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前世はただのOL

 

 前世はただのOL。


 現世は脅威の一端の魔王。


「ないわー」


 室内をゴロゴロと転がりまわって、再度「ないわー!」と叫びたい衝動を何とか堪え、はぁぁぁと溜息を一つ。

 気のせいか幸運の数値が1減った気がする。

 いや、寧ろあの666って数字の羅列何だか某ーメンみたいなんで是非数字改ざんして欲しい。悪魔の数字ってなんだよ、怖いじゃないか。

 溜息一つに数値1個減して欲しいぐらいだ。


 為って居ないか恐る恐るチェックしてみたが、特に変化は無し。

 1個減ったぐらいじゃ大した事は無いのかも知れないけど、気分的に嫌なモノだし。

 と言うか多過ぎだよ幸運値。運営ポイントよりも多いって何事なんですか。


 …それ言ったら筋力なんて吃驚するぐらい少ないけど。


 室内を見渡してドアもチェックし、それから10分程歩いて唯一座れる王座みたいな座席に埋もれる様にして座る。

 心なしかグッタリ消耗したまま猫背に為った状態で思案に暮れる。


 コンビニで初めて購入した電子煙草。

 前日もう思い出す事も出来ない誰かが「ちかって煙草吸わなさそう~」と散々揶揄って来たので、つい反発精神が起こり購入してしまったのだ。

 ちなみにその人は友人でも友達でも何でも無いが、やたらと突っ掛かって来て居たので苦手だった人だ。何かと言うと「ちかは料理が出来無さそう。包丁なんて手にした事無いでしょ」と言って来たり、「キャンプとか行った事無いよね?肌真っ白だもの」「ファーストフードとか食べないでしょ」「針と糸とか使った事無いでしょ?雑巾も縫えないよね」とか決め付けられて来て居て益壁していた。


 理由は同じ会社の男性職員達に如何に自分は優良物件かと言う、『自分アピール』をしたかったのだと言うのは分かって居たのでスルースキルを発揮して居た。だがそれが不味かったのか、徐々に悪化して来て居て近頃は何かと言うと突っ掛かって来る様になり、難癖を付けて来るので職場の男性陣所か女性陣もドン引きして居たのだが、肝心要のご当人は全く気が付いて居なかった様だ。



 こう見えても料理は学生時代から普通に使えるし。

 針と糸は普通に使うどころか、洋服も縫った事があるし刺繍も出来る。ミシンなんて何十メートル縫ったか分からない位だわ。だって学生時代の部活動が和裁や洋裁を習う手芸部だもの。貴方が対面してぺちゃくちゃ妄想逞しく話している相手の手にして居るバック、お手製のだって分かる人は見れば分かるよ。

 それにキャンプは学生時代機会があったから何度か行った事あるし、ファーストフードは学生時代も社会人になっても何度か食べたわ!



「は~…まぁ、前の事はもういいか」


 今更だし。

 それよりは今のこの状態だよね。

 もう一度目の前に現れたステータスに意識を向けると、先程と同じく目の前にボードの様に現れる半透明の画面。

 ステータス画面って奴なのかな、これ。



 名前:登録して下さい。(前世:小見千夏(おうみちか))

 種族:エルフ

 職種:魔王

 レベル:1

 HP:10

 MP:60

 筋力:14

 耐久:100

 機敏:25

 魔力:100000

 器用:1000

 幸運:666


 ユニークスキル:森の乙女

 スキル:アイテムボックス

 称号:元深窓の乙女・偽りのエルフ

 ポイント:70



 以前の名前は此方で転生をしてからこの世界独自の身体に構築され、その際前世の名前は受け付けられ無いのか、はたまたこの身体には別の名前を付けられますよと言いたいのか。『登録して下さい』と言う文字が何度もチカチカピカピカと光、存在をアピールして居る。


 取り敢えず心を落ち着けたいので暫く待って下さい私の名前登録。


 更に驚くべき事に魔力ゼロの桁が異常でしょ…

 十万って何だそれ。チートか、その部分だけチートか。異様だろ。

 器用も千いってるけど。

 しかしHPとMPは分かるんだけど、更に魔力って何だろう?魔法を使った時の威力とかかなぁ?



