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第50話「この幸せがいつまでも続きますように」

第50話「この幸せが続きますように」


「エミリー嬢、元気ないね?

 ここまで長旅だったから疲れがでたのかな?

 それともリックに会ったのが堪えた」


今私たちは帰りの馬車の中にいます。


「それは違うんです。

 旅は楽しかったですし、フォンジー様とずっと一緒にいました。

 それにリック様に会ったことはむしろプラスです。

 心の底にあったわだかまりが、綺麗に溶けて消えましたから」


旅の間、馬車の中でフォンジー様と二人きりになれて、少し早いですが新婚旅行の気分を味わえました。


「だったらどうして?」


「その改めて見ると、フォンジー様とリック様って本当に仲良しなんだなって……」


「それは二人きりの兄弟だから……三年ぶりの再会だったし」


リック様が追放されたのは二年前。


でもその一年前に、フォンジー様は領地に行っていたので、兄弟が再会したのは約三年ぶりです。


「それは分かってるんですが、なんと言ったらいいのか……」


この胸のもやもやを何と伝えればいいのでしょう?


「エミリー嬢もしかして、私が弟を可愛がるから嫉妬してる?」


カーっと音を立て、私の顔に熱が集まってきました。


「違います!

 そんなことは……!」


兄弟が感動の再会を果たしていた時、嫉妬していたなんてとても言えません。


「エミリー嬢、可愛いね」


頭をよしよしと撫でられて、おでこにキスされました。


「からかわないでください。

 嫉妬深い嫌な子だなって、自己嫌悪に陥ったんですから……」


「私は嬉しいよ。

 エミリー嬢が嫉妬してくれて。

 可愛い婚約者にますます夢中になってしまいそうだ」


彼にギューと抱きしめられました。


「ちょっとだけ……リック様が羨ましかったんです。

 リック様は多分誰よりも一番長く、フォンジー様と一緒にいましたから」


「これからの人生で、私のそばに一番長くいるのはエミリー嬢だよ」


彼に耳元で囁かれ心臓がドキドキと音を立てています。


「フォンジー様お願いがあるんです」


「何かな?」


「王都に帰ったら、私とたくさんデートしていただけますか?」


「うんわかった。

 エミリー嬢の行きたいところに全部行こう」


「約束ですよ。

 時計台の下でアイスを食べたいですし、二つの岩が重なってハートに見える場所にも行きたいですし、王都を一望できる高台から夜景を見てみたいです」


「うん、全部行こう」


そしてその後、フォンジー様と口づけを交わしました。


それから、キスだけじゃなくてもっとその先も……。


こ、これは恥ずかしすぎて、私の口からはとても言えません……!



 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






それから一年と少しあと。


王都で一番大きな教会に鐘が鳴り響き、白い鳩が飛び立ちました。


今日は私とフォンジー様の結婚式です。


二カ月前にはマダリン様が、三カ月前には カロリーナ様が、同じ場所で結婚式を挙げています。


家族や、親戚、王都での友人、隣国の学園でできたお友達も、たくさん式に参列してくださいました。


王太子殿下も参列してくださいました。


リック様はまだ王都に入れないので、式には参列していません。


彼には後で絵葉書を送りたいと思います。


皆が見守る中、私はフォンジー様と誓いのキスを交わしました。



◇◇◇◇◇◇



「綺麗だよ。エミリー。

 純白のウェディングドレスがよく似合っている」


この日の為に、自分でウェディングドレスをデザインして手作りしました。


「ありがとうございます。

 フォンジー様も世界で一番素敵です」


白のフロックコートに身を包んだフォンジー様は凛々しくて素敵です。


「ところでフォンジー様、お願いがあるんですが」


「何かな?」


「マダリン様とカロリーナ様のところには、もう赤ちゃんができたみたいです。

 二人に子供たちを同じ学年にしたいと言われました」


フォンジー様は少しだけ頬を赤らめました。


「ああ……それは、神様のお決めになることだからね。

 でも、まぁ……その、あれだね……私にできることは……その、するから……。

 この話は式の後でしようか?」


「はい」


照れるフォンジー様も可愛らしくて素敵です。


彼を見ていると、好きって思いが溢れてきます。


「フォンジー様、好きです! 大好き! これからはずーっとずーっと一緒ですよ!」


フォンジー様に抱きつき、口付けを交わしました。









――終わり――






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

最後まで読んでくださってありがとうございました。

大変嬉しく思っております。

この小説は短編版として投稿した二作品を、大幅に加筆修正し、その後のストーリーも加筆したものです。

短編版からお付き合いくださった皆様ありがとうございます。

また連載版から読んでくださった方もありがとうございます。

これからも執筆を続けていくので、また次回作でお会いしましょう。

※次話からデルミーラ視点の番外編が始まります。デルミーラへのざまぁが足りないと思う読者は読んでください。ハピエンで終わりたい方には蛇足にしかならないので読まなくても問題ありません。


少しでも面白いと思っていただけたら、広告の下にある【☆☆☆☆☆】で評価してもらえると嬉しいです。執筆の励みになります。


【書籍化のお知らせ】

この度、下記作品が書籍化されました。


タイトル:彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした

著者:まほりろ

イラスト:晴

販売元:レジーナブックス

販売形態:電子書籍、紙の書籍両方 

電子書籍配信日:2025年01月31日

紙の書籍発売日:2025年02月04日


ぜひ手に取って、楽しんでいただければ幸いです。


まほりろ


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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