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Cafe Shelly

Cafe Shelly 奇跡の軌跡

作者: 日向ひなた

 今日も憂鬱な一日が始まる。何をするわけでもなく、ただアルバイトにくれる毎日。なぜ自分はこうなったんだろう。思えば思うほど、悩みは深みにはまっていく。一時期は成功すること、これにとても熱心になっていたのに。その熱ももう冷めている。

 一流といわれる東京の大学を出て。就職もそれなりの大手と言われるコンピュータプログラムを扱うに勤めることができ。両親も大喜びだったのに。今では実家に戻り、毎日アルバイトでしか稼ぐことができない立場になっている。そのアルバイトもやっと雇ってもらったような状態。今までいくつ仕事を変えてきただろう。子どもの頃は神童じゃないかと言われたほどの私なのに。

 原因はわかっている。私の、人に対する態度が相手を怒らせてしまうからだ。最初に勤めた会社でもそうだった。あいさつができない、上司の言わんとしていることが理解できない、説明がうっとおしい、などなど。だが、私から言わせればどうして相手が怒っているのか、その理由がわからないのだ。挙句の果てに取引先の部長を怒らせる羽目になり、いたたまれずに会社を去ることになった。

 今のアルバイト先でも同じ調子だ。こんな感じだから、私は友だちが少ない。

「ねぇ、ヒロシさん、これどうすればいいの?」

 そんな私の数少ない友だち、優美がまたスマートフォンを持ってきて私に聞いてくる。優美はいつも私にパソコンとかITに関することを質問してくる。

「あ、これか。これはね…」

 私は前の仕事がら、こういったITについての知識はすごく豊富。もともとがプログラマーだったのもあってか、ちょっとした裏技まで教えてあげる。ただし、私の悪い癖としてはついこういう専門的なことをしゃべりすぎてしまうらしい。私はよかれと思って教えているのだが。

 だから、最初は私を頼ってきた人も次々と離れていく。なのにこの優美だけはいつも私を頼ってきてくれる。私としてもありがたい存在だ。

「わぁ、ヒロシさんいつもありがとう。そうだ、そんなに詳しいんだったらスマートフォンのアプリとか作れないの?」

「うぅん、作れなくはないんだけど…」

 作れないことはない。今まで趣味でいくつか作ったことはある。だが、それは自分のスマホの中にしか存在しない。人に見せる自信がないのだ。

「私ね、こんなアプリがあったらいいなって思うのがあるんだけどなぁ」

 優美は自分が欲しいと思っているアプリについて勝手に語りはじめた。

話を聞きながら、頭のなかでは勝手にプログラムのソースコードが浮かんでくる。こうすればきっとできるな。なんてことを思いつくのだが。

 これはプログラマーだったら当たり前のことだと思っていたのだが。昔同僚に聞いたら、そりゃお前職業病だぞ、と言われたことがある私としては普通のことなのに。そんなにおかしいのかな?

「そういえばヒロシさんって、いつも気難しそうな顔してるよね」ふいに優美からそう言われた。

「そ、そうかなぁ」

「頭のなか、どんなこと考えてるの?」

 私は今、優美が作って欲しいアプリの話をしているときに頭に浮かんだことを伝えてみた。

「あ、私の知っている人にもそういう人いたよ。ちょっと気難しそうな人で。芸術家さんなんだけど、頭のなかはいつも作品作りでいっぱいみたいで。その人、なんていったっけなー、なんとか症候群っていう、もともとの脳の病気みたいなのだって」

 聞きながら頭の中の情報網からこれだ、というものを探し当てた。

「それ、アスペルガー症候群じゃない?」

「そう、それ! 見た目は普通なんだけど、気難しくて人付き合いが悪くて。でも、すっごい作品つくるんだよね」

 聞けば聞くほど私のケースに非常に似ている。私は家に帰って、早速パソコンで調べることに。

 なるほど、アスペルガー症候群の症状って、調べれば調べるほど自分に似ているな。でも、だからってどうすればいいんだ? 私はいつもの癖で、インターネットの知恵袋サイトに投稿をしてみた。

「私はいつも仕事が長続きせず、人付き合いが悪いと言われています。必死になって仕事をしているのですが、その必死さが伝わらないとも言われています。そして…」

 ちょっと長々と書いてしまったが、アスペルガー症候群のことを知りたいという旨を質問した。それで投稿。

 ここからが私の悪い癖。一度知恵袋に投稿したらそれが気になって。ことあるごとに自分の投げた投稿の返事を確認してしまう。だが、なかなか返事はない。

 私はよくこの知恵袋サイトを利用するのだが。なかなか私の欲しい返事をもらったことがない。結局回答がつかずに流れてしまうことも。もっとひどいときには、自分の投げた質問に対して中傷誹謗のコメントがつくことも。その日の夜も、つい遅くまでパソコンをいじりながら回答を確認。

