第八話
「魔王が持っていた例の物は後々探すと言うことで、ところで」
ピィが女王陛下の前で畏まったままの姿勢で付け加える。
「魔王を倒した者は女王陛下と結婚できると言う話しは本当なのですか?」
へ?結婚?誰が?
僕は耳を疑った。
「ふむ。それは亡きパパ上が勝手に決めたことじゃ」
玉座のような立派なイスに座っていた小さな女王陛下はぴょんと降りると僕に近付き、じっと僕の顔を見ると。
「それに、私にだって選ぶ権利があるわ」
プゥーと頬を丸く膨らませて言われた。
は?
いや、こんな小学生みたいなちっちゃなプリンセスに断られる僕って…?
「し、しかし、国の者全てが魔王を倒した者と女王陛下がご結婚なさると思っております。せっかく魔王を倒した者が現れたのですから…」
「私は、もっともっと格好いい者と結婚したいのじゃ、背が高くてイケメンで、そそ、アンディ王子のような…」
「で、ですが!」
「とにかく、私は新しいソファーが手に入るまで誰とも話したくないでしゅ」
大きな穴の開いたソファーを見て、泣きべその顔のまま女王陛下は、従者と一緒に部屋を出て行った。
「おい、ピィ、女王との結婚って何だよ?それと魔王の持っている例の物とか、女王に会ったら元の世界に返してくれるんじゃなかったのかよ!」
女王さまの姿が見えなくなってから、ピィに問いただした。
「あれ?説明してなかったっけ?」
てへぺろと言うように、ペロッと舌を出して片目を閉じた。
「まず魔王はある特種な玉を持っていて、その玉を持っている者は、第三者にスキルを収得させることができると言うものなのです!その玉を持っている本人には何のスキルも手に入れることはできないのに第三者には収得させることができるなんて、とても素晴らしいですよね⁉」
「…」
「ちなみに、何のスキルが手に入るかは個人差があるので手に入れるまで分からないようですが…」
もし、そのスキルが世界征服できるような物だとしたらそれをもらった人間は神になることも可能かもしれない。
それから…。とピィは続けた。
「あ、それと女王さまとの結婚は魔王を倒した勇者のみの特権なので、是非是非女王さまと結婚して、私に恩恵を与えてくださいまし、アイトさま」