ヴァルヘルム、に、もて、も、て
部屋の隅でションボリしょげたヴァルヘルムに黒豹が肩を並べて慰めている?構図的に何だろう、そこだけ絵面が違う。某動物王国?と思いつつ。
ふと床を見ると、あっという間にアデルの配下の蜘蛛達が一斉に床拭きをして綺麗になっている。
「あれ?ダンジョンって放置してても綺麗になるんじゃなかったっけ?」
「ああ、コイツラは綺麗好きだからな」
ふむふむ、成程ね。
ただその配下達って他の蜘蛛より明らかに小さくない?
それでも50センチ位はあるけど。そして何故皆フリル付きの白いエプロンを装備しているの…
「掃除当番だからな」
「当番…」
「私の所の蜘蛛達は担当が週によって変わるんだ。配下の数が多いし、そうしないと休みが与えられない所が出て来るからな」
私の所も多くなったら当番とかってやった方が良いのかな?
…何だか学校生活を思い出されるけど、こうして考えると集団生活に置いて学校で過ごしたケースって結構役に立つのね。まぁ良く分からないドスケベな男性教員を思い出すけど、それは女子校時代の特殊ケースだからなぁ。
何せ赴任した新人男性教員、初っ端の全校生徒の挨拶で第一声がコレだったから。
「僕はこの学校で僕のお嫁さんを探しに来ました」
…。
それまで微かにでも生徒達の波立つような人の声のざわめきがあったのに、その一言で全校女子生徒がシラけた瞬間だった。更に皆思った事は同じだったのだろう、
「婚活会場にいけ、この色ボケ」
と言う副教員の言葉にほぼ全員頷いで同意したことだ。
凄かったんだよなぁ、体育館に揃えられた全校女子生徒が頷く図。
その後すったもんだで色々トラブル起こしてくれた先生は正直学校の癌だったけど、当事者で無い私達一般生徒にとっては笑い話の一種と為っている。何せ卒業し、同窓会等開こうものならこの先生の話題は欠かせない事と為っているし、今でもこの先生は女性問題が多くて正直失笑しか出て来ない。
結局当初の通りに女生徒に手を出して妊娠させ、責任とって結婚。その数年後別の女生徒に手を出して不倫。で、離婚で責任とって結婚。慰謝料問題で云々。で、また不倫を起こして…なんだろう、この先生学校に居たら駄目じゃない?ってぐらい酷い噂が事欠かない有名な先生になってたものね。
……。
何だか疲れた事思い出してしまったけど、頭切り替えよう。
「私の所も当番制で担当とか変えた方が良いのかしら?」
「私は固定で」
予想通りの人、ミンが軽く片手を上げて来たなぁ。
そしてアルフォンソも。彼の場合は自身のレベル上げもあるからその辺りを中心にして欲しいのだけど、当人の言い分も聞かないとね。
「ルクレツィアの世話?」
「いえ、それとは別で。私洗濯するのが大好きなんですよ。ですから洗濯の人数が増えるのは嬉しいのですが、外れたくは無いのです」
そう言えば先程喜んで洗濯してたよね。
そっか~…って、面倒じゃないの?
「面倒より綺麗になるのが良いのです」
そう言うもの?
水とか冷たくて大変じゃない?とは思うんだけど、ミンの言い分は聞いた方が良いよね?
「きつかったら言ってね?」
「はい。有り難うございます」
よし、時々は手伝うかな。川まで結構な距離あるし…うう~ん。
「レーベル、川迄の距離を地下にあるダンジョンを通してしまえばいい。そうすれば水がダンジョンに繋がるぞ」
「え、そうなの?!」
エエエッ知らなかったとは言え迂闊だった!
確かに何処までがアデルのダンジョンの地域だか分からないから遠慮していたってのもあるけど、ちょっと考えれば分かる…事かも。
それに配下の安全を考えればダンジョンをある程度伸ばして置いてって言うのもあるよね。
うう、全く考え付かなかった~!
