夢と幻
辛いのも苦しいのもきっと幻覚さ。
ほら、正義に酔いなよ。
空っぽのグラスで乾杯しよう。
この涙もきっとまやかしさ。
ほら、夢に溺れなよ。
氷を毛布で包むのさ。
意味のない文字の羅列。
メロデイの欠けた音。
ほら、理想を描きなよ。
その血だらけの手で──、
ほら、道を作りなよ。
その傷だらけの足で──。
悲しみも苦しみも辛さも痛みも。
全てはまやかし。
誰かが見せた影法師。
空っぽのグラスを地面に、叩きつけて
氷を地面に投げつけて
そんなことをしても
変わらない空虚。
夢の中を彷徨って、幻を追いかける。
そんな憧れを抱いてみる。
この痛みも傷も、怒りも憎しみでさえ、
全てはきっと夢と幻。
ほら、死を見つめなよ。
その中に、生がある。
そんな空虚な妄想を、
僕らは描いている。
さぁ、空っぽのグラスで酔いしれよう。
悲しい夢から醒めるまで──。