第七話
「女王さまはまだかなー?」
フカフカのソファーの上をピィはぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
女王陛下の謁見を許可され、城に通された僕たちはどこまでも広い宮殿内を探索していた。
つい先程まで僕の背中で眠っていたピィの元気はとどまることを知らないようだ。
「ピィ、そんなに跳ねたらソファー壊れるよ」
「大丈夫、大丈夫、女王さまのソファーは高級だからこのぐらいじゃ壊れないー」
その言葉を最後まで言い終える前に、ズボッとイヤな音がした。
言わんこっちゃない。
大きく開いたソファーの穴に見事にピィがはまっていた。
「あーーーーー、ミラのお気に入りのソファーが」
甲高い少女の声が響き渡ったかと思ったら、サーモンピンクのドレスを纏った少女がソファーに向かって一直線に走ってきた。
「ミラのソファー」
うわーん、と大きな声を上げて泣き始める。
「あ、あのお嬢ちゃん、取り合えず、ちょ、ちょっと落ち着こうか?」
「ちょっと、馴れ馴れしく触らないでくださる?」
泣いている少女を慰めようと触れた肩を振り払われた。
つぶらな大きな緑色の瞳に涙をいっぱい溜めながら、
「私を誰だと思っているのですか?私はこの国の女王ミラ・サリエールでしゅ」
へ?
この小さい女の子が女王?
女王ってもっと威厳のある人がなるんじゃないの?
しかも、でしゅだって。
腰までの長いブロンドの髪の上に、プラチナ色に輝いているティアラが乗っかっていた。
「女王陛下、彼が魔王を倒した勇者であり、そして、このソファーに穴を開けた人物です」
既にソファーから這い出ていたピィは女王の前に膝を付いた。
いや、いや、今何て言った?
「お前がミラのソファーを…。者共、こやつを打ち首にしなしゃい」
女王の言葉に従者たちが僕の腕を掴んだ。
「あ、あの、ソファーは僕がやった訳じゃ…」
「男のくせに自分の罪を認めないんでしゅか?」
「え?いや、だから…」
このままじゃ本当に打ち首にされてしまう。
「お待ちください、女王陛下。その者は魔王を倒した者です、配慮をお願いいたします」
しらじらしくピィは僕を庇うように立った。
「ま、魔王を…。うーん。でも、ミラのソファーが…」
女王陛下の頭の中では、ソファー<魔王、魔王<ソファーと言う公式が浮かんでいるのであろう。
「魔王を倒したと言うならば、魔王が所持していた例の物を持ってきたのか?」
ひとまず、ソファーのことは置いとき、話を進めた。
例の物?
「恐れながら女王陛下、例の物はまだ見つかっておりませぬ」
僕が答えるよりも、早くにピィが答えた。
「あれが無ければ、魔王を倒したとこで何の意味もない、早急に探してくるのじゃ」
「畏まりました」
勝手に話がどんどん進んでるけど、例の物って?




