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第二部 第二章 第四話 罠と狂気の舞踏会、トラップパーリナイト

溶岩台地での死闘を終えたわたしは、体の奥底に、今までとは比べ物にならないほど巨大で、そしてどこか畏ろしいほどの力が渦巻いているのを感じていた。 「ウルトラ級ってのは、『最強』の称号じゃねえ。『孤独と向き合う覚悟』の証だ」 ナイさんの言葉が、重く胸に響く。

わたし達は、キャプテン・ガントの待つ「海竜号」へと帰還した。 「……ほう。少しは、死人じゃなく、本物の冒険者みてえな顔つきになったじゃねえか」 ガント船長は、わたしの変化を一目で見抜き、にやりと笑った。

船の作戦室。ナイが、次の目的地である「トラップパーリナイト」の、古びた海図を広げる。 「いいか、もう一度言う」 ナイの表情は、これまでにないほど険しい。 「トラップパーリナイトは、城でも、砦でもねえ。島全体が、古代の民が作った、悪趣味な『死のゲーム盤』だ。そこには、いくつものコースがあって、それぞれに、殺人的なトラップと、『見張り役』が配置されている。力押しは通用しねえ。必要なのは、知恵と、ステルスと、完璧なチームワークだ」

海竜号は、濃い霧と、渦巻く海流を抜けて、やがて、その不気味な島へとたどり着いた。 そこは、荒涼とした岩肌の上に、不自然なほどに煌びやかな、ネオンの光で彩られた建造物が立ち並ぶ、まるで悪夢の遊園地のような場所だった。

わたし達が島に足を踏み入れた、その瞬間。 入り口のゲートに、ホログラムの文字が、ノイズ混じりに浮かび上がった。

『ヨウコソ、トラップパーリナイトヘ』 『――ファーストステージヲ、カイシシマス――』

チープで、陽気なファンファーレが鳴り響く。 『サイショノ アトラクション ハ、「リアル鬼ごっこ」デス! ルールハ カンタン。ワタシタチ ニ タッチ サレタラ、アナタハ オシマイ!』

その言葉と同時に、影の中から、不気味な仮面をつけた「下っ端見張り役」たちが、十数体、ぬるりと姿を現した。その動きは、どこか壊れた人形で、見ていて言いようのない不快感を覚える。

「来るぞ! 覚悟はいいな、ウルトラ級!」 ナイの叫び。 見張り役たちは、そのぎこちない動きからは想像もつかないほどのスピードで、一斉にわたし達へと駆け出してきた。 罠と狂気の舞踏会。その、最初の演目が、今、始まった。

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