「きたっ!」

 開いてみると、二件の回答が寄せられていた。だが一件は私のことを非難するような言葉。その回答にがっくり。もう一件は…

「確かにアスペルガー症候群の症状に似ていますね。実は私もそうでした。まずは専門医に行ってきちんと判断してもらいましょう。不安を抱えているより、はっきりさせたほうがいいですよ。アスペルガー症候群だからといって、何かが大きく変わるわけではありません。むしろ自分のできることを自覚し、周りにも知ってもらうほうがいいですよ」

 この回答には涙がでるほど嬉しかった。自分一人じゃない、他にも仲間がいる。そうか、そうやって生きている人からアドバイスを貰えばいいんだ。あらためてインターネットのすごさを実感できた。

 今までなら一人で悩み、落ち込んでいただろう。けれど、こうやって会ったこともない人からでも励ましの言葉をもらえる。私はこういうものをうまく活用して仲間づくりができるような仕組みがあれば、と前々から思っていた。

 知恵袋サイトで早速この人にお礼を伝え、さらにネットで専門医を調べてみた。翌日、早速その専門医に連絡をして診断をしてもらうことに。その結果…

「やはりそうだったのか」

 下された結果は、アスペルガー症候群。しかしショックはない。むしろ安心した感じがする。今までの自分の振る舞いの理由がはっきりしたからだ。

 翌日、優美にそのことを伝えてみた。

「そうだったんだ。でも、ヒロシさんは別に変わらないでしょ?」

 変わらないでしょ、そう言われてちょっとびっくりした。そうなんだよな。自分がアスペルガー症候群なのがわかったからといって、この先何一つ変わることはない。でもこのままでいいのか? その言葉に甘えている自分がいないか?

「で、アプリ作ってくれるの?」

「えっ!?」

「ほら、この前話したの。ああいうのがあると、私すごく便利なんだけどなぁ」

「そうだなぁ…でも、自信がないんだよなぁ…」

「自信なんて、後からついてくるものでしょ。何もしていないのに自信なんてつくわけないし」

 そうあっさりと言い放つ優美。確かにそうだ。何か行動しないと、自信なんてつくわけない。何を怖がっているんだろう。

「わかった、ちょっとつくってみるよ」

「やったー! じゃぁそんなヒロシさんにちょっといい情報を教えてあげるね。この前、面白い喫茶店に行ったの」

「喫茶店?」

「うん、そこで飲むコーヒーがとてもおもしろい味がして。その人が望むものの味がするんだって。私、試しに飲んでみたら、ホントピッタリの味がしたんだ」

「どんな味だったの?」

「それは今はナイショ」

「まぁ面白そうだけど…」

 だからって何がいいんだろう。そう思ったのだが、次の一言で気持が大きく揺れた。

「そのコーヒーを飲んだ人の中には、悩みを解決するヒントをもらった人がたくさんいるんだって」

 悩みのヒント、か。思えば私は今まで悩みがあると、いつも知恵袋サイトを使っていた。だが、有効な回答が帰ってくるのは十回に一回くらい。けれど、他に頼ることができなくて。

「ここにあるの。一度行ってみるといいよ」

 優美は地図を書いたメモを私に押し付けるように渡した。ホントにおせっかいなんだから。そう思いながらも、その地図をまじまじと眺める。この後まだ時間あるから、ちょっと行ってみるか。

「じゃぁ、行ってみるよ」

「うん」

 優美のにこやかな顔に促されて、私は早速その喫茶店カフェ・シェリーへと足を運ぶことにした。

「ここか」

 優美の書いた地図と照らしあわせて確認。ビルの二階って書いているな。ゆっくりとした足取りで階段を上がり扉を開く。

カラン・コロン・カラン

 カウベルの音とともに私を包み込んだのは、コーヒー独特の香りと甘いクッキーの匂い。

「いらっしゃいませ」

 可愛らしい女性店員が私を迎えてくれた。

「カウンターでよろしいですか?」

 見ると、店内は混んでいるというわけではないが、そこそこお客さんが入っている。窓際の半円型のテーブルは四人がけで、三人の女性客が座っている。真ん中の三人がけのテーブルにはカップルが。そしてカウンターの四席には、すでに一人座っている。私は席を一つ飛ばしてそこに座ることにした。

「いらっしゃいませ」

 カウンターの向こうにはこの店のマスターと思われる人が、コーヒーを淹れながら私に挨拶。私は早速優美から薦められたコーヒー、シェリー・ブレンドを頼むことにした。

「かしこまりました」

 私が注文を伝えると、マスターはそう言ってにこやかに答える。あ、こういう風に笑って答えると好印象をもたらすんだな。頭ではそれが理解できるのだが、いざ自分がその場面になるとそういう意識はどこかへ飛んでしまう。これがアスペルガー症候群の特徴なんだな。

