八重のAR解説
今回は、解説回です。
「そろそろ第三章が始まるで。ここから物語は終盤に向かっていくし、作者は結末に向けてどうまとめるかだいぶ頭抱えとるらしいわ」
「俺たちのジャスティス、どう輝かせるかがカギだな!」
「というわけで今回は、エビスちゃんこと――事代八重が、このお話のARについて解説する特別回やで!」
「おう、分かりやすく頼むわ」
「任しとき。まず『AR』いうのは、拡張現実Augmented Realityのことや。メガネ型のデバイスを通して、現実の風景に仮想の映像を重ねて表示するもんやな」
「戦闘系宇宙人が使うスカウターとか、体は子供で頭脳は大人な名探偵が使ってるメガネみたいなもんだな」
「せやな。それで、今みんなが使ってるそのメガネ型デバイスが『アイウェア』。これは『Intelligent Wearable Augmented Reality Eye』の略称で、アイノリア社という世界的企業が開発しとる」
「もう国民全員がひとつ持ってるレベルだよな」
「アイウェアの基本機能だけでもめっちゃ便利やで。たとえば、人の顔を見れば名前やプロフィールが表示されるし、リアルタイム翻訳もできる。ライフログから過去の出来事を検索することもできるで」
「もはや、記憶しなくても生きていける時代だな。そういや、俺、最近何かを記憶した記憶がねえ……」
「そんなタケルみたく、人間の脳が劣化してるって問題視する声もあるで」
「俺の脳がッ!?」
「まあそんな便利なアイウェアやけど、それだけではおもんないやろ? せやから、アイウェア用にさまざまなアプリが開発されとるんや。その中でも、現実の世界の情報と、そこに重ねる仮想の情報を蓄積するサービスを『ARクラウド』って呼ぶんや。そして、そのARクラウドの中でも、ゲームに特化したのが『アルカディア』や。これは、株式会社アルカディアが提供しとる」
「今や子供から大人まで、みんなアルカディアで遊んでるよな」
「例えるなら、アイウェアがスマホ本体で、アルカディアはその中で動く大型ゲームアプリみたいなもんやな。ただし、スケールは桁違いやけどな」
「双子の地球、デジタルツインとも言われてるくらいだからな」
「このアルカディアは、実際に体を使ってプレイするタイプのARゲームや。いくつかプレイヤーが選択できるジョブがあってな、自分の肉体とそこから放たれる技スキルで戦う『ファイター』、魔法で攻撃・支援する『ウィザード』、召喚獣を使役して戦わせる『サモナー』なんかがある」
「俺は得意の空手を活かせるファイターだ。ヤエ、お前のジョブは何だったっけ?」
「ほれ、記憶力が劣化してるやん。うちのジョブは、マーチャント(商人)や。金は貯まるけど、戦闘系スキルはなんにも使えへんな」
「………」
「それと、アルカディアの中に表示される仮想キャラクターのことをアニマって呼ぶんや。これはもともとはラテン語で『魂』の意味やな。アニメーションの語源にもなっとるんやで」
「おお、さすがヤエ。よく知ってるな!」
「でもな、ただの仮想キャラやったはずのアニマが、最近、現実世界にまで影響を及ぼし始めとるんや」
「お?」
「現実には見えんはずの黒いアニマが出現し始めた。マガツヒ――そう呼ばれとる存在や」
「やべえな!」
「マガツヒは、ただの仮想の存在やない。現実のモノを破壊したり、もっと怖いことに、生きた人間を襲ってアニマに変えてしまうことさえある」
「うおお、とんでもねぇぞ、それ」
「……って、タケル、あんたもマガツヒに襲われて、もう実体ないんちゃうん?」
「おっと、そうだったわ」
「そんでな、マガツヒの被害はどんどん拡大しとる。街は壊され、人は次々にデータの存在になっていく……」
「俺もそのマガツヒってやつを倒したいところなんだが、実体を失ったせいで攻撃力が出ねえ……」
「この闇の存在に立ち向かっとるのが、あの二人や。妹の人格をアニマのキャラに再構築して、脳波強度S+を叩き出したミナト。それと、体操インターハイ優勝で、人類最強クラスの身体能力を誇る――元社長令嬢、ユイカや」
「あの二人は規格外すぎるよな」
「しかも困ったことに、最近、この二人が、な〜んか急接近しとるんよな……」
「え、何が困るんだ?」
「……知らん。どアホ」
「えっ、俺、今なんかマズいこと言った!?」
「そんなわけで――これからこの世界はどうなるのか。人類は、みんなアニマになってしまうのか。そんな未来が、もう目の前まで迫っとるんや」
「これは目が離せねえ。続きも読んでくれよな!」
「ほなな〜!」
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