魔物とは
「何かこっちに向かってくるな。」
「人じゃないわね。」
二人は街道に沿って歩いていると、何かが急速にこちらへ向かってきていることを感じて、シュウは腰に携えた鞘に手をかける。
二人の目の前に現れたのは体長五メートルはある、巨大な虎?であった。
「アリア、こんな虎見た事あるか?」
「こんな種類の虎見たことないわ、魔力もはるかに多いし、それにこんな異様な姿…」
二人の前に現れた虎は、通常の虎よりもはるかに巨大な体格を持つこともさることながら、赤黒い脈のような線を体中にはしらせ、ドクドクと脈打っている。
「まあ、俺たちを獲物にしようとしてるのはわかってるんだ、【歩法・縮地】。」
シュウは一瞬で虎の近くへと移動して、鞘に納めていた刀を抜き、頭を体から斬り離した。
「ふう、あっけなかったな。」
「あなたを苦戦させる相手なんてそうそう居ないわよ。」
呆れながらこちらへと向かってくる。
「ちょっと世界神の爺さんに聞いてみるか。」
シュウはそう言って世界神へと念話を行う。
『それはお主らが封印されてから現れた魔物という生き物じゃな。』
「「魔物?」」
『魔力と闘気、生きる生物は必ずどちらかを所持しているわけじゃが、絶えない人類の戦いをさせないために世界が生みだした新しい生き物じゃよ、共通の敵が現れれば人は争いをしなくなるからな、それに魔物は魔力の濃い場所で発生するようじゃ。』
「なるほどな、それじゃあこの世界も色々と変わっているのか、楽しみだな。」
「ええ、そうね。」
『うむ、分からないことがあったらいつでも聞いてくれて構わんからの。』
「ありがとう、爺さん。」
「ありがとうございました、世界神様。」
念話を切った二人は、もう一度、街へと向かうために、道を歩き始めた。