 私はコーヒーがくるまで黙って店の中を観察。白と茶色でまとめられたシンプルなつくり。とりたてて派手なわけでもない。メニューはコーヒーが中心の純喫茶か。クッキーや焼き菓子がいくつか並んでいて、これはおいしそうだな。

「何か気になる商品、ありましたか?」

 女性店員が突然私に話しかけてきた。

「あ、いえ」

 突然だったので、あっけない返事しかできない。しかし女性店員はにこやかに私にこう言ってくれた。

「よかったらクッキーを試食してみませんか?」

「あ、ありがとうございます」

 きっと、試食をしてあとで売り込もうってことだな。まぁ、それは断ればいいことだし。そう思っていると、今度はカウンターからマスターが私に語りかけた。

「お客さん、失礼ですけど何か大きな悩みをお持ちじゃないですか?」

「えっ、ど、どうして?」

「いえ、さっきからちょっと神妙な顔つきをしているように見えたもので。よかったらこのシェリー・ブレンドが味方をしてくれますよ」

 そう言って注文したコーヒーを差し出す。

「マイ、白と黒のクッキーを持ってきてくれ」

「はーい」

 マイさんと呼ばれた女性店員は、お皿に乗せた二枚のクッキーを持ってきた。

「こっちは黒ゴマ、そしてこっちはミルクをふんだんに使ったクッキーなの。それぞれ口に含んで、そのあとシェリー・ブレンドを飲んでみてください。そのあと感想を聞かせてくださいね」

 そう言ってにこりと笑うマイさん。食べ方まで指定されるとは、ちょっと変わってるな。そう思いつつ、まずは黒ゴマのクッキーを口に含んでみた。

さくっとした感触とともに、口の中全体に黒ゴマの香りが広がる。そしてコーヒーを口に含む。お互いの香ばしさがさらに口の中で広がる。と同時に、頭のなかに鮮明に映像が浮かんできた。

 私は一人でパソコンに向かっている。が、私は一人ではない。多くの人と、いや全世界とつながっている。インターネットという世界の中で、私はいつしか多くの仲間を得ている。しかも、その仲間はみんな高い意識を持っている。そこで何かの真面目な議論を行なっている。そこから世界が変わる。私はその一端を担っている。

 そういえば、前にそんなことを夢見ていた頃があったな。自分がつくるソフトで多くの人がつながり、そしてそこで多くの知恵が出しあえて。それが世界的に広がって、多くの人の悩みが解決していく。知恵袋サイトはその仕組に近いものがあるのだが、なかなか有益な回答を得られない。お金を出してもいいから、いち早く的確な回答が欲しいと思う時もある。

 そう思いつつ、もう一つの白いミルククッキーに手を伸ばし、それを口に含む。そして先ほどと同じようにコーヒーを口に含む。すると、今度は口の中で溶けていくような感覚を味わった。と同時に、また別の映像が。

「まずはつくってみなきゃ、ね」

 優美が私にそう言ってくる。何をつくるのか? 先日優美から言われたあのアプリの事か? いや、違う。

「なければつくる」

 その言葉が頭に浮かんできた。なければつくる、か。それが何なのか、おぼろげながら見えてきた。

 私が欲しいと思っているサイト。それは私のように、いつも一人で悩んでいる人の答えを、確実に、しかも的確に、そして迅速に応えてくれるQ&Aシステム。時々お金を出してでもいいから、その答えが欲しいと思うことがある。だったら、そういうのを私が作ればいいんだ。有益な答えを出してくれた人にお礼を渡すのは、当たり前のことじゃないか。ひょっとしたらそれをビジネスとして行う知識人も出てくるんじゃないかな。

 けれど、そのままその人にお金を渡してしまうのはなんだか味気ない。もっとそのお金が社会のために回るようなしくみ。それができないか? そう思いつつ、口の中に残った甘みを消そうとコーヒーを口に含んだ。すると、頭のなかでさらに別の映像が浮かんできた。

 世の中で頑張っている人やグループ、そういったところに寄付としてお金が回っている。そういった頑張っている人たちを応援する仕組みをつくるか。

頭のなかで構想がどんどん形作られていく。と同時に、私の思考のもう一つの特徴である、プログラムのソースコードが次々と浮かんでくる。

「お客さん、いかがでしたか?」

 マスターの声に、私は現実に戻った。

「えっ、あ、そうか。ここ、喫茶店だった」

「随分と長いこと、何かを見ていたようですね。シェリー・ブレンドとクッキーの効果が出たようですね」

「効果って、どういうことですか?」

「はい、まずシェリー・ブレンドはその人が望んだものの味がするんです。人によっては、望んでいることが映像で浮かんでくるようです。さらに黒ゴマのクッキー、こちらはその人が欲しい未来が浮かんできます。そしてミルククッキーは、その未来を手に入れるための方法が出てくるんですよ」

