待機中です。話しましょう。
「言われた通り内部ストレージ及びデータパックの確認が終わりました。次はどういたしましょうか?ご主人様。」
どうやらロボットことジャスティス君は言われた通り自分でメンテナンスを終えたようだ。
「なんもないよ、、じっとしてて」
まいった、ロボットは一度主人の認識を間違うと、設定し直すのに少し手間がかかる。
それに今は主人であるべきリカルドさんが出かけているため、直そうにも直せないのだ。
「今、リカルドさんに連絡をとったから、もうすぐ帰ってくるだろうな」
レオンさんがリカルドさんと掛け合ってくれたようだ。
レオンさんは、一歩間違えたら不良と勘違いされそうな見た目で五月蝿い声なのに、冷静で紳士的だ。
こう言ってしまうと悪いが、あまり似合った性格ではない。でも人は見た目によらないって事はよく分かった。
「大変だな。急にロボット直せなんて言われて。たまたまお前が『出来る』奴だったから良かったものの、他のやつが来てたら、あの人は一体どうしてたんだろうな?」
「いいんですよ。僕はお金が欲しいだけの高校生ですから」
「そこがどうも気になるなー、なんでアルバイトなんかする?貯金か?その見た目だと女遊びは無さそうだな〜」
いったいこの日本のどこを探せば、誰が見ても分かる女遊び高校生が見つかるんだよ。
紳士的だと思ったが、それはどうやら態度だけのようだ。
「生活費ですよ。親がいないので」
あまりこういう事は他所で言う事じゃない。その事は当事者本人が一番分かっている。決まってこの会話の前と後では除夜の鐘が鳴ったかのように静かさが変わるのだ。
まだ初対面だから良かった。会う回数を重ねるごとに、これまた静かさが変わる。だからこうして早めに言うのだ。
「ふ〜ん、そう、まぁでもその年じゃ戦争孤児ってわけではなさそうだな。一人暮らしか?」
「!?、、はい、まぁ」
正直驚きである。こんな時大体の人は言葉に詰まるか、無理にその場を濁すものだから。
レオンさんは正直に間髪入れずそう言った。なんの動揺も見られなかった。
こんな人エリーゼ以外に会ったことがない。
「普段は他のアルバイトか?学生だし働く暇もあんまりないんじゃないか?それにどうやって学生続けてんだ?」
「土日だけファミレスでアルバイトしてて、学費は特待生として免除なんですよ。昔の自分に感謝です」
「じゃぁ頭いいのか?まぁ免許持ってるあたり、要領もかなりいいんだろうけどな。」
「免許はただの飾りですよ。少なくとも今日まではそうでした。・・それにロボット自体そんなに好きじゃないですよ。AIなんかが台頭してたこの世界でそれなりの知識は必要だと思ったんです。だから勉強して、とりあえず免許取ったみたいなもんです」
「ホェ〜、そんなもんか。俺には縁もゆかりもないからな、そんな話。まぁ確かに人工知能ってのは厄介だよな。俺みたいな馬鹿からしたら知ったこっちゃねーけどな」
そう言ってレオンさんはまたソファーに寝転んだ。
すると、いつかのジャーマン犬が僕に近寄ってきた。
さっきは寝転んでいたから気づかなかったが、とても凛々しい顔をしている。そして、首に名札があった。
『Niko』
時刻は午後2時、まだご飯も食べていないがリカルドさんが帰ってくる様子はない。




