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甦生

命の玉の力を使って帰らね人となった人々を助け出す…そう決意した大貴…果たしてこれは正しいことなのか…

「タロウォォォ!?」



俺はタロウに駆け寄りタロウの息を確かめた。



……………………………………………死んでいる…………………嘘だ…



「そんな…死んでる…」

「ウソだろ…ダイ!!」



ヤスの声に俺は首を重く横に降ったのだ。



その時



薩摩藩が呆然とする俺たちを見て笑ったのである。



「ハハハ、そんなちっぽけな犬死んだ方がいいんじゃね」



俺は立ち上がった。



「なんだ~殺る気か?」



薩摩藩は余裕そうな顔をしながらタロウの亡骸を踏みつけたのだ。



「おや、足が汚れた…なぁ、お前、クリーニング代よこせ……………………………………うっ!!」



その男はその場で倒れたのである。



「なに……」



そして、俺は薩摩藩の数人を徹底的に殴り飛ばした。



「てめぇ…よくも…」



黒田は俺に殴りかかったが俺は黒田の拳を受け止めて数回殴り地面にひねり潰したのだ。



「おのれぇぇ…覚えてろっ」



敵わないと判断したのか黒田の合図で薩摩藩は逃げていき後に長州藩もいなくなったのである。



「タロウ……」



俺は横たわるタロウの亡骸を見つめた。



チクショー…こんな…こんなことってありかよ…



その時



俺は思い出したのだ…命の玉のことを……



「あれを使えば……」



俺はバックから箱を取り出してゴム手袋をつけてボールケースから命の玉を取り出したのだ。



「なにそれ?」



ヤスは命の玉に触れようとしたが俺は触らせなかったのである。



「ヤス、触れるな…少し黙って見てろ…」



俺はタロウの亡骸に命の玉をのせた。



すると命の玉は赤く染まり浮き上がったのだ。



「ダイ!!これは…」

「いいからヤス……」



みんなビックリしていたのである。



そうだろうな…



赤い光がタロウを包み、そして、タロウの傷がふさがった。



みんな唖然とし数秒間停止した後にクラが口を開いたのだ。



「ダイ…それは何なの…」

「クラ…これはな…」



その時



『ワンワン!!』



タロウが目を覚まし普通に歩き始めたのである。



「なんでぇ~!?ダイ、なにした?」



今度はワカが口を開き俺は命の玉のことと麗子さんのことを説明した。



マズカヨ(まじかよ)

