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41話 ミオ姉さん

「おはよう、ユヌ。ぐっすり眠れたか?」

「どの口が言う(おはよう)か」

「こら、威圧するのをやめなさい」


 宿まで迎えに来たルカが、爽やかな顔で朝の挨拶をのたまってこられたので、軽く魔術を発動させて威圧する。

 あの後、私はずっとエミィさんの話に相づちを打っていたのだ。別にエミィさんのことが嫌いという訳じゃないし、あまりにも楽しそうなところを邪魔するのもどうかと思い、適当に対応し続けた。

 若干塩対応にはなっていたかもしれないが、まぁよく頑張ったんじゃないかな。エミィさんが話疲れて眠るまで私頑張った。寝れたのは深夜に程近かったと思う。ただ、気を抜くと聖女を称える声が頭の中をぐるぐるし始めるような状態だったので、眠りはひどく浅い。


「まぁなんだ、その、すまなかった。興奮して我を忘れていたんだ……」


 エミィさんは一晩過ぎて興奮が収まったのか、すっかりいつもの調子に戻っている。

 「いつも通りの、そのままのエミィさんでいてください」という本音は心にしまっておき、私は自責の念を感じているエミィさんのフォローに回る。


「あぁいえ、エミィさんが悪いわけじゃありませんから。聖女の力の一端を見たんですし、私もあれには感心しましたし、溢れ出る気持ちも仕方ないですし」


 騒然としていたあの場を、祈り一つで静めてみせたあの力はすごいと思う。

 あの力が私にもあれば、昨日の夜も快適だったんじゃないかな。


「じゃあ二人部屋しか取れなかったんだから、俺が一人離脱したのも仕方ないな」

「それとこれは話が別」

「えー」


 そんな感じで軽口を交わしつつ、部屋の鍵を受付のおじちゃんに返す。エトムントさんのところとは比べ物にならないが、結構良い雰囲気の宿だったので、今夜も来ることになるかもしれない。

 まだまだ皇都を巡りきれていないし、少しお金を蓄えてから出発しようと思ってるので、宿にもまだまだお世話になるだろう。



 さて、ところ変わってギルドである。

 ギルドの中は昨日とはうって変わり、人がたくさんだ。朝は護衛を求めてやってくる行商人がいたり、新しく掲示される依頼があったりするので、競争率が高い。皆、いち早く良い依頼を手にするために待機しているのだ。

 私たちは人々が群がっている掲示板前とは逆方向へ歩を進める。その先は机や椅子が並ぶ軽食スペースとなっており、人はまばらに数人と、6人程のグループが2つ座っているのみだ。


「あれ? ミオ姉さんいなくない?」

「んなことないぞー」


 ルカは否定するが、座っている人たちの中にミオ姉さんらしき人物は見当たらない。

 と、あちこちに目を向けている最中に、突然視界が暗くなる。


「だーれだ?」

「……ミオ姉さん、わざわざそんな悪戯しないでくださいー」

「うふふ、ばれちゃった」


 ぱっと目を隠していた手が退けられ、視界に光が戻る。

 振り返れば一人の女性が屈託ない笑みを浮かべていた。

 鮮やかな黄緑色の瞳を細め、朱の唇の端にはえくぼができている。可愛らしい笑顔というよりは色気を感じる笑顔で、女子である私もドキッとしてしまいそうになる。ルカと同じ目を引く銀髪はポニーテールにまとめられているが、その髪の先端は腰の辺りに届くほど長い。シャツとスカートの上から膝丈の黒いマントを羽織り、そこから覗くすらっとした足は私の憧れだ。背も私の二回りは大きいし、胸も大きい。

 総じて私が考える女性の理想像に近い、というより私の女性の理想像の根幹となったのがミオ姉さんである。久々会ったが、相変わらず綺麗だ。


「皇都までよく来たわねー。いろいろ大変だったでしょう?」

「遠路はるばるやってきました! ルカがいてくれたから危険なんてこれっぽちもありませんでしたよ」

「そう? まぁうちの泣き虫が役に立ったのなら良かったわぁ」

「泣き虫とかいつの話だよ……まったく」

「そうだったのは本当だもの。ところで、ユヌちゃんはこれからルカと別れてあちこち旅するのよね? 護衛とか大丈夫? 間違っても男なんて護衛にしちゃだめよ。何なら、私が可愛いユヌちゃんをちゃんと守ってくれる人を推薦してあげるわ」


 笑みを浮かべていた顔は一転して心配そうな顔になる。性格も相変わらず、優しいな。

 さて、ここで先ほどからずっと緊張感を漂わせた木偶の坊になっているエミィさんを会話に引き込もうか。


「護衛はもう頼んであって……こちらがその護衛さんです」

「あ、あぁ。エマヌエーラ・ビーシア・ヴォルテという。リシッサの里までの護衛を引き受けている」

「へぇ。んー、ちょっと釣り目だけど、体形はそんなおかしくないし、その帽子は高評価。あ、ひょっとして獣人さん? 獣耳だけついている感じかな。うん、可愛いね。ねぇ、良ければ今日一緒に寝ない?」

「はっ?」

「こんのばか姉貴! ここギルドだぞ、自重しろ自重を!」

「なぁに、ちょっとしたジョークじゃない。半分は本気だけど」


 流石ミオ姉さん、初対面の相手にジョークを言って場を和ませてるんですね!

 エミィさんは開いた口が塞がらないようだが、そこにもう緊張感はない。


「ちょっと待った姉貴。それホントに半分? 目が結構ガチなんだけど」

「そんなことないわぁ。まったく、この弟は変な言いがかりをつけるのが好きなんだから」

「……随分と個性的な方だな」

「そうですよねぇ、ミオ姉さんって素敵ですよねぇ。私の憧れなんですよー」

「ユヌは……そのままのユヌでいてくれ」



どうしよ、これR15タグつけた方がいいのかな……

でもそんなガッツリ書く予定もない、そもそも想像できないんだよなぁ

……こんなのはミオだけだろうけど、問題だったら誰か教えて(思考放棄)

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