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終焉のアニマ〜ARで蘇った妹は仮想が現実を侵食する世界の召喚神〜  作者: マシナマナブ
第三章

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武神ハンティング

 ――茨城県鹿嶋市、鹿島神宮。


 森の奥、湿った空気の中に、ただならぬ気配が漂っていた。

 苔むした要石(かなめいし)の上に、一体のアニマが座している。

 それは、雷と剣を司る武神――タケミカヅチ。

 眼光は稲光のように鋭く、黒雲のような髪が風に揺れる。

 雲のような白い衣と翠の鎧を纏い、長い剣を脇に差している。


「アルカディア内でも最強クラスの攻撃力を誇るアニマ――タケミカヅチ。油断しないで」


 湊の声が、鋭く響いた。上空には雷雲が渦巻く。


「はるばる遠征に来たんや。いくら神クラスでも、このメンバーで挑めばまあ勝機はあるやろ!」


 八重の明るい声が、緊張の空気をわずかに和らげた。


「……遠征と言っても、今日も現地にいるのはエビスちゃんなんだね?」


 ツッコミを入れつつ湊はニコニコ顔のエビスちゃんを見る。


「うち、アイテム攻撃はできるけど、身体能力はイマイチやろ? で、最近気づいてもうたんよ。アイテムを事前にみんなに配っとけば、うちが現地おらんでもええやんってな。頭脳労働はリモートでできる時代や!」


 胸を張って取り繕うエビスちゃんに、湊は付け加えた。


「このところ、八重に直接会ってない気がするんだけど」


「……ま、ちょっとな。うちにも色々用事があるんや」


 エビスちゃんはお茶を濁すように笑い、その直後、彼女は誰にも聞こえぬほど小さく、呟いた。


「……正直、普通の顔して会われへんのや……」


 沈黙を破るように、武が拳を天へ突き上げた。


「悪いが俺たちは――俺たちのジャスティスのために、あんたを倒すッ!」


 すると、要石の上、静かに座していた男が立ち上がる。

 その動作だけで、腹の底に響くような鳴動が轟いた。


「我が名を聞きながら、なお挑むか、愚かなる者どもよ。ならば思い知るがいい。武神の力というものを!」


 次の瞬間、空が裂け、稲妻が閃く。

 大地を揺らす轟音が、戦場に叩きつけられた。

 結日と武は、とっさに左右へ跳ぶ。


「最強クラスの攻撃力って言っても、マガツヒみたいに体を消せるわけじゃないでしょ? 正直、そこまで怖くないよ」


 そう言い放つ結日だが、その目は慎重にタケミカヅチの動きを追っていた。

 武神が大きな剣を振るう。

 空間ごと切り裂くような一閃。その刃には、雷がまとわりつき、振るうたび、電撃が四方に放たれる。


「速っ!」


 ユイカが身を翻す。刃のような雷が頬をかすめ、それだけでヒットポイントが大きく削られた。


「これじゃ、近づけない……!」


 タケミカヅチの周囲では、絶え間なく落雷が降り注いでいる。


「タケル、スズネ! ユイカの援護を! ユイカは二人よりレベルが低い。神クラスの攻撃をまともに受けたらひとたまりもない」


 湊の声に、二人は迷いなくうなずいた。

 タケルはアニマの体で、稲妻走る戦場を突き進む。タケミカヅチは剣を振りかぶった。


「おりゃッ!」


 タケルの正拳突きが、タケミカヅチの斬撃と正面から激突した。

 衝撃を受けた雷神は、思わず一歩後退。その巨躯が、揺らいだ。


 その一瞬を逃さず、鈴音が舞い出る。

 彼女はくるりと回転し、タケミカヅチの頭上高く跳んだ。


「トリプル・アクセル!」


 その声とともに、彼女の周囲に現れた刃のリングが展開される。

 空中で解き放たれたその光の輪は、降り注ぐ落雷を一瞬遮った。


「……今だね!」


 ユイカはその機を逃さず地を蹴る。

 ロンダート――からの、後方伸身宙返り。

 まるで重力を裏切るような跳躍。

 鋭く伸びた脚が、タケミカヅチの頭頂に一直線に突き刺さるように落ちた。

 断末魔のような雷鳴が最後に一度だけ鳴り響き、タケミカヅチは膝から崩れ落ちた。


「見事……」


 天空に渦巻いていた雷雲が静かに散っていく。


「ユイカ、決まったな!」


 湊が称賛の声を上げる。

 タケミカヅチの姿が消え失せると、鹿島の森に、再び静寂が訪れた。


「レベルが……30になった! さすが神クラス。経験値が桁違いだね」


 ユイカが息を弾ませながら笑顔を見せる。


「でもユイカには、まだまだレベルを上げてもらわないとね。スキルの威力に直結するから」


 湊のその言葉に、ユイカは笑顔をやや引きつらせて頷いた。

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