 にわかには信じられないが、現実的にそれを私は目にしたのだから間違いないだろう。

「ということは、私が今見たものは…」

「よかったらどんなものを見たのか、お話してみませんか?」

 私はマスターの言葉に促されるように、先ほど見たものを忘れないうちに言葉にしてみた。言いながら、こんな思いも浮かんできた。

「私のような人間に、人に依存せずに自立をしていけるような社会を作りたいんです」

「お客さんのような人間って?」

「実は私、アスペルガー症候群なのです。そのおかげで仕事が安定せずに転々として。今は親の元で暮らしていますが。そういう人でも自立をして、自分の力で生きていける。そんな社会を作りたいんです」

 さっきまではそんなこと、思いもしなかったのに。口にして初めてわかった。自分の奥底にある思いが。

 そうか、自分は親元を離れて独立したかったんだ。アスペルガーだからといって、いつまでもそこに甘えているわけにはいかない。世の中には自分と同じような人がたくさんいるはずだ。

「そうだったんですね。私もかつては教師をやっていて、アスペルガー症候群だっていう生徒と何人も向き合ってきましたから。その気持はよくわかりますよ」

「えっ、マスターは先生だったんですか?」

「はい、そこでスクールカウンセラーもやっていましたから。確かにアスペルガー症候群の方はコミュニケーションにクセがありますが。でも、すごい能力を持っていたなって思いました。ある生徒は数学の才能を持っていて、すごく難しい問題に自分からチャレンジしていました。けれど、その才能をどこで発揮すればいいのかわからない、ということで嘆いていました」

 そうか、そういう才能を持っていながらも発揮する場がない。しかしそういう分野で困っている人は世の中にたくさんいるはずだ。その架け橋となるものをつくれば。そこにお金が回るような仕組みを作れば、アスペルガー症候群の人でも自立した生活を促せるはずだ。

「よし、決めた!」

「えっ、何をですか?」

「私、やります。先ほど話したような有料Q&Aシステムをインターネット上につくります。そして、私のような人間が自立した生活ができるように。さらに多くの活動団体の資金援助ができるように。その結果、多くの人が笑って暮らせるように。そんな仕組みをつくってみます」

 ちょっと自分で言った言葉に酔ってしまった。すると、私の言葉に隣のカウンター席にいたお客さんが参加してきた。

「失礼、先程からの話を聞かせて頂きました。私、こういうものです」

 その名刺を見ると、なんとソフトウエアの会社を営んでいる社長さんではないか。

「うちは地方の小さなソフトウエア会社ですが。今おっしゃった仕組み、これをもっとブラッシュアップしてちゃんとした企画書を作成してみませんか? プログラムは個人でもつくれるでしょうが、それを軌道に乗せるのは大変ですからね」

 その言葉は私に大きな自信を与えてくれた。

「はい、がんばります!」

 このあと、具体的な話をして自分の中のイメージがさらに膨らんできた。この日から、私は早速新しい有料Q&Aサイトのプログラム作成にとりかかった。少しずつ組み立てては、ソフトウェアの会社に持ち込んでブラッシュアップをかける。話していくうちにいろいろと新しいアイデアも湧いてくる。ただし、見た目のデザインが苦手なのでそこを誰かに埋めてもらわなければいけない。そのことをアルバイト先で優美にこぼしたら、意外な答えが帰ってきた。

「私、デザインくらいだったらできるかも」

「えっ、そうなの?」

「へへへ、実はデザインスクール出身なんだよ。でも、正直この世界でご飯食べていくのって一握りだからなぁ」

 アスペルガーではないが、ここにも才能を持て余している人がいたとは。こういう人にもこの有料Q&Aサイトを使って、回答者として仕事を得てほしい。こういう人はまだまだ世の中に沢山埋もれているはずだ。そう思うと、プログラム作成にもさらに熱が入る。よし、優美のためにもやってやるぞ。

「ところで、私のお願いしたアプリってどうなったの?」

「あ、ごめん!すっかり忘れてた」

 私の悪い癖。一つのことに没頭し始めると、他のことができなくなる。これは職場でよく言われていたことだ。君は才能はあるのだが、周りのことが見えなくなるね、と。頭ではわかっているのだが、どうしてもその癖はぬぐえない。しかし、優美は私のことを理解してくれている。

 優美からお願いされたアプリなら一日もあれば完成できる。今度の土曜日にとりかかるか。どうせなら環境を変えてみよう。そう思い、土曜日にモバイルグッズを持ってあの喫茶店、カフェ・シェリーへと足を運んだ。