 そして種族はエルフ。


「はい?」


 人間では無くエルフなの?周囲をもう一度見渡して、この身体を見るような鏡の様なモノを探してみたがどう見ても無い。仕方なく小説や漫画にゲームの設定からもしかしてと思い、両手で左右の耳を触って見る。


「うわ、うわわわ、先端が長い」


 耳の上部が長く尖って居る。

 恐る恐る両手で両耳の先端部分を触ってみると、どう考えてみても人間の耳の形では無い。


「うっかりすると何処かにぶつけそうだね、これ」


 姿見で見て居ないから分からないが、凡そ人間の耳の長さ+人差し指分ぐらいの長さがある様に思える。

 そして先程から鬱陶しいなぁと思っていた髪。

 耳を触ると同時に触れてしまうらしく、サラサラと音を立てて時折指に絡む。


「うーん」


 意外と長い。

 腰よりも少しした、ギリギリ座っても髪の毛を下敷きにしなくて済む位の長さ程もある。

 前世の頃は肩より少し下に切り揃えて居たのでこの長さは鬱陶しい。

 そしてやはり黒髪では無く薄い色素のプラチナブロンド。

 一瞬銀髪かと思うぐらいな感じだ。


 金髪じゃなかったのかエルフはと一瞬思ったけど、この色彩は魔王だからかも知れない。


 何処かのMMOとかで銀髪のエルフとかって居たっけ?と思い出し其処でダークエルフと言う種族を思い出す。

 もしかしてダークエルフっぽい、限りなくソッチ系のエルフだからとかかな。

 魔王だし。でもただのエルフだよね。

 と言うか何でエルフが魔王だし。

 普通エルフって神聖な種族って感じがするんだけど、普通ココは魔族とか言う種族じゃないの?それともエルフは魔族の括りに入って居ると言うのだろうか?


 先程入って来た知識らしき物を総動員して見るが、その件と言うかエルフ種族の情報がほぼ無い。と言うより皆無と言った方が早い。てっきりダンジョンに沸いて来る魔物とかでもエルフって言う種類が居るのかと思ったけど、それもどうやら違うらしい。


 もしかしてこの世界ってエルフ他に居ない?



 職種、魔王。


 ……ヤメテイイデスカ?え、駄目?


 何だか知識を贈られた時に感じた様なモノから「ダメ」って言う圧が掛かって来る。

 だって魔だよ。しかも王だよ。

 性別女で魔王ってこれ如何に。こういう場合は女王じゃないの?魔王だから魔をつけて魔女王。何だか駄目な気がする、このネーミング。

 いっそ女帝とか?魔女帝。なんだろ、鞭もってそうだ…

 それ言ったら女王も女帝もそんなアブノーマルな気配がプンプンするけど。

 そして職種の部分を何となく指先で触れてみたら、「鑑定」スキルが発動したのか詳細らしき項目が出て来た。


 魔王。

 この世界に呼び出された魔素が集合して出来た生命体。時折異界から出て来る者も居る。


 多分私が異界から出て来た者だよね。

『異』なる世『界』って意味だよね。

 嬉しくないよっ


 そしてレベルとか諸々のはほぼゲーム画面と同じだから放置するとして、筋力14って何だ。もしかしてアレかな、前世で言う握力……


 14だったんだよね。


 どうみてもその数字そのままです。どうしましょう、有難う御座います。ええ、感謝するの違うけども絶賛混乱中です。そしてまるで混乱して居る私を煽る様に、


『警告。筋力が14。職種「魔王」の最低値以下です』


 サイレンの音と共に警告が再度目の前に現れる。


 そう言われてもどうにも出来ないでしょこれは。

 少なくとも現時点ではどうにも出来ないし、それにエルフって何となく非力なイメージがあるから筋力が少ないのでは?と思った途端納得したかのように警告画面が消え失せた。




 …納得するんかい。


気に入って頂けましたら、ぽちっとして頂けると幸いです。

<(_ _)>

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