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第21話

魔王の持っていたスキルは自分の力を第三者に与えると言うスキルだと、ピィは言っていた。


「まさか逆にスキルを奪うモノがいるなんて」


鳥からまた人間の女の子の姿に戻ったピィが窓際に置かれているグラスに入った1輪のアイリスの花に触わりながら言う張り詰めたピィのこめかみがピクピクと震えていた。


「あなた何者ですか?」


窓から入ってきた冷たい風がグラスをカタカタと揺らした。

そんな事を言われたアイリスはどう反応していいのか分からず、困ったように僕に視線を送ってきた。


「どうしたんだよ、ピィ?」


こんな険しい顔つきのピィを僕は見た事が無かった。


「急にどうしたんだよ?」


ピィは微動だにせずアイリスを睨み続けていた。


「あなたただの人間じゃないでしょう?」


「……さっきから何を言っているんだ?」


「昔、魔王が言っていたの。魔王とは逆に他のスキルを奪うモノがいると。その話を聞いた時はにわかには信じられ無かったけど、まさか本当に存在していたなんて」


「だから、さっきから何を言ってる?」


つかつかとアイリスに歩み寄り、背を伸ばして彼女の目を覗き込むもんだから、圧倒された彼女は数歩後退りしてしまいテーブルに置かれていた薬湯を湯呑みごと倒してしまい、ガジャンと砕け散る音が響いた。


「自分には何の自覚も無いのですね」


ピィは粉々になった湯呑みを拾い集めながら、自分と魔王との関係を話し始めた。

自分は鳥の姿に変えられ人間界でずっと魔王に捕らわれていた事。

その時に魔王がスキルの話をしていた事。


「魔王のある特種な玉を持っていました。その玉を持っている者は第三者にスキルを収得させることができると言うものなのです。その特殊な玉を持つ前の魔王は無敵でした。しかし、その玉を持ち何のスキルも無くなった魔王はその事を他人に知られる訳にいかず、国から姿を消し人間界にきたのです。魔王の持っていたスキルは今も誰かに与えられているのです。それとは逆にスキルを奪うモノがいると言ってました。それがあなたです」


「…私が?」


「これを手に持ってください」


拾い上げた湯呑みをアイリスの手の上に置いたピィは彼女の手をギュっと握らせた。

すると、さっきと同じ現象が起きた。

少しづつ集まった光の固まりが湯呑みを元の姿に戻した。


「これは…」


「自分に自覚が無いのならこれ以上これ以上あなたに何を聞いても無駄ですね。アイトさま、もう行きましょう!」


まだ唖然とした顔で湯呑みを眺めているアイリスをそのままにして、立ち上がったピィは僕に向かって微笑った。


「夕食の買い物の続きしましょう、アイトさま」



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