「いらっしゃませ。あ、先日のお客さん」

「こんにちは。今日はここで仕事をさせてもらってもいいですか?」

「えぇ、どうぞ。パソコンのお仕事なら窓際の席がいいですね」

 今日はまだお客さんが少ない。窓際の明るい席で私は優美から依頼されたアプリの開発作業を開始した。もちろん、注文はシェリー・ブレンドだ。

「すごーい、プログラマーの方だったんですね」

「あ、はい。私、こういう者です」

 私は名刺を差し出した。これも優美からのアドバイス。これからいろんな人に会うだろうから、名刺はつくっておいたほうがいいよって。優美はありがたいことに、名刺のデザインまでしてくれていた。

「ヒロシさんっていうんですね。私、マイっていいます」

「あ、この前お名前は覚えました」

「わぁ、ありがとう。今はどんなプログラムをつくっているんですか?」

「スマートフォンのアプリなんです。知り合いに頼まれて」

「スマホのアプリなんてつくれるんだ。ますます尊敬しちゃうなぁ」

 マイさんは私をのせるのが上手いな。悪い気はしない。

「マイ、お客さんの邪魔しちゃだめだよ。お待たせしました、シェリー・ブレンドです」

 マスターがそう言って注文したコーヒーを運んできてくれた。

「大丈夫ですよ。マイさんと話していると元気になれますから」

「わぁ、ありがとう」

「ははは、マイはすぐに調子に乗るから。ところで、先日のソフトウェア会社の社長さんとはどうなったのですか?」

「えぇ、おかげさまでいい話をさせてもらっています。自分の夢をつかんでいけそうです」

「なるほど、だからこんな屋号を付けたんですね」

 そう、私の名刺に書かれている屋号はマスターの言った通りの意味。その屋号とは「Dream Catch」。

「ヒロシさんならできますよ」

 マスターにそう言われると、本当にそれができそうな気がしてくる。私は感謝の言葉を述べて、自分の仕事に戻ることにした。

 シェリー・ブレンドを少しずつすすりながら仕事を進める。おもしろいのは、私がちょっとプログラムで詰まるときに飲むと、そのプログラムのソースコードが頭にひらめく、というところ。なるほど、シェリー・ブレンドは今自分が欲しがっている答えをすぐに導き出してくれるのか。おかげで優美から頼まれたアプリはあっという間に完成。よし、この調子であのQ&Aサイト、「フォードリームズ」の制作を進めることにするか。

 この「フォードリームズ」という名前。これは、このサイトを使うことで多くの人の夢を叶えるために、という意味だ。こちらのサイトの構築は、優美のアプリほど簡単ではない。だが、おもしろいことにシェリー・ブレンドをすするとどんどん進んでいく。おかげで夕方までに雛形となるものが完成してしまった。これには自分でもびっくりだ。

「マスター、マイさん、ありがとうございます。おかげでプログラムの制作が進みました。そのうちテスト運用を始めるので、よかったら意見をお願いします」

「えぇ、喜んで。ヒロシさんの夢のお手伝いをさせて頂きますよ」

 よし、必ず自分の夢を実現してみせるぞ。そして、多くの人の夢を叶えられるようにしてみせるぞ。だが、全てが順調に進んだわけではなかった。

 フォードリームズのテスト運用をスタートさせて、知人にお願いをして評価をしてもらった。もちろん、すべて良いという評価を得られたわけではない。手厳しい意見もある。これは覚悟の上だ。だが、この書き込みにはちょっとショックを受けた。

「こんなの、何の役に立つの? わざわざお金を払ってまで使う価値なし。こりゃ詐欺だよ」

 他のコメントにはきちんとお礼を伝えながら、改善点などを加えて返事をしていたのだが。この書き込みにはなんと返せば良いか、思いつかなかった。詐欺とまで言われて。深く悩んでしまった。おかげでフォードリームズの開発もストップ。

「ヒロシさん、今日調子おかしいよ。どうしたの?」

 優美が私の変化に気づいて、そう声をかけてくる。だが、個人的なことに優美を巻き込みたくない。

「大丈夫、大丈夫だよ」

 そうは言いつつも、気持は全然大丈夫ではない。その日の夜はパソコンもつけずに、ベッドの上でゴロゴロしながら考えこんでしまった。このままフォードリームズの開発を続けていいのだろうか。本当に社会の役に立つことをしているのだろうか。そんなことを考えながら、いつしか眠りについていた。

 翌朝、やはりフォードリームズが気になって早くに起きてしまった。恐る恐るではあるがパソコンをつけてみる。そして、フォードリームズの掲示板サイトを覗いてみると…

「えっ、ど、どういうことだ!?」

 見ると、例の書き込みの後に驚くほどのレスがついている。いわゆる炎上というやつ。一体何があったのか?早速その最初の方をみてみる事に。すると、意外な書き込みからスタートされていた。