「ああ。それとだな、そのまま接続してしまうと川や水に潜む魔物とかがダンジョンに侵入してしまう。その辺りの対処をしないと駄目だぞ」
おうふ、ナンデスと!
「川とか水って言うと…」
「この辺りは幸いな事に海から遠いから比較的酷いのは来ないが、ウンディーネやヒュドラにリヴァイアサンの子供、ケルピーにヴォジャノーイ。後は……多分レーベルには特に被害が無いとは思うが、九頭竜………かな」
「ねぇアデル。なんでそんなに九頭竜の場合だと嫌そうで、間を開けるの?」
「……………」
何でそこで顔面蒼白に!?
とか思っていたら、足元に一斉にアデルの配下の蜘蛛達がっ
『やめてあげてー』
『マスターのライフは0よー!』
『マスターは竜やドラゴンとは相性が悪いんです!』
『ええとつまりですね、マスターはその九頭竜にも言い寄られてまして』
『九頭竜はまだ節度があるんで宜しいんですが、マスターは竜やドラゴンは毛嫌いしておりまして。主に大蜥蜴…ドラゴンのせいです』
ありゃ、トラウマ状態か。
「俺、何で身体が長ものに好かれるんだ…」
がっくり項垂れ地面に座り込んだアデルをルクレツィアがヨシヨシして慰めている。そんな何時もの光景が繰り広げられているのだった。
* * *
「はい、何時ものこれとこれにゃ~。此方は交換でいいにゃか?」
やっぱりアガーテは商人でした。
あの後サクッと、グダグダな空気に陥っていた私達の間に割って入り、
「んじゃさっさと商談入っちゃいましょー」
と諸々進行させて来た。
まぁ確かに放置しとくと、隅に居て「くっ、やはり顔かっ顔なのかっ!」等と言っているセンギョクがウザイと言うのもあるのだけど、スルー力強いな。
そして面白がって小枝でツンツン突くルクレツィア。
それ、ヤメて上げて。
ヴァルヘルム何ルクレツィアの後ろに並んでるの?うん、順番?
「…センギョク、そのままだとヴァルヘルムに頭部毟り取られるよ?」
ザザザザーッと一気に後ずさって、何も知りません何もしてませんって顔してる辺り、頭部気にしているのか。そして何故か他のオーク達も後ずさって居る。
ああ、ミンは平気そうだね。そう言えばヴァルヘルムはミンには齧ったりしないよね。手入れとかして面倒見ているからかな?
ゴブリン達は特に気にしていない様だ。
気にしようにもルクレツィアはんー?と分かっていないようだし、そもそも幼少組の頭部をヴァルヘルムは毟ったりはしないと思う。多分。
やったら流石に私も怒るよ。
自覚しているけど、ウチのちびっこ達には愛情を掛けてますからね?
何だかんだ言ってヴァルヘルムもだけど。
……センギョクはには悪いと思っているけど、ちびっこ達程の愛情は多分、無い。
それよりはセンギョクの頭部を先程から熱い眼差しで見詰めているから危険だろう。
「センギョク、ねら、われて、るー」
「ですねぇ」
「センギョク、ヴァルヘルム、に、もて、も、て」
「もててますねー」
涙目になっているセンギョクにルクレツィアが「よか、たね」と言ってるけど、良いのかそれで。
そしてヴァルヘルム、空気を読んだのかセンギョクに寄って行ってその長くて青い(青い舌だった…)舌でベローンってセンギョクの頭部を舐めた。
うん、頭部を毟るのを断念したんだね、エライね……ただハムハムと口に入れるのはヤメて上げて。センギョクが涙目だから。
「馬にもてても…そして雄」
雌ならいいのかセンギョクよ……
今回のJK話は実話。
某A県H市の現在共学になってしまった学校出身の方から聞いたお話です。色々と伝説を作ってくれた人だそうです。




