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終わりかけの世界

『・・での核爆発による被害は今もなお続いており、、』


ラジオから流れるニュースを聞いていた僕は、少し回想をしていた。なんて事のない幼い頃の記憶だ。

ニュースの内容は馬耳東風で全く聞こえてこない。季節外れの寒さも、ストーブの火が弱くなっているのも一向に思考を邪魔する事はなかった。


『・・よって避難を余儀なくされた住民たちは、隣国であるイタリア方面へと移動し出しています。』


イタリア・・

回想は終わり。耳はラジオへ傾く。

イタリアには前々から行ってみたいと思っていた。

気取った感じに思われるかもしれないが、僕には海外経験がなく、本や写真そして学校の講義でしか外を知ることが出来なかった。

イタリアに特に思い入れもなければ、縁もない。ただ行きたいだけだった。だからイタリア語の本も買っただけで終わってしまった。


『・・次に、近年悪化していく()()()()()。我々はどうしていけばいいのでしょうか。 今日は専門家である方にお越し頂いています』


・・・そうだった、もうこんな時間だ。準備もろくにしていない。約束に間に合わなくなる。急がないと。


『紹介にあづかりました、どうも日本人の皆さん、ごきげんよう。私はアンジェロ・マリーニ。唐突だが皆さん、、』


ラジオなんて聞いてる場合じゃない!


『この世界は終わります!!』

カチッ

僕はラジオの電源切った。ラジオは途端に大きな鉛のように静かになった。

にしてもさっきの専門家の人は捻くれてたな。

しかし、わざわざ地球が終わるって言わなくても、そんなことみんな分かってるさ。


地球寒冷化なんて氷山の一角に過ぎない。

今まさに地球は、なんと驚き、まさかまさか実に2回目の、『アイス・エイジ』つまり氷河期なのだから。


といってもまだ初期段階、しかも大戦の後だから何処の国も大きく対処に動こうとしていないのが現状。

よって、一応緊急事態なのである。

しかしながらここ日本は平均気温がグッと下がった程度の火傷、いや低温熱傷(ていおんねっしょう)というべきか?

他の国は土壌の核汚染、難民、復興諸々と忙しいようである。日本からの海外渡航も減って、ネットも昔みたいに盛んに繋がっていないから正確な情報は手に入れ難い。それ故、みんな海外のことは上の空、ましてや氷河期突入に際しても、響めき、慌てふためく事もなかったのだ。

連日、台風の進路予想みたいに報道されている。みんな毎日のことのように思っている。

だからさっきの専門家は捻くれていたように感じたのだ。あそこまで本気になる人はいない。


と考えているうちに支度が済んだ。

立冬も近づく寒さの日曜日、今日も仕事である。

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