「あなたは何も知らない!このサイトは世の中の頑張っている人を援助するための仕組みとして立ち上げようとしているんだから。そのために多くの人の知恵を集め、その御礼をお金として支払うことで成り立ち、さらにそれが多くの人を救うことになるんだから」

 半ば感情的な意見。けれど、自分の味方がいてくれたことがとてもうれしい。しかし、例の書き込みをした相手もそれに反論。

「そのお金の行方が不透明だからダメなんだよ。いくら公言しても、結局開発者のところにお金が貯まるしくみなんだろ?」

 なるほど、まだお金の流れが不透明なのが原因なのか。だが、さらにそれに対しての反論が続く。そしてまた反論。これが何回か続いたのち、第三者が現れた。そこにはこんな言葉が。

「君はもっと世の中を広く見るべきだ。そしてもっと人を信じるべきだ。私は信じている。このシステムが多くの人を救うことを」

 この言葉に涙が出てきた。そして勇気をもらった。フォードリームズの仕組み、これを理解している人じゃないとこんな言葉は出せない。

 私はさらに読み進めていく。すると、さらに別の人が私に味方をする書き込みを。例の人が一つ反論すれば、それに対して三つ、四つ、最後は十以上の反論の書き込みが生まれていた。例の人も徐々に考え方が変わってきたようだ。最後はこんな言葉になっていた。

「オレは何もこれがダメだって言っているんじゃないんだ。もっとお金の流れを透明にして、みんなが納得できるお金の使い方をしてくれればそれでいいんだから」

 明け方の五時半まで掲示板での言い合いは続いていたようだ。やはり最後は私がこの事態を収めないといけないだろう。恐る恐るではあるがこんな言葉を書き込んだ。

「管理人のヒロシです。皆さんの言葉、とてもうれしかったです。お金の流れ、確かにこのままでは不透明でした。これをわかりやすくする工夫を加え、みんなが納得し喜んで使ってもらえるサイトを作っていきます。ありがとうございます」

 その日、アルバイト先に行くと優美がやたら眠たそうな顔をしていた。

「どうしたの? 今日はやけに眠たそうだけど?」

「うん、昨日っていうか明け方までちょっとネットでバトルしてたから」

 そう言ってにこりと笑う優美。ネットでバトルって…ここで気づいた。あの最初の反論の口調。あれは優美の言い方じゃないか。ということは、あの書き込みは優美だったのか。あんなにも私のことを味方してくれる人がこんなに身近にいたなんて。

 でも、あれが優美だという確証はない。なにしろ掲示板は匿名での書き込みになっているから、自分から名乗らない限りはその正体はわからない。こういうときはどうすればいいんだろうか? やはりこういう時の言葉はこれなのかな…

「優美、ありがとう」

「ん、何が?」

 やはり違ったのか? あれは優美じゃないのか?けれど、思いは止まらない。

「あれ、優美なんだろう。私の味方をしてくれたの」

 見つめ合いしばしの沈黙。その沈黙を破ったのは優美だった。

「へへ、ばれちゃったか。だって、ヒロシさんがこんなに頑張っているのに我慢できなくなっちゃって。ヒロシさん、絶対にあのサイトを完成させて、みんなの役に立ってね」

「うん、約束するよ」

 その日を境に、私の行動は大きく変わった。実働テストを繰り返しながら、有料Q&Aサイト「フォードリームズ」を形作っていくことに毎日の力を注いだ。その過程で、ソフトウェア会社を始め多くの人からのアドバイスや要望の声を取り入れ、フォードリームズは徐々に完成形へと近づいていった。

 いや、おそらくフォードリームズに完成形はない。日々進化していく、と言ったほうがいいだろう。気がつけば登録者数も徐々に増え、いつの間にか本格運用が始まっていたという形になっていた。お金の流れも透明化するために、質問者がお礼として支払ったお金がどのような分配でどこに使われているのか、リアルタイムに分かる仕組みを取り入れた。それにより、人気回答者ランキングなんていうのも生まれたし。また、それぞれの専門分野ごとのプロフェッショナル回答者も生まれてきた。うれしいことに、優美も初期の頃から回答者の一人として活躍してくれたため、人気回答者にランクインしている。

 私もフォードリームズの運営事業が徐々に忙しくなったため、アルバイトをやめてこちらに専念することになった。少し寂しいのは、そのせいで優美に会う時間が少なくなってしまったことだ。

 そんなある日、フォードリームズにこんな質問が流れた。

「気になる人がいて、今までさりげなくその人の仕事に協力していたのですが。最近、その仕事が忙しくなってその人と会えなくなってしまいました。少し寂しいんです。こういうとき、どうすればいいのかアドバイスをお願いします」

 恋愛の悩みだ。よく考えたら、今までパソコンの操作を始めとした技術的な悩みが多かったのだが。私も全ての質問に目を通しているわけではないけれど、こういう質問もあるんだな、と感じた。さて、この人にいい回答はつくのだろうか?

