それは林檎だった
少年が朝に見つけた物とは。
朝、爽やかに晴れた青空の下で僕は通学用のバスを待っている。
春だから花粉症の季節だよな…
そんな事を考えながら、ふと青空を見てみた。
(何だアレ…)
僕の視線は青空ではなく、電柱の上に吸い寄せられた。
青い空を背景に、真っ赤な林檎が乗っている。
ボールか何かかと思い目をこすってもう一度見るが、やはり電柱の上にあるのは真っ赤に熟した林檎である。
このあたりには、林檎の木を植えているところなんか無い。
風で飛ばされたにしても、あんなに綺麗に電柱の上に乗ることがあるだろうか…?
プシューッ
いつの間にか目の前にはバスが来ていた。
林檎が気がかりだったが、僕は学校に行かなくてはならない。
バスに乗り込み、僕は学校へと向かった。
学校では、いつも通り何も変わった事は起こらず普段通りに授業を受けていた。
最後の授業は現国だった。
「…では、この感想文を残り時間で書いてもらおうと思います!授業終わりに後ろから回収して提出しますからね〜」
その声を聞きながら僕は感想文を何と書こうか考えていた。
ただ、文章力もなく苦手な分野なので僕は外を見た。
「えっ」
小さく声が漏れた。
教室の窓から見える近くの住宅街の屋根。
そこに、今朝見たような赤い林檎が鎮座していた。
おかしい、明らかにおかしい。
不自然な場所にあるせいか、なんだか目が逸らせない。
不思議と不気味が混ざったような複雑な感情で隣の席の友人に声をかけた。
「ねぇ、あの屋根に置いてあるの…見える?」
友人はポカンとした顔をして
「いや…?マジで何も無いけど」
それだけ言ってノートを書き進めた。
あの林檎は僕にしか見えていないのかも知れない。
一体なんなんだろうか。
学校帰りに、僕はまたバスに乗る。
オレンジの夕焼け空の下、僕はバスに揺られながら窓の外を見ていた。
林檎は見えない。
ただの見間違えだったのかも知れない。
バスから降りた時に、また電柱の上を見てみた。
(やっぱりない…)
少し不思議な体験だったな…
しかし、家の玄関前には
あの真っ赤な林檎があった。
今度は高い所ではなく、本当に手を伸ばせば届く距離にある。
玄関の前に置かれた林檎。
遠くから眺めるより、凄く美しく見えた。
僕を誘惑するようにキラキラと光り輝いている。
そっと、慎重に近づく。
変な異臭がしているわけでも、気味の悪い動きをしているわけでもない。
ただ、林檎が美しい。
触れてみたい…。
手を伸ばす。
あと数センチで、林檎に触れる。
なんとなくドキドキしながら林檎を指先でつつく。
ツルリとした手触り。
なんだ、本当ただの林檎だっ
バクンッ
少年の玄関前で、一つの林檎から音がする。
バリッバキバキッ…ゴクンッ…
玄関前には、満足そうに光を反射させキラキラ輝く真っ赤な林檎だけがあった。
「あぁ〜重たい」
少年の母親が、パンパンに詰まったビニール袋を片手に向かって来ていた。
汗を拭きながら玄関の前へと歩みを進める。
「帰ったら夕飯作って…あら?」
最後まで読んでくださりありがとうございます!
自身が出かける時に思いついた作品となりますφ(..)
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