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閑話休題

 2026年3月。

 ある日「小説家になろう」のIDやPASSを記したメモを発見し、こうして私はログインをすることができている。

 どうしようもない40代の男が殴り書いてきた、恥そのものとも言い換えられるこの作品と再び向き合えることができたというわけだ。


 筆を止めてから2年になる。恐ろしい事実を感じた。

「当時と今を比べても、私という人間に何ら成長や進歩や進展がない」

 ということだ。弱者男性は成長しないのである。


 今もなお未婚であるし、精神面での鬱屈とした面は解消できていない。

 少し誤算だったのは、思いの外、昇給による収入が向上改善していることだった。

 あの頃は「40歳で年収400万ギリギリなのか」とひたすら絶望に打ちひしがれていたから多少は気楽に生きていられてはいる。


 いろんな趣味を初めてみた。いろんなモノを買ってみた。

 それでも自分の心は埋まることはない。それが現実だった。


 わかってきた。この孤独ないし劣等感は、死ぬまで共にあり続ける持病のようなものなのだと。

 気を晴らす、悩みが消えるなどということはありえないものなのだと。


 家庭を持たず、何も育むものも見届けるものもない男なんて、もはや何ら使命を持たない存在。

 この年にしてじっくりと考えだしたことがある。

「死ぬまで何をしておこう?」。


 沢山のものを見て、触って、聞いて、楽しんで…。

 なるべく後悔のないように死んでいきたいなと。

 あと、何年生きられて、意外と残り時間を少ないのかな、などと。


 そんなことを考えても絶対に心が満たされないことは、分かりきっていることなのに。


【終わり】






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