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検問
魔物を屠り、しばらく歩くうちに見えてきた峠を越えると、そこには平原に広がる大きな都市――王都が見えてきた。
整えられた街並みに、遠くから見ても伝わってくる王城や城壁の迫力、まさしく国の中心部といえるだろう。
王都へ入ろうとする者たちが検問をうけるために並んでいる列に二人も並ぶ。
しばらくして、俺たちの番になった。
「身分証は提示できますか?」
「これで大丈夫か?」
そう言って、アリアの分と共に身分証を提示した。
この世界に身分証は神代の道具であり、成人と共に街で創ることが出来る。
見た目はカードのようなもので、登録と同時に名前が刻まれる。
また、登録者以外の者が所持した場合、その所持していた者の名前が現れ、身元を偽ることが出来ないため、身分の偽装も不可能である。
仕組みは知らないが、恐らく世界記録という者に刻まれた魂の情報を読み取っているのだろう。神になって得た知識から推察するにそういうことだ。
また、犯罪履歴もわかるため、犯罪者は事前に捕らえられる。
俺たちはそのまま何事もなく王都へと入ることが出来た。