立冬
文化祭も終わったものの、一息つく間もなく、期末テストの準備を始めなければならない、高校2年の井野嶽幌と双子の姉である桜は、家でおかきを食べながら勉強をしていた。
「どんな調子?」
「見りゃわかるだろ」
教科書と参考書を同時に見ながら、ノートに問題を解いていく幌を見ながら、桜はバリバリとおかきを食べ進めている。
「姉ちゃんも、ちゃんと勉強しろよ。おかきばかり食べてないでさ」
「いいじゃん。今日はおかきの日なんだし」
桜がさらにおかきを食べつつ、幌に言った。
「なにせ、家族だんらんとおかきは切っても切り離せないものだからね」
「確かにな。後は温かい玄米茶でも欲しいところだけど……」
言った途端に、桜がパァという効果音と共に顔を輝かせていた。
幌は、いつも通りと言わんばかりに、何も言わずに立ちあがった。