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一心不乱に魚に注目

「大体この辺りって蜘蛛か獲物しか居ないっしょ~?」


 シユウが単瘤を付けたセンギョクに向かって話している。


「うう、彼女が欲しい。この傷を優しくいたわって欲しい」


「傷って、おい。夢見るなや…」


 諸々突っ込まれているセンギョクに白けた顔で見詰めているヴァルヘルムの背に、集めた小枝や乾燥している枯葉が入った袋を括り付ける。今後ダンジョンの台所で使う予定の火種だ、出来ることならもっと欲しい。


 そんなシユウとセンギョクはコンビを組んで、湖に足を付けて魚を追い立て、拾った長めの枝の先端を尖らせて魚に刺して漁をしている。有り難いことに幾つか鮭や化け大鮎をゲットし、これをお昼ご飯にしようとコウテイと共に岩場の岩で竈を作成中。


「マスター、食える果物見つけました!」


 カルヴィーノとバイアルド、ゴウジョンにゴウゴウの四名は焚き火用の枝を袋に入れ来たのだけど、途中で幾つか果物を収穫して持ってきてくれた。


「これって…」



【天国の果実】


 真っ赤な美味しい果実だが、実を大量に摂取すると危険。その名の通り天国へ行ってしまい、二度と帰って来なく為る。日に一個位が適量。



 もしかしてもしかしなくても、麻○成分入ってない?


「ちょっと、危ない、かな?な?」


 何時の間にかルクレツィアが足元に来ていて果実をじーと見詰めている。


「日に一個だけなら大丈夫らしいけど、中毒とか出たら怖いね」


 ほら、○薬とか癖になるとヤバイっていうでしょ?よく知らないから前世の見聞きした程度の知識しかないけど。それに大人と子供じゃサイズが違うから、一個食べても中毒になってしまうかも知れないし。


「天国の果実は捨てていきましょうか」


「折角だけど、その方、のが良い、みたい、い?」


 もし美味しすぎて我慢できなくなれば不味いからね。

 因みに食べたゴウゴウは、


「味は水っぽくてそう美味しくは無かった」らしい。


 ちょっと残念だけど他にもあるし、仕方無い。




【檸檬檸檬】


 身はとても酸っぱいが、皮が甘い。酸味がある身の方にビタミンが豊富にある。



【苺もどき】


 そのまま食べても美味しくは無いが、煮ると甘くなる。甘味の代わりにもなる。

 黎明の森の蜘蛛達の好物。



【サンフレッシュ】


 生で食べるととても渋く、お腹を壊す。風通しが良い場所で干しておくと、熟して渋みが取れて甘くなる。



【温みかん】


 もぎ取ると温度が上がっていく果物。一週間ほどで放置するとゼリーみたいな物になる謎の果物になる。生のママ食べてもよし、一週間後食べてもよしの優良食品。



「うにゃぁ、ちゅっぱい…」


 どうやらルクレツィアが檸檬檸檬の実の方を食べてしまったらしい。

 涙目でミンに「ぺっしなさい、ぺ!」と口の中に入っている実を出すように言われている。と言うかミン、何時の間に来た…









 * * *









 竈が完成し、アイテムボックスに入っていた鍋を取り出して湖の水を入れて火にかける。寄生虫が居ると危険だからって事を伝えて、更にアデルが持って来て置いていった大きな鍋を取り出し、片方の鍋の水が沸騰したら交代。今度はアデルが持ってきた鍋に水を入れて沸かす。


「少し冷めて来たら持ってきた竹筒に水をいれて、と」


 これで飲める水の完成。

 寄生虫の心配もぐっと下るってなもんです。


「ますた、お湯飲みたい。あち、ち?」


 ルクレツィアがのどが渇いたらしくせがむので渡すと、ミンが少し冷ましてから手渡す。


 …過保護か。

 その間アルフォンソが何となくだけど視線が彷徨って居たあたり、自分が世話したかったのかも知れない。


 ある程度水を確保し、先程から鮭を捌いて木の枝に刺して火の周囲をぐるっと囲うように地面に刺して置いた魚から芳しい匂いが辺りに漂う。その匂いが堪らないのか、ヴァルヘルムとルクレツィアが鼻をひくひくし、一心不乱に魚に注目をしている。


 そう言えばヴァルヘルムは昨夜と今朝、一口も食料を口にして居ない。どうやら肉は生臭く感じるらしく嫌がっており、また当人曰くあまり食料を必要としていない種族らしく皆が食べている間、のんびりと水だけを飲んでいた。


「ヴァルヘルム食べる?」


 問うてみるとウンウンと激しく首を縦にふる。

 ついでに何故かルクレツィアまで首を縦にふる。


 …いや、ココに居る配下全員首を縦に振ってるし。


「皆に上げるからちょっと待ってね」


 未だ半焼けのがあるのと、どう考えても足りなそうな気配に必死で枝に刺して行く作業をこなすのであった。


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