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終焉のアニマ〜ARで蘇った妹は仮想が現実を侵食する世界の召喚神〜  作者: マシナマナブ
第一章 アルカディアとアニマ

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タカミカグラの猛攻

 直後、タカミカグラの楓が静かに手を掲げる。


「召喚、ナーガ!」


 現れたのは、上半身は魔人、下半身は艶やかな鱗を持つ蒼白の大蛇。尾は長く、体長は五メートルを超える。霧のようなオーラをまといながら、うねるように姿を現すと、しなやかな動きで結日を囲むように滑る。


「水の加護!」


 楓がナーガの支援魔法を発動。ナーガの周囲に青白い水流が渦を巻き、結日の身体に水の魔力が宿っていく。


「これでユイカお姉様は、水属性の追加攻撃ができるわ」


「ありがとう、アカネ、カエデ!」


 攻守ともに補強された結日が、一歩前に出る。


「フレヤ!」


 結日は静かに床に両手をついた。

 その姿勢のまま、脚を大きく広げ、旋回を始めた。

 片脚が地面と平行に近い高さまで振り上がり、もう片脚がそれを追うように流れる。その流れに沿うように片方ずつ手を浮かせて脚を通過させる。

 滑らかな脚の回転運動。体操技のひとつ――フレヤ。

 その脚の一振りごとに、水の刃が放たれる。

 結日の姿勢は全くぶれない。コマのような連続回転の速度は徐々に上がり、無数の刃がとめどなく武に襲いかかる。


「うわっ、速っ!?」


 武が反応し、即座に正拳突きを繰り出して波動弾を連射。いくつかの水刃は撃ち落としたものの、全ては防ぎきれない。

 予想を超える速度と拡がりに、数発が直撃する。武のヒットポイントが削られていく。


「そのまま――沈みなさい」


 さらに茜が間髪を入れずに攻撃魔法を放つ。


「氷の槍!」


 青白い槍が、体勢を崩した武に飛来。しかし武は、タイミングよく掌底を繰り出す。そこから円形の衝撃波が放たれ、槍を粉々に砕いた。


「っと、危ねぇ……!」


「水の刃を弾で相殺しつつも、私の槍だけを正確に陣撃で狙い撃ちか。なかなかの反応だ」


 ダメージを最小限に抑えた武の反応。敵陣営の茜も、これには冷静に評価せざるを得ない。


 アルカディアには、三つの基本攻撃種別がある。


・弾や槍など一点集中の点攻撃『点撃』

・斬撃など線で切り裂く線攻撃『斬撃』

・衝撃波や結界などの面攻撃『陣撃』


 そして、これらの攻撃種別にはジャンケンと同じ相性がある。


点撃グーは、斬撃チョキに強い

斬撃チョキは、陣撃パーに強い

陣撃パーは、点撃グーに強い


 相手の攻撃種別を瞬時に見極め、それに勝る攻撃で応戦する――それがアルカディアの戦いの基本戦術となっている。


 武は拳の動作とこの攻撃種別を対応づけ、正拳突きで点撃の波動弾、手刀で斬撃の気空斬、そして掌底で陣撃の衝撃波を繰り出す。

 得意の空手の型と融合させることによる反応速度の速さが武の強みだ。


「……それにしても、やっぱりユイカが一番の脅威やな」


 八重が小さくつぶやいた。


「単体でもとんでもなく強いのに、サポート魔法まで重ねられたら、お手上げや。うちらの誰も勝てへんやろ」


 チーム・ヤタガミ参謀の目が鋭く細められる。


「せやけど、これはチーム戦や。タケルは少しの間ユイカの足止めを頼む。その間に、うちはアカネを、ミナトはカエデを速攻で落とす。そしたらユイカを三対一で囲める」


 声はあくまで静かだったが、その言葉には確かな切れ味があった。


 次の瞬間、湊と八重は地を蹴って走り出す。

 茜と楓も反応し、結日もまた即座に身構え、叫んだ。


「私の後ろには行かせないよ!」


 だが、その前に武が立ちはだかった。


「――拡張(オーグメンテッド)甲殻(アーマー)!」


 叫びと同時に、武の全身から奔流のようなオーラが噴き上がる。それは瞬く間に彼の身体を包み込み、巨大な戦士の輪郭を形作った。その高さは三メートル以上ある。

 それは武の動きと完全に連動し、振り下ろされた拳は巨人の拳となって結日へ迫る。

 結日はひるむことなく、華麗な後方倒立回転飛び(バク転)でその一撃をかわした。

 拡張甲殻。それは素手で巨大なドラゴンをも屠れる、武の大技だった。


「ナイスだ、タケル!」


 湊が声をかけると同時に、戦場は分かれる。湊は楓と、八重は茜とそれぞれ対峙した。


「……あなた、さっき外で会ったヤタガミのサモナーね」


 楓が湊を見据え、静かに呟く。彼女は手を払うような仕草で、召喚していたナーガを自らの傍らへと呼び戻した。


「私はタカミカグラのサモナー。そして、私のナーガは神に近い精霊クラス。あなたの召喚アニマが神クラスなのは知っているわ。でも本来、あなたのは攻撃型じゃなくサポート型。なら、私が勝てないはずはない」


 挑むような楓の言葉に、湊も応じる。


「召喚神――アメノウズメ!」


 瞬間、光の粒子が舞い、ひとりの少女が姿を現した。


「ミナ兄! 待ってたよ! 今日、決勝だもんね。やっと呼んでくれた!」


 バーチャル鈴音が、嬉しそうに駆け寄る。


「アメノウズメは巫女神。確かにサポートタイプだが……俺のは特別なんだ」


 湊の声には、確かな自信が宿っていた。


「そう、今のあたしは歌って踊れる巫女巫女女神。そして、ミナ兄ぃと力を合わせることで、あたしの舞は真に自由になれる!」


 鈴音は絶対的な確信をもって、そう言い放った。

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