50.幽閉
「あぁ、フレッド王子もジョージアも戻って来たんだね。」
「陛下、俺たちが戻されたということは、
三人の幽閉はうまくいったってことでしょうか?」
「うん、無事に三人とも別々の部屋に幽閉できた。
まだ薬が効いていると思うし目は覚めていないようだけどね。
まず王女には今日の午後に令嬢と面会するように頼んである。
あの令嬢は先に何とかしてしまいたいんだ。
そのほうが令息たちの魅了が解けるのが早くなるかもしれないからね。」
「俺たちはいつ面会したらいいですか?」
「そうだな。すぐに魅了が解けることはないだろうし…。
暴れたりしない人でも魅了がかかってるうちはわからないからな。
とりあえず一日くらいは様子見ようか。
落ち着いてから状況を説明してやってほしい。
明日からは毎日決まった時間に面会して、魅了の程度を確認してほしい。」
「わかりました。罪状を説明して大人しくしてるように言えばいいですね?」
「ああ。国王の印の偽造は大罪だ。処刑されもおかしくない。
だけど、偽造したのが彼らだとは決められないだろう?
でもその偽造した書簡では入国を受け入れるわけにはいかない。
目的が分からない不法入国は幽閉しても良いことになっている。
王子たちの証言で身分は確認できているけど、
レンメール国に書簡を出して再度確認しなければいけない。
その間はおとなしくしているようにと。」
「令嬢について聞かれたらどうすればいいですか?」
「そちらについては知らない、でいいよ。
下手に知らせると暴れるかもしれないからね。
令息二人を罪に問うことはしない予定だ。
だけど暴れられるとそう言っていられなくなる。」
「陛下、兄のことまで考えてくださって…本当に申し訳ありません。」
「ああ、いいよ。気にしなくても。
ジョセの甥だしね、無事に帰してあげたい。」
そんな風に言うと思わなかったのか、ジョージアが驚いた顔をしている。
「ん?何かおかしなこと言った?」
「いえ、ジョセフィーヌ王女を叔母と思ったことが無かったものですから…。
一度もお会いしたことがありませんし、歳も近いので…。」
「あぁ、そうだな。これだけ歳が近かったら叔母って思いにくいよな。
今回、妃候補のミランダ王女についてきたのもあるし、
そっちもいろいろと複雑な気持ちもあるだろう。
ジョセを王妃から側妃に変えるのは俺の意思じゃないけど、
国王としてどうしようもできない時もある。
それだけ王妃というものは国として大事な役職なんだ。
ジョセはその仕事を務めることができなかった。
だから変えるしかなかったんだ。
国王が一人の男としての気持ちを持ち続けるのは難しいよ。
まぁ、フレッド王子もこれから嫌って程わかると思うけどね。」
「…あまりわかりたくないですね。」
「だよな。俺もこの前まではそう思ってたよ。
国王である前に一人の男でいたいと。
だから、魅了にかかってるクリスティアたちの気持ちもわかるんだ。
わかるからって聞いてあげられないこともあるけどね。
…今は早く魅了が解けてくれることを祈るしかない。」
「そうですね。」