 すると、今まではその道のエキスパートと呼ばれる人しか回答しなかったのに。この質問にはいろんな人があっという間にいろんな回答を寄せていた。その答の多くは、思い切ってその人に告白を、というもの。このとき、ふと優美のことが頭に浮かんだ。

 優美のこと、今まで気にならなかったわけではない。けれど、アスペルガー症候群の自分に恋愛なんて、というあきらめはあった。それに、優美には確か好きな人がいるということを前に聞いたことがある。だから、それ以来私は優美のことを協力的な女友達としか見ないようにしていた。でも、好きではあるんだよな。

「みなさん、アドバイスありがとうございます。明日思い切って告白してみます」

 質問者の御礼のコメントでこの質問は一旦クローズとなった。けれど、この人がどうなったのかぜひ報告して欲しいところだ。

 そうして翌日の朝、携帯メールが届いた。

「誰だ…えっ、優美?」

 メールを開くと、久しぶりにランチでもどうかという誘いだった。そういえばこのところ人と会っていなかったな。たまには外に出るのもいいか。

 OKの返事を送ると、待ち合わせ場所と時間のメールが折り返し送ってきた。待ち合わせ場所は、なんとあのカフェ・シェリー。久々の場所で久々の人と会う。これはうれしいのだが、なんだかアルバイト先以外で優美と会うのはちょっと照れるな。ちょっとだけおめかしをして出かけてみる。

カラン・コロン・カラン

「いらっしゃいませ。あ、ヒロシさん久し振りですね」

「マイさん、こんにちは」

「ヒロシさん、フォードリームズ、時々使わせてもらっていますよ」

 マスターが早速そう言ってくれる。活用してくれている人がいるのはありがたいな。

「ヒロシさん、こっち」

 窓際の席に目をやると、優美がもう来ていた。

「久しぶり。フォードリームズでも活躍してくれて嬉しいよ」

「あはっ、ヒロシさんのお陰で私の人生も変わったよ。アルバイトは続けているけれど、フォードリームズから収入も得られるようになったし。私ね、デザインの勉強をまたやり直し始めたんだ。フォードリームズでもっと専門的な回答を出せるように、しっかりとした知識を持たなきゃって思ったの」

「そうか、それはよかった」

「でね…今日はちょっと話があるの」

「何?」

「あのね…」

 ここで優美はちょっとはにかんでみせた。よく喋る女の子なのだが、急に黙ってしまったのでどうしたのだろうと思ったのだが。

「ヒロシさん、私ね、その…」

 モジモジする優美。一体どうしたのだ? するとマイさんが私の横にきて、小声でこう囁いた。

「ヒロシさん、そろそろ彼女の気持ちに気づいてあげてね」

 気づいてあげてねって…それって、もしかして?追い打ちを掛けるように、マスターがシェリー・ブレンドを運んできて私にこう言った。

「昨日のフォードリームズの恋愛相談、読みました?」

「ってことは、あの書き込みって、もしかして…」

 あらためて優美を見る。顔を真赤にして恥ずかしそうにしている。

「てへっ、あれ、私でした」

 照れながらそう言う優美。いくら鈍い私でも、ようやく気づいた。

「あ、あれ、優美だったのか…」

 そうなのだ、あの恋愛相談をしたのは優美だったのだ。そして告白の相手、それは私だった。

 未だに信じられない。見た目もいいわけではないし、性格だってアスペルガー症候群のせいで決していいとはいえない。私だって恋愛はしたい。そういうのには憧れていた。けれど半ばあきらめていたことだったから。

「私ね、一生懸命やっているヒロシさんの姿を見て感動しちゃったの。そして、この人と一緒にみんなに役立つことして行きたいって、そう思ったの。でもね、それ以上にこの人なら信頼出来るって、そう思った。だから…」

 また黙り込んだ優美。

「ヒロシさん、ここからは男のセリフよ」

 マイさんが私にそう言う。私もここは勇気を持ってこの言葉を言わなければいけない。勢いづけにシェリー・ブレンドを飲む。そして、今自分が欲しい言葉、これを自分に言い聞かせてみた。その言葉を口にしてみる。

「優美…私と…その…つ、つきあってください」

「はい、よろこんで」

 私の人生が一気にバラ色に輝いた瞬間であった。

「おめでとう、ヒロシさん、優美さん」

 まさに奇跡、としか言えない。このときから、私の人生には奇跡が次々と起き始めた。あれからすぐに、人づてで有料Q&Aサイトがパソコン雑誌に取り上げてもらえることになった。既存のものとは違い、質の良い答えがすぐに返ってくる、という点に魅力を感じてくれたらしい。さらに、そこで得た収益が頑張っている団体や人に循環してく仕組みだという点が高く評価された。

