その発言はセクハラです。
「おお。愛らしいな」
アデルが手を動かして生地を編上げながら小さな美幼女を見詰めて居る。
するとその幼女がキョトキョトと此方とアデルを何度か首を傾げつつ、交互に見詰め…
「ぱぱ?」
「違う!」
そもそも種族が違っ!
それ以前に今、私の事「マイマスター」って言ったでしょうに。
そう言うと「ん~」と言ってから土下座状態から上体を起こし、
「マスターと同じ魔王が同じ一つのダンジョンに居ると為れば、子作りした結果かと」
「違います!」
そこ、”幼女”と”劇薬の使者”の二人、声を揃えて「「えー」」って言わない。
それ以前に私この世界で産まれて今日合わせて二日目!どう足掻いても無理!
更に言うとたった今召喚したばかりでしょうに!
「と言う事は、少なくとも私との子作りはOKってことか」
「すごい……部屋の中、物凄い、破壊音…」
幼女が小刻みにぷるぷると震えて小さくなっており、私は私で壁側に居る今現在ひっくり返って天地逆様状態の蜘蛛の足がピクピクしているナニカを軽く睨み付け、
「その発言はセクハラです」
「…ハイ、フカク、トテモフカク、ハンセイシテオリマス」
「宜しい」
反省の言葉を言いつつ未だ床に転がっているアデルは即座に意識を復活しつつ頭を振って上体を起こし、そのアデルの傍に寄って幼女なゴブリンがつんつんと突いて居る。
「尻に、敷かれてる、ね?」
「ははは…負けない!」
「ぱぱ、蜘蛛さ、ん、頑張」
「おう、何時か落として見せる!」
と言っているのが聞こえたが、無視する事にした。
* * *
「マイマスター、私、名前、お願い」
うるうるうるるんっ
と言う音声が耳に聞こえて来そうなあざとい姿…両手を自分の前で組んで目をこれでもかっ!と潤ませて懇願するその姿。
あざとい。
あざとすぎるっ!
しかも一度平伏してからやるものだから、何だかこう、表情が上目遣いで……
この幼女ゴブリン、多分恐らく自分が一番可愛く見える角度を理解して居るっ
「あ~…レーベル、滅多に居ない幼体の雌のゴブリンは本能的にあざといんだ。と言うか初めて見たな」
「珍しいの?」
「ああ。私も何十とゴブリンを召喚したが、上位のジュネラルとかはあるが幼体の『姫』は初めて見たな」
「姫?」
『姫』って言うとオタサーの『姫』を思い出したのだが…
「基本的に何かとあざといが程々に空気を読む。が、何せ滅多に居ないゴブリンの『雌』だからな」
え、何かあるって言うの?
「もしゴブリンをまた召喚する気なら、統率の取れる『姫』の騎士を召喚した方が良いな」
騎士って。
なんだその設定。此処は中世ヨーロッパの姫と騎士の構図って事だろうか?
そして脳内で勝手にアレクサンデル六世とかチューザレ・ボルジアとかルクレツィアとか…いや、それ教皇とその息子であるバレンシア枢機卿と娘…政治的利用されたとか言う…
あ・か・ん
これ、駄目な奴だ!
強欲とか残忍とか、下手するとカンタレラとか言うボルジア家の毒薬…
…
……
………
チラッと『劇薬の使者』を見詰める。
「ん?」と此方を見詰める美人さんな蜘蛛男。
性別絶対間違えてるよこの人。蜘蛛足だけど。そして女性だったら種族アルケニーとかアラクネとかじゃないだろうか?
そして居るじゃん、リアル『カンタレラ』作れそうな人。人じゃないけど。
ここの『魔王の間』疑似ボルジア家?
魔王の椅子も一寸見豪華だし。
ステンド硝子が壁に豪華に飾られてるし。
赤い絨毯も魔王の椅子からドアまで敷かれているよ。
「ねぇアデル、”カンタレラ”って知ってる?」
「ああ、あの猛毒か。正直危険なのでレーベルには持たせたく無いんだが、作ろうと思えば作れるが時間が掛かる。……必要なのか?」
「ううん、聞いてみただけ」
「そうか」
何だか微妙な顔をされた。
だよね、行き成り猛毒って無いよね~…私でも引くわ。
使用方法も今はどう考えても無い…ダンジョンの罠って言うなら別かな?…致死毒で即死級って感じになるか腐食毒、もしくは神経毒っぽいかなって思っているんだけど、こっちの世界だとどうなっているんだろう?
「よし、じゃぁ貴方の名前はルクレツィアで」
幼女にこの名前ってどうかと思ったけど、名前自体は関係無い。それにこの場に猛毒作れちゃう蜘蛛男のアデルに職が魔王な私。この名前でも十分負けてないと思う。おまけにあざと可愛いしね、何より『姫』だしね。
…ゴブリンな筈だけど、どうみても人間の可愛い幼女にしか見えないし。
「マスター!有難、と、御座い、ます」
わーい!と両手を上げてその場でピョンピョン跳ねる。
うん、可愛いらしい。
喋り方が特徴あるけど、仕草は普通の女の子だ。ゴブリンだけど。
「それで、騎士召喚するのか?」
「した方が良い?」
「姫は騎士が居ないと基本的に指揮が出来ない」
んん?
「指揮?」
「ああ、騎士は姫が居て守護の力を発揮して、姫は騎士がいるからこそ群れを率いる事が出来る」
「群れ?」
「ゴブリンは『姫』と『騎士』が居るとダンジョン内部で増えるからなぁ」
「それって、繁殖…」
こんなまだ小さな子なのに。
「違う。勝手にダンジョン内の魔力を魔物が得て増える。だからダンジョンのゴブリンは外のゴブリンと性質が違うんだ」
「へぇ~」
因みに勝手に増えた魔物には魔王は名を授けなくても良いのだそうだ。あくまでも『名付け』は最初に召喚した魔物にのみ適用されるのだとか。そして最初に召喚されたのは古参でその種族のリーダーシップを取るようになる、と。成程よく出来て居るシステムだね。
「その中でも相性では『姫』と『騎士』が一番性質が良い。聞いた話だけどな。これが『姫』と『キング』だと質が悪いらしいんだよな。まず、急に増え過ぎてダンジョンから溢れてしまい、外へ向かってドンドン隊列を作って…まぁ、スタンピードを起こして終いには他所の村や国等、世界を浸食して行くんだそうだ」
「ひぇぇ」
「その前に人族等に発見討伐され、魔王共々ダンジョンを消滅されられてしまうってわけだ。だからこそ、人類に仇なす魔王って嫌われているしな」
と言われて唖然とする。
もしかして今迄そう言ったケースが多くて、ダンジョンの魔王は人類達と敵対関係にあるんじゃ…
「それは違う。単にダンジョンの魔王のコア目当てで来るアホが多いからだな。レーベルも数か月すると狙われるかも知れないから、今のうちに力を付けて置いた方がいいぞ」
「はぃ?」
11/5迄は毎日更新予定。
(;・ω・)
11/3 修正
コボルト ×
ゴブリン ○
何故間違えた…報告有難う御座いました。
m(__)m




