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王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!  作者: gacchi(がっち)


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46.王宮からの報告書

「王宮が他国のことに巻き込まれているようだよ。」


昼下がりに冷たいお茶を飲みたくて準備をしていると、

王宮からの報告書を読んだレオがため息をついた。

つい二週間ほど前に軍を正常化させに行ったばかりなのに、

もう違うことに巻き込まれているとは。

陛下が真面目に仕事をしていると聞いて安心したけど、大丈夫なのかしら。


「それはロードンナ?」


「いや、レンメール国のほう。

 王女と公爵家二人と侯爵令息が留学しに来ているらしい。

 王女は妃候補として来ているそうだが、形だけの王妃にしてほしいと言っているようだ。」


「形だけって何?」


「あぁ、レンメール国には白い結婚っていうのがあってね。

 結婚前に性交渉をしないって契約で決めて結婚するんだ。

 めったにないことではあるけど、その契約があると離婚後にすぐ再婚することができる。

 お腹に子どもがいない証明になるからね。

 でも、この国は白い結婚ってないからな…難しいだろうな。」


「…この国の王族は初夜の確認があるものね。

 私の時はシーナが魔術師として確認したからいいけど、

 今の王宮は男性の医術士しかいないわよね。でも、するのよね?

 純潔の確認と床入りの確認…。」


「王妃なら間違いなくするだろう。

 嫌だろうけど、それがないと婚姻は認められない。」


「そうだよね…

 もし、私の時にシーナじゃダメって言われたらどうする気だったの?」


結婚前に王宮へと報告に上がった際に、女官から初夜の説明を受けた。

王宮医術士に純潔の確認をされると聞いて、その確認方法に絶対に嫌だと叫び出しそうになった。

幸い、それを聞いたレオルドが止めてくれ、シーナが魔力を流して確認する方法に代えてくれたのだが。

医術士の確認じゃなきゃダメだって言われたら…どうするつもりだったんだろう。

間違いなく純潔だと証明するために、医術士に身体をすべて見せなければならないだなんて。

しかも…初夜が終わった後、そのままの状態でもう一度確認される。

そんなのは絶対に嫌だった。


「ん?俺がリリーの裸を他の男に見せるわけ無いだろう?

 俺が魔術師だから自分で確認するって言っただろうな。

 それがダメなら、先に王族から抜ければいいしと思ってたよ。

 王族じゃなければ初夜の確認いらないからね。」


「そっか。もう終わったことだけど、最初に言われた時は怖かったわ。

 王女様も説明されたら驚くでしょうね…。」


「ああ。もう説明されて絶句していたらしい。

 しかも、形だけの結婚を求めた理由が、侍従と恋人だからという理由らしいよ。

 兄貴と話した時にもその侍従を同席させていたらしい。

 身分が伯爵の三男だから降嫁は無理なんだと。

 で、兄貴は初夜の説明をして、よく考えろって言ったようだね。

 王妃の仕事は出来そうな人らしいから残念だけど、

 このままだと王妃にするのは無理かもな。」


「王妃候補を探すのも大変ね…お茶入ったわ。」


冷たくしたお茶にミルク氷を浮かべてレオの前に置く。

蜂蜜は容器ごと置いて、好きなだけ入れてもらう。

意外とシオンが蜂蜜大量に入れるのよね…。レオは入れない時もあるけど。


「それで、他国のことに巻き込まれているっていうのは?

 王女のことだけでそんな顔しないわよね?」


そう言うと、レオがしまったって顔をした。


「また何か隠す気だった?」


「…ごめん。ちゃんと話す。

 レンメール国の公爵家から次男と長女が来ているんだが、

 ジョセフィーヌ王女の甥と姪だ。

 相談をするために留学してきたそうだ。リリーに会いたがってる。」


「私に?どうして?

 面識はないはずよね?」


「うん。…約束して?

 話を聞いても会いに行ったりしないって。」


また不安そうな顔をしているレオに、先日のロードンナの事件を思い出す。

あの事件でかなり心配させちゃったから…まだ不安なのね。


「わかったわ。どんな事情があっても会わない。

 もし会いたいと思っても、レオが許可しない限り会いに行ったりしない。」


「うん。…それならいい。

 実はレンメール国で魅了を使う令嬢が現れたらしい。」


「魅了?それは大変なんじゃ…。」


「あの伯爵令嬢の時と違って無差別に魅了してるんじゃないそうだ。

 相手を選んで狙って魅了しているらしい。

 それでその公爵家の嫡男が魅了にかかってしまっているらしい。

 ロードンナ国の記録を見た二人がリリーなら封じられるんじゃないかと思って、

 レンメール国に派遣してほしいってお願いしに来たらしい。」


「レンメール国に派遣…それは無理だわ。

 私はもう王弟妃じゃないし、そうなると派遣する理由もない。」


「そうだね。兄貴もそう言って断ったようだよ。

 宰相が俺に相談するか聞いたが、相談もしなくていいって言ってる。

 この件でリリーに頼る気はないみたいだから安心していい。」


「そうなんだ。」


「兄貴としては他国だし、数人が犠牲になってるくらいなら、

 ほっといてもいいだろうと思ってるみたいだね。

 まぁ、これがこの国に影響が及ぶようなら対処しないといけないけどね。

 俺としても様子見が正しいと思ってる。」


「そっか。わかったわ。」


「そろそろシーナとシオンが帰ってくるかな。

 その前に少しだけ甘えてもいい?」


「うん。」


隣に座っていたのを抱き上げられひざの上に乗せられる。

そのままレオの胸に顔をすりよせ、首筋にくちびるを這わせる。

レオから髪や耳にキスされるのがくすぐったい。

どちらからともなく唇を合わせて、甘い時間を楽しんだ。






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