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52.ジュリアという令嬢

どうして?どうしてこうなったの?

私の何がいけなかったの?


ちょっと第一王子と仲良くなってみたかっただけじゃない。

もしかしたら妃にと求められるかもしれないって期待したけど、それがダメなの?


産まれてすぐに孤児院に入れられ、こき使われるように生きてきた。

孤児院を出たら、宿屋に売られるんだと覚悟していた。

そんな時に破落戸に絡まれ、逃げようと抵抗した時に魔力が発現した。

貴族しか持たない魔力が発現したから、すぐさま神殿で鑑定をされて、

伯爵家の娘だということがわかった。


嫌そうな顔を隠そうともせず引き取りに来た伯爵に、一度も顔を見せない伯爵の奥様。

どうやら伯爵が宿場で遊んだ時の子どもだったらしい。

御当主様はなんて運が悪いと使用人達がこぼしていた。


引き取られたのは良いけど、別邸のはじに小さな部屋を与えられ、

その部屋から出てはいけないと命令された。

使用人が食事だけは運んできてくれたけど、何もすることがない。

だんだん閉じこもっているのが嫌になって、ここから出してと叫んでしまった。

そしたら近くにいたらしい執事が飛び込んできて、すぐに出してくれた。

え?もしかして願い事を言えば叶えてくれるの?

それからは言いたいことはどんどん言った。

お菓子が食べたい。ドレスを着てみたい。宝石が欲しい。

話し相手に綺麗な男性をつけてほしい。貴族が通う学園に行ってみたい。


初めて行った学園で、とても素敵な人を見た。

公爵家のクリスティア様。隣には侯爵家のゲイル様もいた。

身分の下の者から話しかけちゃダメって聞いていたけど、少しくらいいいよね。

そう思って話しかけたら、二人とも怒らずに話してくれた。

すぐに仲良くなって、毎日一緒にいるようになって、いろんな話を聞いた。

その中で第一王子のフレッド様の話を聞くことができた。

王子様だなんて、本当にそんな人がいるんだ。会ってみたかった。

クリスティアたちに王宮に連れて行ってもらって、

面会を申し込んだのに王子様はいないと言われてしまった。


何度も何度も王宮まで行って面会を申し込んだのにダメで、

それでも会ってみたくて宰相に聞きに行くことになった。

最初は良い顔しなかった宰相だけど、最後には留学していることを教えてくれて、

私も留学に行きたいって言うと我がままを聞いて書簡を送ってくれた。


これでやっと王子様に会える。

でも、そういうとクリスティアもゲイルも面白くなさそうだから、

二人の前ではあまり言わないことにした。

二人とも私のことが好きなんだって。

その気持ちはうれしいけど、公爵家や侯爵家に嫁ぐより王子様に嫁いだ方がいいな。

だって、私がお姫さまになれるってことでしょう?夢みたいだよね。




幸せ過ぎるなんて思ってた次の日、この部屋で目覚めた。

何が起こってるのか全く分からなかった。

急に現れた王女に大罪だって言われても、私は何もしてないのに?

宰相が送った書簡が偽造だって言われても、それは私のせいじゃないでしょう?

クリスティアとゲイルは王女と知り合いだから良くて、

私は会ったことが無いから牢に入れられて処刑されるの?おかしくない?

なんでよ。なんで私だけこんな目にあうの?処刑なんて絶対に嫌よ。


気が付いたらテーブルの上に食事が置いてあって、悔しいけどお腹減ってたから全部残さずに食べた。

そのまま眠くなって横になったはずだったのに、目が覚めたら薄暗い石畳の床の部屋にいた。

粗末な寝台に、水桶のような物が部屋の片隅にポツンと置いてある。

…ここどこ?出られなくてもあの部屋のほうが良かったのに。


「…ここはどこ?」


「起きたのか。ここは牢だよ。調べは後で来るそうだ。

 それまで大人しくしてるんだな。」


部屋の外から声が聞こえた。牢?牢って言った?

もう牢に入れられたっていうの?

…嫌よ。処刑されるなんて、絶対に嫌。













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