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49.魅了の令嬢

「陛下、令嬢たちが到着したそうです。」


「そうか、怪しんでいないか?」


「女性しかいないことで怪しんではいるそうですが、

 女官長から令嬢がいる場合の応対はこれが普通だという説明で納得したそうです。

 本当に納得したかはわかりませんけど、

 明日の昼に謁見する予定だから部屋にいるようにと言うと黙ったそうです。」


「そうか。レンメール国から来た他の者たちには会いたがってるか?」


「今のところは何も。予定通り、夕食と飲み物に薬を仕込んであります。」


「うん。眠ったのを確認したらあの部屋に運ぶように。

 最初に令嬢を女官たちで運んでしまえば、

 残りの二人は衛兵たちに運ばせてもいいだろう。

 さすがに女官に令息たちを運ばせるのは重そうだ。」


「そうですね。では、最初に令嬢を運ぶということで手配します。

 三人とも別々の区画であの部屋ですね。」


「ああ、頼んだ。」






「ねぇ、クリスティア~なーんでこの国は女の人しかいないの~?」


「まぁまぁジュリア、そう言わないで。

 ジュリアがいるから女性たちが対応してくれてるって言ってただろう?

 この国では令嬢には女性しか対応できないそうじゃないか。

 面白い接待の仕方ではあるけどね。」


「まぁいいけど。女性ばっかりなのは明日の謁見までなんでしょ?

 さすがに国王陛下の周りまで女性ばかりなわけはないよね。

 素敵だっていう王弟殿下もいるのかな。」


「さぁ、それはどうだろう。

 妬けるからあまりそんなこと言わないでよ、ジュリア。」


「やだ~王弟殿下は見てみたいだけよ?王弟妃いるんでしょ?

 それよりも留学先が楽しみ!ね、ゲイルもそうでしょ?

 この国のほうが魔術が発展してるって楽しみにしてたじゃない。」


「うん。ロードンナ国ほど魔術師はいないんだけど、

 さっきジュリアが言ってた王弟と王弟妃がすごい魔術師らしいよ。

 レンメール国には無い魔術具もあるって聞いたから、

 学園に行ったらいろいろと見れるかもしれない。」


「ふぅん。魔術具は嫌い。よくわかんないし、何となくイヤ。

 でも魔術が強くなるなら授業は楽しみかも。」


「ジュリア、魔術使えたっけ?魔力はあるんだよね?」


「え~?魔術はどうだろう。そんなことより、王女たちには会えないのかな~?

 ねぇ、クリスティアの兄弟も来ているんでしょ?会わなくていいの?」


「ああ、この王宮のどこかにはいるんだろう。

 明日の謁見では会えるかもしれないな。

 俺に何も言わないで留学するなんて何考えてるんだか。」


「でも、そのおかげで私も留学に連れて来てもらえたし、

 我がまま聞いてくれてありがとう。」


「良いんだよ、ジュリア。」






「陛下、おはようございます。」


「ああ、女官長か。朝から報告に来てくれたのか。

 で、どうだった?」


「ええ、少し時間はかかりましたが、お一人ずつあの部屋に幽閉しました。

 昼くらいまでは目はさめないと思います。

 騒ぐとしても起きてからでしょうか。」


「そうか。令嬢はどんな感じだった?」


「そうですね。

 かなり細身でしたが、それ以外は特に変わった感じではありませんでした。

 黒髪で顔立ちは幼い感じはします。目の色は寝ていたのでわかりません。

 美人かと言われると…普通の令嬢に見えました。」


黒髪…あの令嬢と一緒か。何か黒髪に理由があるんだろうか。

あの令嬢は魅了の力が消えたら茶髪になっていたよな…。


「わかった。午前中に王女に会って相談したい。

 連絡しておいてくれないか?」


「かしこまりました。」







「私が面会するんですか?」


「ああ。もちろん外には護衛として女性騎士を待機させる。

 あの部屋は特別にできている幽閉するための部屋でね、鍵は無い。」


「え?鍵がない?」


「そう。誰でも出入りできる。だけど、幽閉された者だけは出られない。

 そういう魔術がかかった部屋なんだよ。

 だから、部屋の中にいる令嬢には拘束もさせてない。

 部屋の中にいるだけなら、自由に過ごせる。好待遇だろう?」


「それはそうですね…そんなすごい魔術があるんですか?」


「うん。詳しくは説明できないけど。

 それでね、あの三人は書簡の国王印の偽造の罪に問われている。

 後から来た書簡に押されていた国王印が違うそうだ。

 国王印に関してはフレッド王子が確認したから間違いない。

 これは大変に重い罪だ。処刑されもおかしくない。

 そう言って、脅してきてくれ。」


「脅すのですか?」


「うん。どうやら先に来ている四人は令嬢と面識がないんだろう?」


「ええ。最近引き取られたばかりの令嬢のようですし、

 向こうの学園でも夜会でも会ったことはありませんわ。」


「でも、公爵家のクリスティアはもちろんわかるだろうし、

 もう一人の令息は侯爵家のゲイルだそうだ。知っているね?」


「はい。クリスティアは幼馴染ですし、ゲイルはクリスティアの従弟です。

 私とも親戚関係ですので、もちろん知っています。」


「そうだよね。あの二人の令息は身分が確認できている。

 だけど、一応国王の許可なく他国に来たわけだから、

 レンメール国に問合せしなければいけない。

 その間は幽閉するけど確認出来たら解放されるだろう。

 でも、令嬢は違うよね。誰も身分を確認できない。

 クリスティアとゲイルが何を言おうと、幽閉中の者の言うことは信用できない。

 だから、近いうちに令嬢だけ幽閉ではなく牢に移されるだろうと。

 処刑されることも覚悟した方がいいと脅してきてほしい。」


「脅した後で様子を見たいのですか?」


「いや、行動させるだけだ。」


「行動ですか?」


「牢に移動させるって言っただろう?

 牢には男の看守しかいない。」


「魅了を使わせるつもりですか?」


「ああ。牢内には魅了を感知する魔術具が置いてある。

 以前、魅了騒ぎがあったおかげで、いろいろと対策がされていたらしい。

 俺も今回のことが無ければ知らなかったかもしれないな…。

 ああ、話の続きね。

 看守に魅了を使って牢から逃げた、なんてことになれば、

 レンメール国としても庇えない重罪だ。

 そうなればこちらの国の法だけで処罰できる。

 書簡の件で処罰すると、他の者も処罰しなきゃいけなくなるからね。

 あの令嬢だけで済ませたいんだ。」


「…わかりました。面会は今日の予定でしょうか?」


「令嬢に関しては早い方が良いと思う。今日の午後にお願いできるか?」


「わかりました。やってみます。」

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