 とはいっても、誹謗中傷はなくならない。ところが、これも参加者の自主的な管理システムによってそういった書き込みを排除できるようになった。

 この雑誌の記事のお陰で、今ではこのQ&Aサイトも参加者が増えて。私は会社を立ち上げ、管理してくれる人を雇い、さらなるバージョンアップを図れるようになった。気がつけば優美も社員になり、さらに寝食も共にするようになり。そして籍を入れるよりも先に子どもができてしまった、ということに。まぁ順番は逆になってしまったが、これもうれしいことだ。

 こういった奇跡のような出来事が次々と起こっていく。また、私と同じアスペルガー症候群に悩んでいる人、親に対しての講演活動も行うようになった。今では会社のことは社員に任せて、こちらの活動に時間を注ぐことが多くなった。けれど、フォードリームズに目を通すことは忘れていない。

 そんなある日、私の心を揺るがす一つの質問がフォードリームズに寄せられた。

「世界中から武器をなくすためには、どうしたらいいのでしょうか?」

 一見すると馬鹿げた質問かもしれない。そんなこと、できるわけがないじゃないか。そう思う人も多いのではないだろうか。だが、私はこの質問に目が釘付けになった。なぜなら、このことは私が若いころ真剣に考えたことがあるからだ。

 なぜ世界中で紛争や争い事が起きているのか。話し合いで解決をすればいいのに。武器なんてものがあるから、みんなそれに頼って力で抑えこもうとしている。だから、武器をなくせばいいのに。けれど、その方法が見つからない。そうしていつの間にか、その思いは私の中から消えていた。

 この質問は私のその思いを蘇らせてくれたのだ。だがこの質問にすぐにこれといった答えはつかなかった。私も思いつかない。すると、一人の回答者がこんな答えを出してくれた。

「一人で考え込んでいてはだめです。まずは仲間を募りましょう。フォードリームズのグループ作成機能を使えば、すぐに仲間が集まりますよ」

 そうか、そうなんだ。同じ思いを持つ人は一人じゃないんだ。今はネットを通じた仲間がいるじゃないか。

 すると、まもなくフォードリームズに新しいグループが作成された。

「世界中から武器をなくす会」

 私は早速そのグループに登録を行った。すると、先ほどの回答者もすぐに登録を行ったようだ。まずは三人からスタート。

 グループのチャット機能を使って、早速ネット上でのディスカッションが開催された。一見すると実現もできそうにない馬鹿げた議論。けれど私たちは至って真面目だった。

 ここからがさらに奇跡の始まりであった。このグループに徐々に関心を寄せる人が増えてきて。それもそのはず。私達の議論はあえてみんなにオープンにしていたからだ。賛同者が一人増え、二人増え、気がつくとグループの人数は三桁を超えていた。

 これは少しシステムをいじらないと。グループの中にさらに小グループをつくる機能を追加。それぞれにテーマを持ってチャットを使った議論が始まった。私はこれらを統括するので手一杯。しかし勢いは止まらない。フォードリームズの機能はさらに充実したものとなり。

 そしてこれこそが最後の奇跡といえる出来事が起きたのだ。だが、私はその奇跡を知ることはなかった。なぜなら、それはフォードリームズが生まれてから五十年後の出来事であったからだ。

「信じられないことが本当に起きました。とうとう世界中から武器が消えたのです。その功績をたたえ、活動の主催を行った宮崎雄一氏に、ノーベル平和賞が授与されます」

 あの活動を始めてから五十年後。もう私はこの世にはいない。しかし、私達が始めた小さな活動が徐々に輪を広げ、そして今まさに奇跡が起きたのである。

 宮崎雄一、彼こそが五十年前にフォードリームズであの質問を投げかけた若者だったのである。

 彼は言う。

「この功績は私一人が成し遂げたものではありません。私を支えてくれ、そして協力してくれた皆さんのおかげです。さらには、この活動の拠点となるシステム、フォードリームズのおかげだと言えます。今は亡きフォードリームズの父、ヒロシ氏にもこの栄誉を捧げたいと思います」

 割れんばかりの拍手。私はあの世でこの出来事を眺めていた。

 これこそが私が目指した世界。私の姿はもうない。しかし、私の魂はフォードリームズに受け継がれ、そして世界中の人達が今このシステムを活用し、相互支援と世界平和のために動いていたのだ。

 だが、世の中の悩みは尽きない。その解決のために、これからもずっと私の魂は生き続ける。フォードリームズとともに。


<奇跡の軌跡 完>

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