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 連休初日の幼馴染みと俺

待ちに待った高校最初の連休―――――


『ゴールデンウィーク』


そう。今現在俺は、『ゴールデンウィーク』の真っ最中・・・というよりは初日。

・・・・・なんだが今俺は家にいる。

コンコンッとドアをノックする音が俺の部屋に鳴り響いた―――――が、俺の耳には届かなかった。

―――――何故なら俺は眠っているからだ。・・・ぐっすりと。

「おにぃちゃん?・・・あれ、居るのかな。まあいいや、入っちゃうよ!」

 そうとは知らない双子の妹「()()」は、自分の兄貴の部屋に入ってきた。

「おにぃちゃ・・・・・って、まだ寝てたのっ!?もう10時だよ!起きてよっ!?」

 そう言って結衣は俺から布団を引っぺがして俺の体を揺すってきた。

 寝ぼけている頭で開口一番にボケをかましてみた。

「・・・・んぅ?あと3万9千8百年・・・・・・・」

「桁がおかしい上に何そのお得感のある数字は!?」

 ナイス突っ込みだ。流石俺の双子の妹だ。

 俺は腕を上げ、親指をグッと突き立てた。

「・・・・・おにぃちゃん、起きてるでしょ」

 ジト目で結衣に睨まれた。ははっ、流石にこのボケは無いな。

「まあまあ落ち着けって妹よ。まだまだ休み初日だぞ?別に1日中寝る訳じゃないんだか――――――」

「でもほっといたらそうなりかねないでしょ・・・」

「・・・・・ごもっともです」

 くっ、痛いとこついてくるな。否定できない俺も俺だけど・・・。

 するとリビングから電話の鳴る音が聞こえた―――――って、あれ?今日何かあったような・・・・ってあぁっ!?

 思い出した。思い出したぞ!

 俺は急いでリビングに飛び込み、受話器を取って耳に当てた。

「あ、あのぅ・・・もしも―――」

「あんた何やってんのよ!!今日9時から2人で出かけるって昨日約束したでしょ!?・・・まさか忘れてたとでも言うんじゃないんでしょうね」

 突然の大声に目を細める。

 ちなみにこの声の主は2人いる幼馴染みの「小鳥遊姫乃(たかなしひめの)」だ。腰まである黒い髪に透き通った黒い瞳でツリ目、性格は勝気で負けず嫌い。そんでツンデレのツインテールというギャルゲに出てきそうな少女だ。

「えっと・・・そのまさかだったりします」

 うん。悪気は核兵器を都市部で使用されたくらい何も無い訳ですよ。しかし俺のそんな気持ちは伝わるはずもなく―――

「バッカじゃないの!?・・・はぁ、呆れた。もういいからさっさと来なさいよ」

「イ、イエッサー・・・」

 ブツッとあちらから切られた。とにかく仕度しなきゃだな。

(・・・・・先が思いやられるなぁ)

 重い足取りで自分の部屋へと向かっていった。


 忘れていたけど俺は()()(はる)()。いたって普通の高校1年の15歳だ。まぁ普通かどうかは知らんけど別に超能力が使えるとか魔法とか実は精霊とか、そんなとんでも設定な人間では無いからな。


 と、こんなもんだろ。

 自室のタンスからTシャツとジーパンを引っ張りだし、急いで装備をチェンジし、バッグを持って玄関まで走り抜けた。

「ほんじゃ、いってきまぁす!」

「いってらっしゃい、おにぃちゃん」

 結衣に見送られ、目的地―――姫乃の家の近くの公園へと走りだした。

 空を見上げると雲一つ無く綺麗な青空が広がっていた。絶好のお出かけ日和だな。

そうこうしている内に(ただ走っているだけなんだけど)目的地の公園に到着した。周りを見るとベンチに姫乃が座っていた。急いで歩み寄る。

「すまん。寝坊した」

「まったく・・・そういうのも大概にしてよね。7年一緒に住んでいた私ならともかく他の娘だったらBADEND直行よ」

「・・・肝に銘じておきます」

 そうだよなーってまあ昨日ずっと夜通しでギャルゲやってたからだけどな。おかげで3人攻略出来たけど。

「どうせ夜通しでギャルゲやってたんでしょうけど・・・」

「ッ!?な、何故それを!?」

 何?何なの?その「あら?図星なの?」という表情は。

 幼馴染みの勘の鋭さに頭を抱えていると、姫乃は立ち上がり、急かすように言って来た。

「早く行くわよ。誰のせいでこうなったと思ってるの」

 いや、ホント・・・すんません。

 姫乃は踵を返す。そこで今更ながら気付いてしまった。

「姫乃。・・・その、服似合ってるな」

「――――ッ!?」

 突然褒められて恥ずかしかったのか頬を赤らめて俯いてしまった。

「な、何よ・・・急に」

 ?何か言ったみたいだったが、よく聞こえなかった。

 急に姫乃は俺を見て一言。

「か、勘違いしないでよね。別に褒められて嬉しかった訳じゃないんだからねっ」

「はいはい」

 苦しい言い訳だな。

 

俺たちは目的地に向かって歩いていた。

 その目的地というのは東京で一番大きいショッピングモール『ラビリンス398』というところだ。ここで買い物をする訳だが、いまいちこの店の名前、意味わかんないんだよね。今までも何度か来ているんだけどな。

 店名は迷宮と迷子になりかねない名前だし、398は何かお得感がありそうだし。

 んで最近知ったんだがこの「398」。商品にお得感を出すというのが目的らしい。・・・ますますわからん。

 この話は置いておいて・・・。

 何故ここに行くのかと言うと、姫乃が「そろそろ春物の服が欲しいから一緒に来なさい」

との事。ようするに買い物に付き合えという事でした。

 んで俺は別にやる事も無いので、付き合っている訳なんだ。

 何気なく隣を歩いている姫乃に視線を向けてみると、白いリボンで結わえられた双方の髪を揺らしながらこちらを見ていた。

「・・・誰と話してるの?」

「サイコメトラー!?」

 何?心読めんの?・・・まさか俺今の口走っていたのか?ははっ、んな馬鹿な事が―――――、

「だって思いっきり口にだしてたわよ」

「あったぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

 俺な何やってんの!?自分の馬鹿さ加減に思わず頭を抱えたまま絶叫していた。

 やめてぇ!!救いようの無いバカを見るような眼で見ないでぇ!?

「はあ・・・。ほんと、昔から変わらないね。春夜って」

「そうかな?身長とか体重とか学力いろいろ変わっていると思うけど・・・」

「そうじゃなくて、なんていうかその―――――馬鹿さ加減?」

「今地味にハートブレイク決めたよね!?」

 あんたそれでも幼馴染みかっ!!

「今度はブレインブレイク決めようかしら」

「鬼だ!鬼がいる!?」

 というかなにそれ?ひたすら頭を殴り続けるのか!?だとしてたら記憶がっ!?「瀬名春夜の消失」という曲がのちのち語り継がれていくのは勘弁だ。

「まぁ本気はここまでにして」

「本気って言ったよね!?普通はそこは『冗談は』だろ!!」

「勘違いしないでよね、別に本気でやろうと思った訳じゃないんだからねっ!?」

「そこでツン入れんなぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 ・・・何でだろう。何で俺、目的地に着く前にこんなに疲れてんだろう。

 今日はこんな調子が続くと思うと、気が重くなる今日この頃―――


 ラブコメです。

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