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愛の投影法

人間は希望がなくては生きていけない。

朝の太陽、夜の月、そして今踏みしめているこの地球。


 人間は冷たさに弱い。そして強欲だ。

愛情、真実、いろんなものを追い求めている。


・・つまり人間は、冷たく冷えた現実なんて求めやしない。


ましてや地球が凍るなんて、あってはならないことなのである。

 エリーゼは僕と同じ17歳の女子高校生だ。

彼女と初めて会ったのはちょうど去年の今頃の秋。

朝の通り雨で道路が濡れて、まだ雲もまばらな時だった。


 彼女は僕の住んでるアパートにある自販機の前で立っていた。

いつも見かける人の中に彼女は入っていなかったからすぐに目についたのを覚えている。

彼女は周りをキョロキョロしていたから道に迷ってしまったのかと思ったけど、その割にはやたらと快活していた。

だから僕は咄嗟に「こんにちは」って言おうとした。でも、彼女の目がそれを制止した。

とても不思議な目つきをしていた。自分の心の奥底まで見透かされているような気分だった。


 無論、僕たちは初めて遭遇したのだからまさか彼女の口から「おはよう」だなんて言葉が出てくるとは思ってもいなかった。

言われたからには返さなければならない。それが社会の常識である。

おはようございます、と何気ない感じで返してみたが、しばらくして気づいた。

今は「おはよう」と言うには遅過ぎやしないだろうか?僕の時計の時刻は十一時十七分。

「こんにちは」ではないだろうか?


 まぁ、間違いは誰にでもある。僕だって今までこんな間違いをしてこなかったかと言われたら、はいと言える自信は無い。それにこういう時間の感覚は人それぞれだろう、そもそも間違いというわけでもないのかも知れない。だからそのまま通り過ぎようと思った。

普段の僕ならそう思う。きっとそう思う。多分、思う。

まぁ、とにかくその時は変な魔が刺したんだと思う。

別にこれと言って特別な理由もなかったんだと思う。

ただ、僕の脊髄が脳より先に反応しただけだった。

気づけば僕は身を翻してもう一度彼女の方を向いた。訊きたかったから。今は「おはよう」なのか「こんにちは」なのか。


「どうかした?」


こちらを向いていた、彼女も。


「あの今って、おはようと、こんにちはどっちなんですかね」


訊いてしまった。一瞬がとても延びていた。

時間が空間に溶けていた。


「知らない」


無機質、無論その答えになる。当たり前だけどそれでよかった。


 今思えばこれが僕の人生のとてもとても大きな

      ターニングポイント

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