257: 骨たちの持ち物に用がある!④ ~ボクたちは閃きによって行動する~
なんだか途中からシャーロットさんとギルドマスターさんの話し声が聞こえなくなったけど、ボクたちは後ろにいて、そのあとどう行動するのかな?
それに、さっき解体のお姉さんと話していた「肉」って何だろう?
これからのスケルトン戦でどう関係があるのかな?
北東の町のダンジョン出てくる「スケルトン」については、学園のダンジョン学で勉強したよ。
あそこのダンジョンで出てくるスケルトンたちは、ダンジョンに入って出られなかった冒険者たちが、ダンジョンによって作り替えられてしまった姿らしいんだ。
ダンジョンで死んだ彼らは、骨となったらそのダンジョンの力で魔物にされちゃうって聞いたよ。恐ろしい話だよ!
そしてスケルトンが生まれてある一定の数になったら、そのダンジョンはスタンピードを起こすんだ。外に出て人を襲うんだよ。
生前の記憶がなくなっちゃうから、人間を襲うのをためらわないんだって。
しかも生前強い冒険者だった場合、ただのスケルトンじゃなく『スケルトンキング』になるって聞いたよ。
スケルトンキングは強いんだ。
でもそのスケルトンキングは『即死回避のネックレス』を首にかけていることがあるんだ。シャーロットさんが持ってないアクセサリーを、持っているんだ!
「ボクたち、何とかしてスケルトンキングに近づけないかな?」
「うちらがスケルトンキングを倒せるやろか。……それより肉って何やと思う?」
「光魔法が使えるコトがいても、私たちにスケルトンキングは難しいんじゃないかしら。……私も肉が気になっていたわ」
ワーシィもシグナも、ボクと同じくお肉の話に疑問を持っていたようだよ。
「スケルトンって肉がないから見せびらかすのかなぁ? それってどんな効果があるのかな?」
「『やーい、骨しかあれへん肉なし~』って煽るんかな……?」
「……それでスケルトンが腹を立てて突撃してきたところを狙うのかしら。そんな戦い方聞いたことないけど……」
ボクたちはう~ん、って考えたけどわからないや。シャーロットさんに聞こう! ……ってシャーロットさんは上を見ていたよ。何かあるのかな? ……別に上空に問題があるようには見えないなぁ。
「シャーロットさん、空に何かあるっすか? それに、さっきのお肉って何っすか?」
「え、う~ん肉? うふふふ……」
上を見たまま笑ってごまかされちゃった。
ボクたちには教えられないアーリズの戦法なのかも。だから話題を変えたよ。
「えっと、暗くて遠くの状況がわからないっすね。どのくらいの魔物が来てるっすかね……」
「それじゃー『探索』スキルでしらべてみよっかぁ~……」
「えっ」
シャーロットさん、実は『探索』スキルも使えたのかな?
「んー……骨の魔物が一匹、まものが二匹ー、まもにょが三びき~、まももがよんひーき……」
なんだかおかしいなと思ったら、シャーロットさん、上見て寝てたよ!
「シャ、シャーロットさん、それは夢っす、『探索』スキルを使うっていう夢っす! 起きてくださいっすー! 数えてたらもっと眠くなるっすよ~!」
「――あっ!」
シャーロットさんがはっとして起きてくれたよ。
「今まさに、寝ないでおこうって気合入れていたのに……」
シャーロットさんはつぶやいて、がっくり肩を落としたよ。
「夜に眠くなるのなんて普通のことだから気を落とさないで大丈夫っすよ」
励ましたけどシャーロットさんは「何か眠気を覚ます物ないかな」って収納魔法で何か探し始めちゃった。
「――ねぇ、アンタたち、ずいぶん余裕ね。やっぱり三連人面カブカブを倒したから?」
シャーロットさんから離れたら突然話しかけられたけど、誰なのかはわかったよ。
よくボクに突っかかってくる子だよ。
「余裕じゃないもん」
「てか、三連人面カブカブを倒したなんて信じられないんだけど。シャーロットさんも手伝ったって聞いたけど、どうせ逆でしょ? シャーロットさんの手伝いをアンタたちがしたんじゃないの? それならわかるんだけど」
「違うもん。シャーロットさんに確かに大きく手伝ってもらったけど、ボクたちが戦って倒したんだよ」
「じゃあ、やっぱりシャーロットさんに修業をつけてもらってたんじゃないの?」
「違うよっ! ……ん?」
気づいたらこの子だけじゃなく、他の子もちらちらボクたちのことを見てくるよ。
皆の疑問はわかるけど、詳しく話すのは……なんだか恥ずかしいよ!
装備を借りておしゃれ感をなくして戦っただなんて、言えないよ!
「ボ、ボクたち後ろ行こう!」
「せや、――そんなに悔しいなら前線で戦ってシャーロットさんに見せつけたらええわ」
「そうよ、前は譲ってあげるわ」
ワーシィとシグナもこれ以上カブカブとの話をしたくないようだったよ。
だからボクたちは後ろに回ったんだ。
本当は光魔法を持つボクが前にいたほうがいいだろうけど、そうすると皆の活躍を奪うことになるもんね。
それに、「活躍したいから後ろ行ってくれて嬉しい」って聞こえたよ。誰が言ったんだよ、もー! よかったね、ぷんぷーん!
「――あれ……? 後ろに回る……」
後ろに――、
後ろから回る……、
「どうしたんコト?」
「待って。コトのこの雰囲気、いつものよ」
ボクのこの雰囲気って何のことだろう?
でも、この感覚――ボクの「こうやったらいい!」「こういう行動すれば何か起こる!」って感覚は、いつものだよ。
シャーロットさんが教えてくれた『閃き』スキルに違いないよ!
「ワーシィ、シグナ。ボクたち今から動くよ。ボクについてきて……!」
学園の皆の後ろにいるからちょっと声を落として、でも二人にはしっかり聞こえるように伝えたよ。二人とも頷いてくれたよ。
ボクは身をかがめて、バレないようにいったん大きく後ろに下がって、それから右にある木を目指したよ。
その木に一度隠れて誰もボクたちのことを見てないことを確認して、さらに右の林を目指したよ。
そして、林に隠れながら前方を目指したんだ。
ボクたちはずっとずっと前のほうに走ったよ。
「――うん。……このへん、かな?」
「ここで待つんやな?」
「ここって……、前線より少し前に来ちゃったわよ」
確かに気づいたら前線で待ち構える騎士や冒険者より前に来ていたよ。
だから前線の様子がよくわかる。やっぱり後方より緊張感が違うよ。皆、前を真剣に見ているんだ。
ボクたちも声を抑えて話したもんね。
「あ、『羊の闘志』さんたちがいるよ」
「でもなんか変やな。特に騎士のほう」
「騎士の人たちの前方に……解体のお姉さんがいるわ」
何をやっているんだろう?
明かりがうっすらとあるけど、ボクたちのほうからだとよく見えない……。でも……何だか見覚えのある道具で何かをしているよ。
なんだろう……?
あ、ジューーって聞こえてきたよ!




