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麒麟児と宿命の子  作者: 揚羽伯爵
1/1

01:生誕

※注意事項※


忍なろ当初の設定をお話に書いた物。

咲夜兄がチートすぎる。そして影響を受けて羽野家もチートすぎる。

 むかしむかし。遠い昔のお話。ある所に、瑞獣の祝福を受け生を授かった子がおりました。彼の名を東雲、と両親は御付けになりました。夜明けを意味するその名は「世開け」に通じるという意味も込められて付けられました。


 その子が五つになる頃、とある変化が訪れました。



「父様、あれは一体なんですか?」



 指を差したその先には何もありません。ですが、父親にも母親にもそれは確かに視えます。



「あれは類稀なる者にしか視ることのできない光だ」

「たぐいまれなる?」

「普通の人には視ることが出来ないんだ。お前は我が家の血の影響を受けて視える」

「あの光は、ふつうじゃみられないんですか?」

「そうです。あれは私達の道を示すものです。私達が絶える時はあの光も絶えるのです」



 その意味を、五つの東雲には理解できませんでいた。そして幾年かの時が経ち、彼は八つになり、彼の下には妹と弟が生まれ家族仲良く暮らしていました。そんな時、彼は父親と二人で知り合いの神社へと訊ねて行きました。神社の宮司は快く二人を迎え入れ、部屋へと通しました。



「久しぶりだな、変わりはないか?」

「ああ、お前こそ。東雲君は随分大きくなったね。何年振りだ?」

「もう五年が経つ。東雲はまだ三つだったから覚えていないんじゃないか?」

「はい…すいません」

「いいんだ、謝ることじゃない。にしても立派に育ったものだ」

「そういうお前は?」

「今年四つと二つになる娘と生まれたばかりの息子がいる」

「それはめでたい。うちにも東雲の下に、同じく四つになる娘と三つになる息子がいるんだ」

「おお、ほんとか。それは今度是非お目にかかりたい。妻が奥方にも挨拶したいと言っていたんだ」

「いつでも遊びに来い。勿論、子供たちも連れてな。それで本題だが………」

「ああ、分かっている。…光のことだろう」

「それと、…神獣からの祝福についてだ」



 八つの東雲には二人が何を言ったのか、大体は理解できました。それでも大人の会話ですから、まだ分からない言葉も飛び交い始めました。



「最近光が揺らぎだした。何かの前触れかもしれない」

「良い方に進めばいいが…こちらでも最善を尽くして調べよう」

「ああ、頼む。それで、祝福の件についてだが…」

「何か分かったのか?」

「………神獣が分かりそうなんだ。東雲が、夢で視たというんだ」

「東雲君、それは本当かい?」

「はい。馬の体をしていました。でも所々に鱗があって、頭が龍でした。それで、全体的に青色の生き物でした」

「…なにか分かるか?」

「………それは、麒麟だ」

「麒、麟…だと……360種類ある毛のある獣の長とされ、仁徳の高い生き物とされている…」

「そうだ。しかも珍しい青麒麟、別名を聳弧といい、時代によっては龍の頭や鱗を持つものいるというから、多分…」

「そうか…。だが、善良で平らかな治世の前兆のはず…」

「ああ…。問題はそこなんだ」



 そういった宮司の瞳は疑問と不安で揺れていました。



「今の時代を考えれば、南の方では戦乱が起きている。この領地もいずれは荒れる。我ら民は飢え滅びる…そう考えれば、噛み合わない」

「ああ…だが、麒麟以外に考えられないのだろう?」



 その言葉に宮司はただ頷くことしか出来ませんでした。話を聞いていた東雲には、自分に関することだとは分かりましたが、どんな内容なのかは理解できませんでした。やがて宮司は何かを考えた後、ゆっくりと口を開きました。



「…頼みがある」

「なんだ」

「今夜、此処へ泊まって行ってはくれまいか?」

「…何故だ?」

「私の娘は見鬼の才・感じる力・夢見の才がある。特に感じることは鋭いし、夢見は他人の夢までも共有する力がある…その力を使いたい」

「東雲の夢の中に入り込んで、対話を試みる、というのか…」

「ああ。それが一番の策だ。…対話が出来るどころか、会う事さえできるかままならないが」

「分かった。では息子を此処へ置いていこう。私は明日の朝迎えに来る」

「…分かった。済まない」

「いや、此方こそ済まないと思っている。久し振りの再会だというのに楽しい会話一つ出来ていない」

「気にするな。私はそれでいいと思っている、昔からの仲だ」

「…そうだな。では東雲、今の話を聞いていたな」

「はい、父上。此処へ一晩泊まるのですね」

「そうだ。明日の朝早くに迎えに来る。それまで迷惑をかけずに楽しく過ごしなさい。お前より歳は下だが遊び相手もいるからな」

「はい」



 東雲には、家族と離れるという少しの不安こそあれど新たな友が出来ることに喜びを感じていました。すると宮司は障子の方へと視線を向けるとその表情を緩めて笑みを浮かべました。



「咲夜、隠れていないで出ておいで」



 その言葉に、東雲と父親も障子の方へと視線を向けると、小さな隙間が開き、そこに白く細い指が入り込んでゆっくりと開けば、小さな少女が顔を覗かせました。



「東雲君、あれが娘の咲夜だ。咲夜、此方へおいで。そしてご挨拶なさい」



 宮司の言う通り、咲夜と呼ばれた少女はおずおずと中へと入ると、宮司の隣へ座り、丁寧に頭を下げました。



「羽野黎明が娘、羽野咲夜と申します。よろしくお願い致します」

「これは驚いた。まだ四つだというのに、申し分ない挨拶だ」

「何かと大人びた発言をしたがってな…子供らしくない言動すらいうんだ」

「子供とはそういうもの。自分達にもあったはずだ、そうだろう?」

「ああ。さて、咲夜。東雲君を連れて外で遊んで来なさい」

「はい。行きましょう」



 咲夜は東雲の手を引いて外へと連れ出しました。東雲はというと、その時どうしていいか分かりませんでした。同年代より下の、自分の妹と同じ歳の娘に手を引かれるということはまずありませんし、幾ら幼いからとはいえ、男女が共になって遊ぶこともないからです。


 あとになって東雲は気づくことになります。少女は人見知りでありながら、自分に怯えることなく真っ直ぐに向き合っていたことに。そう、これが彼と少女の最初の出会いだったのです。

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