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十七章 戦いの終わり



「行くぞ!」「でやぁっ!!」


 僕が先陣を切ってボクサーさんに躍り掛かる。周りの悪魔達が襲い掛かってきたが、背後から召喚された雷龍とシルクさんの刃で悉く破壊された。


「たあっ!!」ガンッ!


 首を狙った一撃は鉄パイプに阻まれた。だが、


「行け、冱える弾丸!!」


 飛び退き際に放った弾で、武器と同化した彼の右腕が凍り付き動かなくなる。左手を掲げたままの僕の右からヒュッ!白刃が伸びた。


「猩々しょうじょうひ!!」


 ハルバートが神速の早さで閃き、両腕と残った片脚を切り飛ばし、更に悪魔化した全身に無数の傷を施した。一拍置いて血液が一斉に噴き上がり、彼を技の名前通りの色に染め上げる。

「やりましたか!?」油断せず手を下ろさないまま僕は尋ねる。人間なら確実に即死だが、ボクサーさんは最早怪物。案の定、シルクさんは首を横に振った。

「ガ……グガ………!」

「フン、ついでに玩具も壊れたようだな」

 割れた破片を拾い上げるが、顔の前に持って来る前に灰となって風に流れてしまった。残っていたはずの悪魔も、ベルの消滅と一緒に消えてしまったようだ。

「さっき得意げに鳴らしていた奴ですね~何なんですか~?」デイシーさんが余裕たっぷりに尋ねる。

「自らの魂を犠牲に悪魔を作り出す道具だ。三件の殺人では死体が燃やされていただろう?」

「ああ~、そう言えばさっきの悪魔達も炎を使っていましたね~。成程、あ!」

 養女を胸の前で抱え、オリオール君がふらつく足取りで歩み寄る。横でリサさんが手を貸した。

「ありがと。まだ息はあるの?」

「残念な事にな。文句を言うなら今の内だぞ」

「ではお言葉に甘えて」

 彼は殺人犯の正面に立ち、バンッ!頭を思い切り蹴飛ばした。


「よくも皆を!このロリコン野郎、地獄で反省しろ!!」


「わっ!?」

 言うなり彼が崩れ落ち、僕とリサさんで慌てて支えた。素早くデイシーさんが脈を取る。

「失血が酷いのに急に動くからです~。大丈夫、貧血で少し気絶しただけ~。そこに凭れさせておこうか~」

「はい」「うん」

 三人で抱えて近くの樹の幹へ座らせる。仮令意識が無くとも、大事なレティさんを掴む手の力は少しも抜けていなかった。

 愛しい女性の方へ視線を向けると、かつての同僚の怨嗟の言葉に黙って耳を傾けていた。

「何故ダ、クレオ・ランバート……!?エレミアデモ、コノ世界デモ、ナゼ手前ミテエナ機械野郎ガ大事ニサレル!!?」

 かつての面影は微塵も無い、傷だらけの形相で叫ぶ。

「生キ返ッタ訳デモナイノニ、チヤホヤサレル手前ハ一体何様ノツモリダ?」

「随分饒舌だな駄犬。まあ、そのなりではもう口しか動かせんか」

 冷ややかな反応に、怪物は目の下まで裂けた唇を引き攣らせた。

「アノ日モソウダ。子供ミテエニ負ブラレテ、二人デギャアギャア喜ビヤガッテ」

 その一言に、今朝の記憶の続きが蘇った。




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