め息をついてバックを拾い上げたのである。
「誰か侵入したな」
カトTはバックをあさりだした。
「カトT……人のバックあさってんじゃねぇーよ……」
最悪にもカトTは命の玉の箱を取り出してしまったのだ。
「なんで命の玉を…取り出すんだよ…」
「JEWEL OF LIFE?どうゆう意味だ?」
そして、カトTは箱からボールケースに入った命の玉を取り出したのである。
「ヤバい…ヤバい…」
マジでヤバイぞ…あれって素手で触っちゃいけないんだろ…
「なんだこりゃ?神秘的だな」
そして、とうとうカトTはボールケースか命の玉を取り出して素手で掴んでしまった。
命の玉が赤色に変色したのだった。
「うわっ」
カトTは驚き命の玉を手から放したが命の玉は浮いてカトTを赤い光で包んだ。
「ヤバい…」
そして、カトTの動きが止まり命の玉が緑色に戻ったのである。
「クソっ!!あの変態キモロリコンメガネがっ!!」
俺は落ちてた箱からゴム手袋を取り出してそれを着けてから命の玉をボールケースに入れしまった。
どうなるんだ…
次の瞬間、カトTの肌の色がまるでどす黒い泥をコーティングしたかのように変化したのだ。
「わっ、わわわわわっ!?」
するとカトTの着用している物がメガネを含め体の中に吸い込まれるように消えたのである。
「一体なにが!?」
変化したカトTの体の中心にラインが入りパックリ亀裂が入った。
「なんだ!?」
その亀裂から亀裂のラインに沿って触手のようなものが数本生え変化したカトTは動きだしたのだ。
「うわぁぁぁ」
「何やってんだ、逃げるぞ、ホリ!!」
驚き動けないでいるホリを俺は引っ張り俺達はカトTから必死で逃げたのである。
マジでどこぞのホラー映画だよ!!
「くっ、来るな!?」
うめき声をあげながらカトTしつこく追ってきた。
やっとのことでカトTの視界から消えることができたのだ。
「どうすんだよっ!!」
「…………………」
「ダイっ!!」
「ユウ……殺そう…」
「はっ!?」
「だって、このままだといずれ誰かに見つかって警察に射殺されるか捕獲されて解剖されんだ、だったら、ここで殺る…」
「で、でも…」
放置したら危険すぎる…それに殺してからもう一度命の玉を使えばもしかしたら元に戻せるかもしれない…
その時
「殺すべきです…」
「えっ、あっ、麗子さん!!」
そこにあの麗子さんが現れたのである。
「あっ、女神の!?」
ヤスは本当にいたのかという顔をしながら麗子さんを見つめた。
「はい、初めまして小渕 麗子です」
今回は俺達全員に麗子さんが見えるようだ。
「ところで麗子さん、あれは何?」
「……化神です」
「化神?あ、説明にあったやつか」
「はい、生きている生命に命の玉を使ったらあれになります」
「どうすればいいの?」
「殺してください、化神は死ぬと白色化しますのですぐにわかります」
「その後は命の玉で」
「はい」
俺の考えは正しかったな。
「よし!!殺ろう」
俺は戦う意思を強くしたのである。
その時
「あなたが命の玉を乱用するからですよ」
「えっ…」
「大王様は、あなたを愚かな人間とおっしゃいました」
「…………………………………………ダイオキシンだか大王様だかしらないけど命の玉がある以上助けないわけにはいかない」
「そうですか…私はこれで失礼します…」
麗子さんが消えそうだったので俺は呼び止めた。
「麗子さん…」
「なんでしょう…」
「開き直るような言い方をしてすいません…でも…助けたいんです……どうしても……それと…あの化神になった人は苦手だけど……必ず助けます…」
麗子さんは複雑そうな表情をしそのまま消えてしまったのだった。
麗子さん………でも…今はあれを何とかすることに集中しなきゃ…
化神はかなり深いみぞの前を歩いていたのだ。
「よし、あの倒木で突いて突き落とそう」
俺達は倒木を持ち上げたのである。
「行くぞっ!!」
俺達は倒木を持ったまま化神に突っ込んだ。
『グギャ…』
そして、化神は足場を崩して倒木ごと深いみぞに落ちたのだ。
『グギャグギャ』
「まだ生きてるぞっ!!」
ワカの声が沈黙を招いたのである。
だろうな…どうすっかな。
そこにでかい岩が転がっていた。
これを落とせば……
「みんなっあの岩を落とせっ!!」
一か八か俺達は岩を押したのだ。
そして、岩は深いみぞにいた化神の上に落ち化神を押し潰したのである。
「よしっ!!……………………………!!まだ動いてる…」
俺達はみぞに降りて岩の上に乗ったり近くにあった適当な物で化神が岩から出てこないようにしたりと手当たり次第に攻撃した。
そして、岩の下敷きになっている化神は麗子さんが言ったように白色化したのだ。
よし、何とかなったな…
「岩をどかそう」
俺達は何とか化神の上の岩をどかしたのである。
そして、俺はゴム手袋を着用し命の玉を化神の死骸にのせた。
命の玉の力が発動すると化神の白色化した肉体が煙りのように消え骸骨が現れたのだ。
「がっ、骸骨!?」
肉体が消えた後は洋服を着た骸骨になっていたのである。
「カトTと同じ服装だ…突っつく、ワカ?」
「クラ、突っかねぇよ…悪趣味だな、てか、靴やメガネまである」
すると、洋服が少し盛り上がり服と骸骨の隙間にどんどん肉体が再生された。
俺は命の玉の色が元に戻ったので命の玉をボールケースに入れて箱にしまったのだ。
その時
「う…う~ん…」
カトTの手が動き始めたのである。
「ヤバい!!逃げろっ!!だからホリ、急げって」
「ダイ?どうして?」
「カトTに見つかったら面倒だろ、色んな意味で…タロウ来いっ」
『ワン』
俺達は急いでカト山を下山した。
「うっ、う~ん」
そして、カトTは目を覚ますと辺りを見回したのだ。
「ここは…俺の山か……三村の声がしたような…気のせいか…どうして、ここに寝てるんだろ…」
その夜、俺は昼間の出来事について考えていたのである。
昼間の現象が他の人間にも起こったら…………恐ろしすぎる。
そして、次の日、俺は学校でまた考えていてふと窓の外を見た。
「ん?」
むこうの屋根に全身黒色の人型の物体がいたのだ。
「えっ…」
その物体はこちらを見て紅色の口を吊り上げ笑みを浮かべると消えたのである。
「まさか、闇の神…」
見つかった…ヤバイぞ…
そう、最悪の事態はすぐそこまで来ていたのだった。
次回、闇の神です!!