「オウさん、マジだ、それとわざと片言で日本語間違えるな」



俺は話終えると命の玉を箱に入れてバックにしまったのだ。



長いこと出してると物騒だからな…てか、こいつら本当に理解したのか?まぁ、タロウが甦生(ソセイ)されるの見てたんだし理解するかしか…



その時



「さっきはどうも…」

「えっ…」



そこに黒田率いる薩摩藩がやって来たのである。



さっきの10倍ぐらい人いるな…アハハ…てか、戻ってくるの早や…



「ホリ!!タロウ連れて逃げろ」

「わかった!!」



ホリはタロウを連れてこの場から逃がした。



そして、



「かかれ…」



黒田の合図とともに公園に俺達の悲鳴が響くのであった。





数分後。



「いてて…ん?ホリ」



ここへ戻ってきたホリは薩摩藩に殴られていないはずなのに傷だらけだったのだ。



「なんで、お前までボコボコなんだ……ホリ?」

「転んだ…」

「アホか」



こいつはバカなのか…




俺はタロウを家に連れて帰りみんな念のため病院に向かったのである。



そして、病院で診察が終わりみんな帰ろうとしていた。



その時



病院に救急車が入ってきており人工呼吸器を着けタンカーで運ばれていく人の姿が見えたのだ。



大丈夫かな。



「行ってみるか」

「ユウ、そうだな」





大勢では入れそうもないのでその緊急オペ室にこっそり俺とヤスとユウで入っていったのである。



そして、何とかその場所に入り込めたが運ばれてきた人は亡くなっていた。



………………………………………………可愛そうだな……………でもな……



俺は命の玉をバックから取り出したのだ。



やっぱり…………………やるしかないでしょ………………………



俺は決断したのである。



この人を助ける!!俺ならできる………いや…俺にしか出来ない。



「よしっ!!」



俺はオペ室に入り命の玉を患者さんの亡骸にのせた。



命の玉は力を発動し浮き上がり色が変化したのだ。



「始まった…」



心肺停止だったようで体に外傷がなく実感がわかなかったが命の玉が緑色になったので俺はすぐに玉をしまってこの部屋から出たのである。



その後



「大変お気の毒ですが…」



そして、お医者さんと遺族の人が歩いてきた。



「先生!!なんとかしてくださいっ」

「ですが、愛弓(アユミ)さんは、もう、息をお引きとりななられたので…」



その時



命の玉の力で生き返った家族を見てお医者さんは絶叫したのであった。




……………俺は…こんなことして…………………………



「本当によかったのかな?」



命ってなんだろう。



自問自答を繰り返す俺にヤスとユウは話しかけてきたのだ。



「いいに決まってるだろ、何行ってんだ人を助けたんだぜ、ダイ、お前のおかげだ」

「最高だぜ、お前のやってることはもし俺の家族がこうなってお前に助けられたら俺は一生感謝すると思う」

「ヤス…ユウ……ありがとう…」

「な、ほら聞こえるだろ、ダイ」

「ヤス…何が?」

「お前が助けた人の家族の声だよ」



俺はオペ室の近くから聞こえる声に耳をかたむけたのである。



「愛弓!!愛弓!!よかった~」



愛弓という人のお母さんの声…



「お母さん!!やめてよ、私もう20歳だよ!!」



さっきまで死んでいた人の声…



やっぱり…助けて良かった…本当に……みんな…ありがとう…



いつの間にか俺は目に涙を溢していた。



「やっぱり良かったと思う…」

「泣くなよ、ダイ」

「ヤス…無理、泣いちゃう」



これがどんなにやっちゃいけないことでも目の前の人を助けられるのに助けないのは人として最低だ。



俺は決めた…この命の玉を使って俺にしか出来ないことをして大切な人を失った悲しみを希望と喜びに変えたい。



その時



そこに悲痛そうに泣いている女性がいたのだ。



「あの…どうかしましたか?」



その女性はこちらに顔を向けると泣いてる理由を話してくれたのである。



「うちの娘が白血病で今さっき………………」



そして、その女性は近くのソファに倒れるように座りたくさん涙を流していた。



そして、俺は即決したのだ。



「よし、助けに行くぞっ」



俺とヤスたちはその少女が亡くなった部屋へ向かったのである。





その部屋に着くと中には顔にタオルがかけられた女の子がベッドで横たわっていた。



こんな小さいのに……



その時



「学!?」



ユウがベッドの近くで絶望している人を見て叫んだのだ。



その人は長州藩のリーダー大神田 学だった。



「なんでお前らここに…」



俺達は部屋に入り大神田 学から少し話を聞くことにした。



「学…まさか…妹?」

「そうだ、俺の妹…千江美(チエミ)だ…」

「大丈夫か、学?」



ユウが心配そうに大神田 学に訪ねると大神田 学は涙を流しながら声をあげたのだ。



「大丈夫かだと……フフ……!!大丈夫なわけねぇーだろっ!!」

「ゴメン…」



剰りにも大きな声でユウはそれ以上何も話さなかったのである。



そして、自暴自棄になった大神田 学はさらに声をあげた。



「謝るぐらいなら、千江美を生き返えらせろぉ!!出来ねぇなら帰れ!!2度と俺の前に現れるな!!」



大神田 学のその言葉を聞いた俺は大神田 学に伝えたのだ。



「だったら……生き返らせるよ」



俺の言葉に一瞬キョトンとするも直ぐに嫌がらせと判断し大神田 学は敵意を剥き出しにしたのである。



「なめてんのかっ!!殺す…」

「いや…ダイ、始めてくれ」



ユウは俺がこれから何をするのか理解したのか大神田 学の前に立って抑えるようにした。



「ああ」

「お前らいかれてんじゃねぇのか!!」



俺はゴム手袋をして命の玉を取り出しのだ。



「なにする気だ!!」

「大神田さん、少し落ち着いて…」



俺は千江美さんの顔のタオルを外したのである。



「何してるんだっ!!」

「大神田さん、いいから見てて」

「うるせぇぇ!!」



しかし、大神田 学は物凄い勢いで俺に飛びかかろうとしてきた。



「落ち着け、学っ!!」

「少し待って」

「よし、始まるぞ」



俺は命の玉を置き俺とユウとヤスで大神田 学を必死で押え込んだのだ。



「離せよっ!!」



俺達を蹴飛ばし大神田 学は命の玉に触れようとしたのである。



その時



「なっ…」



命の玉が赤くなり浮いたので大神田 学は驚き止まった。



「な、なにが…起こった…」



そして、命の玉が力を発動したのだ。



病死なのでさっきのように外見に変化がなかったが命の玉の色が元に戻ったので俺は命の玉を箱に入れてバックにしまったのである。



「なにしたんだっ!!」

「学、見てみろよ」



ユウが大神田 学を千江美ちゃんの方へと向かせた。



「えっ!?」



大神田 学は生きている千江美ちゃんを見て驚愕しその場に尻餅をついたのだ。



「お兄ちゃん…」

「ち、ちっ、千江美っ!?」

「どうだ、学」

「裕矢、なにやったんだ!?」

「ダイに聞いてくれ」

「この玉は命の玉…たいていの生き物を何度でも生き返らせることができるんだ」



俺は大神田 学に命の玉を見せて説明したのである。



「まじかよ…」

「ああ」





その後、大神田 学のお母さんも来て驚いていたが泣きながら千江美ちゃんを抱き締めていた。



俺は…こんなことして……いいや…



「これはいいことだ…」



俺はそう信じることにしたのだった。





俺とヤスとユウは下に戻りみんなと合流し帰ろうとしていたがそこに大神田 学がやって来たのだ。



「三村さん」

「何んです?大神田さん」

「学と呼んでくれ」

「ああ、わかった、学」

「それから、あなたのことダイさんと呼ばしてくれ」

「えっ………まぁ、別にいいけど…」

「ダイさんありがとうございましたっ!!」



なんだこの展開……



俺は少し恥ずかしくみんなに話しかけたのである。



「まっ、ひとまず、病院をもう少しまわってみるか?」

「そうするか、学も一緒に来いよ」

「ああ」



ユウの誘いに学も笑顔で頷いたのだった。



俺はまだ知らなかった…命の玉の甦生エネルギーには恐ろしい力があることを……

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