第1話 *回想Ⅰ*
西暦2139年。世界中で100年以上も前から心配されていたこと―――オゾン層の消滅―――がついに現実になってしまった。それまでオゾン層により防がれていた宇宙からの放射線は、容赦なく地上の人類を滅ぼしていった。
だが、そんなことで滅ぶような人類ではなかった。―――いや、そこで滅んでしまえなかった哀れな人類だった。
国連はこうなることを予想し、地下に巨大な核シェルターを作っていたのだ。その広さ約300000k㎡(日本の面積が約380000k㎡)。ここに一億人弱の人間を詰め込み、最新の科学技術を用いて生き残っていた。
そして地球脱出へと向けてさらなる技術の進歩を試みていた。―――
―――時は流れ西暦3939年 それは突然の出来事だった。―――
そこは技術開発機関。地球からの脱出のために技術者達が集まり、日夜研究を続けている。
「寒いな」
マイクは思わずそう呟いた。
「言うな」
同僚のマイケルがそれに答える。
「しょうがないだろ、マイク。こんな機械だらけの部屋、ほっといたらサウナになるぞ」
「それにしたって冷房効きすぎだと思わないか?」
「確かに10度位しかないな」
「反応うっす」
そんな日常会話を繰り広げていると、外でものすごい爆発音がした。
「もう少し反応してk」
『ドゴォォォォン』
「っ!!!!」
「なんだ!?」
「マイクっちょっと見てくる」
「おいっ!マイケルっ!!」
そう言ってマイケルは外へ飛び出して行った。
マイケルが外へ出るとそこには死体の山があった。思わず叫びそうになる。だが直前で踏みとどまった。なぜか物凄く静かで物音ひとつしないのだ。
覚悟を決め、マイケルは死体へ近づいた。見たところ外傷は無いようだが異様に皮膚が白い。そして冷たい。今死んだとは思えないほど身体が冷たいのだ。
注意深く調べると、どの死体にも首筋に二つの穴があいている。まるで蛇にでも噛まれたようだが、現在の地球に蛇は生息していないのでそれはまずあり得ない。いや、この状況の方があり得ない。
マイケルはつぶやく、
「なんだ···これ···?」
マイケルが戸惑っていると、『うわぁぁぁぁっ』という叫び声がかなり近い場所で聞こえた。
「ヒッ! なんだ···?今の叫び声?」
(訳がわからなすぎる。人がこんなに殺されているにしては静かすぎるし、明らかに人間ができることじゃない。本当に何が起きてるんだ?)
「おい。そこの人間」
―――唐突に自分のものではない声が背後から響いた。―――
吸血鬼好きの吸血鬼好きによる吸血鬼好きのためのお話です。
回想が終わるまでは吸血鬼の出番少な目です。
·初投稿(小説書くこと自体初めて)なので読みにくいところが多々あると思います。
·要望があれば形式の変更もあります。
·不定期です。