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とある子作りの記録

作者: おポチ

さて、以下の名言(迷言?)にもあるように、


   r ‐、 

   | ○ |         r‐‐、

  _,;ト – イ、      ∧l☆│∧   良い子の諸君!

(⌒`    ⌒ヽ   /,、,,ト.-イ/,、 l  

 |ヽ  ~~⌒γ⌒) r’⌒ `!´ `⌒)   「やればできる」

│ ヽー―’^ー-’ ( ⌒γ⌒~~ /|  いい言葉だな!

│  〉    |│  |`ー^ー― r’ |  我々に避妊の大切さを教えてくれている!

│ /───| |  |/ |  l  ト、 |  

|  irー-、 ー ,} |    /     i

| /   `X´ ヽ    /   入  |


そう、やればできるのだ。

逆に言うと、「ヤらなきゃできん」のである。

というわけで、多分まだ新婚世帯の新妻として、そうと決まれば一直線。

折りしも、今日は週末土曜日。夕飯終わった、風呂も入った、旦那さん(ターゲット)はお休みモードに入った。

よし、いざゆかん、寝室という名の戦場へ!


ガラッ


「旦那さん、さあヤろう!」

「帰れ!」


ピシャッ


 と、ここまでせっかく作戦通りだったのに、なぜか拒否られた。

「何故!? なさねばならぬ何事も!だよ?!」

「いいからとりあえず服を着ろ! 脱ぐの早すぎだろ!」

「え…。 …そうか、ごめん、制服とかの着衣プレイのがよかったんだね…。」

「そうじゃない、いや、間違ってないけどそうじゃないんだ。とりあえず落ち着け。話し合おう。」

「肉体言語で?」

「普通に言語コミュニケーションでお願いします。今日はマジ無理だから。」

「OK,少し待つんだ。」


 その後、パジャマを着てきた私に、旦那さんは語った。

「あのな」

「うん」

「お誘いは嬉しいんだけどな」

「うん」

「もうちょっとこう、雰囲気とか恥じらいとか慎みを」

「ねえ旦那さん」

「うん?」

「あえて聞くよ? 旦那さんがもらってくれたから元つけるけど、元喪女にそんなものが備わってると思う?」

「…。」

 旦那さんは、本棚の一角に積まれた腐ってやがる本の山を見て、リビングの前の恋愛ゲームの山を見て、最後に萌えキャラがデスクトップのパソコンに目線をやって、最後にこちらを見た。

「ね?」

「…っ、だ、だけどな…。すまんが仕事終わって疲れてるときにこのノリは無理だ。」

「そっか、わかった! ごめんね、次は善処する!」

「頼むぞ、本当に…。」

 とりあえず、二人して疲れてたので、そのまま寝た。その週末は二人仲良く某投稿動画サイトを鑑賞したりして、何事もなく終わった。柴犬動画、可愛かった。



そしてしばらく経った土曜日。

 仕事が終わって、俺は疲れた体と心を引きずって家路を急いでいた。

 仕事なんて大嫌いだが、家には可愛い嫁が手作りの飯とともに俺を待っていると思うと、もう少しだけなら頑張れそうだ。今日の夕飯はなんだろうか。幸い、俺の嫁はメシウマで、なんでも美味い。楽しみだ。

「ただいま~。」

「おかえり!!」

 玄関ごしに挨拶を交わしつつ、俺はリビングダイニングの扉を開いた。

「ご飯にする? 食事にする? それとも、め・し?」

 ダイニングテーブルの上。そこには嫁が寝転がっていた。全裸で。

 その上には芸術的なまでに、際どい場所にまでびっしりと、刺身が盛りつけられていた。

「アホか!」

「えー。だめー? 頑張ったんだよセルフ女体盛り!! あ、ちゃんとばっちくないよ食べれるよ? 体綺麗に何回も洗ったし、大葉しいてあるし」

 そういう問題じゃない。

 まさかリアルでorzをやることになるとは思わなかった。

「もうだめだこいつ早くなんとかしないと…。 とりあえず刺身は勿体無いから皿に移せ! そして服を着ろ!」

「ぬー。お約束の台詞でシチュエーションもばっちりだったはずなのに…何故だ…。」

 ぶつぶつ言いながら、嫁は服を着た。それにしてもなんでこう脱ぐのが好きなんだこの嫁。

「努力は認めるが、方向性が斜め上に間違えとる。ここからどこをどうすれば盛り上がるっていうんだ」

「据え膳食わねば武士の恥なんですよ!?」

「ないわー。とりあえずお腹すいてるんで早く普通のメシ食わせてくださいお願いします。あと嫁よ、エロゲのテンプレ見すぎだ。脱げば立つと思ってるだろ…」

「え、だめっすか。基本だと思ったんだけど」

「自分におきかえてみろ。嫁さんが帰ってきて、俺が下半身マッパで『や ら な い か』とかってお出迎えしたらどう思う?」

「へ、へんたいだー!」

「…な?」

「…うん、ごめん…。でもさ、こないだの夜襲も失敗したし、風呂上りにセクハラしたら怒られるし、脱いで待ってればアウトって、次はどうすればいいと思う?」

「…思えば、とんでもない変態だよ、嫁さん…。いや、もはや言うまい。何もしなくていいんだ。そのままでいいんだよ嫁さん。黙って立ってれば普通に可愛いんだからさ…」

「旦那さんにばっかり努力させるのも何か違うと思ったんだけどなあ…。」

「それも何か努力の方向性が違うと思うぞ…」

その後、気を取り直して食事を食べ(ちなみにメニューは別に作ってあったシチューだった。)、風呂に入り、刺身を食べつつ二人で晩酌を楽しんだ。そして並んで寝た。残念ながら、二人ともしこたま酔っていたので、18禁な事態にはならなかった。



「にしても、難しいよなあ、そういう雰囲気って」

 そんな日々を過ごしていた、とある金曜日。二人は寝ぼけながら朝食をかじっていた。

「そういう雰囲気って?」

「『あなたと合体したい!』」

「表現がストレートなのは高評価ですが、元ネタ古いのが残念ですねっ」

「言ってろ。まあ、そろそろ子供欲しいよなあ」

「欲しいねえ。きっと旦那さんに似て中身イケメンになるよ!」

「ブサメンで悪うございました。いや、外見が嫁さんに似て欲しい!したら確実に可愛い子になる!」

「よし、今夜頑張ろう! とりあえず、高校の制服とナース服とスク水とどれがいい!?」

「…どうしてそこでコスプレって発想になるんだ嫁さんよ…。普通に湯上りバスローブでいいじゃないか。」

「どうしてー? せっかくだし頑張ろうよ! 諦めたらそこで試合終了なんだよ?! ほら、○っき!○っき!」

「だからそのノリやめろって! 頑張ろうとした分、余計萎えるから!」

 旦那さんは逃げるように仕事へ行ってしまった。

「よし、旦那さんが楽できるように頑張るぞっ」

 また帰ってきた旦那さんがツッコミに苦労したとか、しないとか。



 それから2年近く後。とあるご夫婦の間に、可愛い赤ちゃんが誕生した。

 二人の子作りは終わった。

 だが、子育てはまさに始まったばかりだ!

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