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転生した受付嬢のギルド日誌  作者: Seica


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254/260

254: 骨たちの持ち物に用がある!① ~シャーロットさんを叩き起こす~

今年は唐突に連載再開しましたが、お付き合いくださりありがとうございました!


「明日は朝から孤児院の依頼の続きだよ! ……えへへ」

「なんや?」

「どうしたの?」


 ボクたちは夜に明日の用事をまとめていたよ。


「三連人面カブカブも倒したし孤児院の依頼も復活したし、これでボクたち、学園に帰っても恥ずかしくないね!」

「言うてアーリズに来たときよりランクポイント下がっとるけどな」

「Dランクに落ちるよりずっといいわよ」


 ご近所さん皆が寝る時間で静かだから、布団をかぶって小さく明かりを灯して声をひそめて話していたんだ。


「三日後くらいに例の洞窟ダンジョンにルイくんたちを連れていきたいね」

「ええな、もう全滅させた魔物も復活する頃やと思うし」

「もう大掃除はしないでね、コト」


 ボクはシグナに「しないよっ」って怒ったけど、大事な話をするつもりだったことを思い出したよ。


「シャーロットさんにはいっぱいお世話になっているよね」


 朝ごはんはシャーロットさんが用意してくれていることもそうだけど、心配事の相談も聞いてもらっているし、戦闘でもたくさん助けてもらったよ。

 そうそう、三連人面カブカブの顔部分だって、「ただ引き取るだけだともったいないし、自分たちの顔を食べても大丈夫そうなら調理していいんじゃない? 形はアレだけど素材はただのカブカブだし、カブカブの皮っておいしいよ」ってシャーロットさんからレシピ本を借りて、スープとか漬物とかご飯の上にかけるふりかけとかを一緒に作ったんだ。


「帰るときにお礼がしたいよね!」

「うちらも何かプレゼントしたいなぁ」

「でもシャーロットさん、いろんな物を持っているわよね」


 なにがいいかなぁー?

 ワーシィとシグナと考えていたけど、いい案が思い浮かばないよ。


「まだアーリズにおるんやし、いろいろ考えとこう」

「時間を作っていろんなお店を見に行くのもいいわね」


 ボクたちは明日の予定にいつもは通らない通りを見ることにしたよ。


「なんだかんで……帰る日が来るんだよね」

「せやけど今考えてもしゃあない。まだ日にちがあるんやし!」

「心残りがないようにしないとね! あと、帰らないと卒業できないわよ!」


 ボクたちは「卒業できないのは困る!」って笑ったよ。

 この町に来て、予定より早く帰らされそうだったけど、シャーロットさんや『羊の闘志』さんたちベテランの冒険者の皆やアーリズの騎士団ががんばってくれたから、ボクたちは予定どおりアーリズで修業できているよ。

 ボク……、ボクも、いつかそんな冒険者になりたいなぁ。

 くあぁぁ~。あくびが出ちゃった。


「さ、もう寝よか」

「うん」


 いろいろ話し込んじゃっていたから、いつもより遅くなっちゃった。

 せっかくの指名依頼なんだからシャキッとした頭でがんばらないとね!


「おやす……」


 ボクたちが寝ようとしたところ、こんな音が聞こえたよ。


 ガラーーーン、ガラーーーン、ガラーーーン、ガラーーーン。


「え……!」

「なんや……!?」

「鐘が鳴っているわ……!」


 ボクたちはせっかく枕にのせた頭をバッと上げたよ。

 それから外でこんな放送が聞こえたんだ。


<――北東からスケルトンと思われる魔物数十体が、アーリズに向かってくることを確認。Dランク以上の冒険者および騎士団は至急東門へ集合すべし!>


「「「大変()ー!」」」


 ボクたちは急いで身支度したよ。


「コト、寝ぐせついとるで。夜でもちゃんとせんと!」

「コト、ポンチョは着た? ポーション類は持ったわね? あと鍵は持ったわね!?」


 ワーシィは身支度にうるさいし、シグナはママみたいなことを言うよ。


「ボクちゃんとできるよ! ――あとはシャーロットさんを待って一緒に行こう!」

「せやな!」

「そうしましょう!」


 ボクたちは部屋から出て戸締まりして、二階から来るだろうシャーロットさんを待ったんだ。


「…………ワーシィこそ、そこ直ってないよ」

「……うん、ありがとうな。シグナもそこ折れてんで……」

「あらやだ。…………これでよさそうね」


 ボクたちはもう一度お互いの服の裾や折れたところがないか確認して待っていたよ。でも……、


「………………シャーロットさん、遅いね」

「先に行ったんかな?」

「一階に下りた音は聞こえなかったけど……」


 あ、あれ!?

 ボクたちは同時に同じことを考えたのかも。


「「「まさか!?!」」」


 ボクたちはシャーロットさんの部屋に急いで駆け上がってドアをコンコンってノックしたよ。


「シャーーロットさーーん! 準備できそうっすかーー??」


 ボクたちはドアに耳を当てたよ。


「ん~~!」


 声がする。

 ボクたちが置いてかれなかったことはわかったよ。でもやっぱり……、


「…………この感じ」

「…………なんやろな」

「…………嫌な予感がするわ」


 ボクはもっかいノックしたよ。


「――シャーロットさーん、起きてるっすよね!?」

「うーん、拡声魔道具直ったんだねぇ……ぇ……」

「シャ、シャーロットさーん! それどころじゃないっす! 魔物が来たっす!」

「うんうん~、魔物は食べられないよ……」


 ボクたちはシャーロットさんのこの言葉で確信したよ。

 だからボクたちは大声で呼んだんだ。


「シャーロットさーんっ、起きてくださいっす(コンコンコ!」

「魔物が来とります(ンコンコン!」

「急いで着替えてくださーい(コンコンコン!」


 ボクたち三人はビタッと耳を扉に押し付けたよ。

 ……全然音がしないよ!


「どうしよう……もっとドンドンってドア叩いたほうがいいかな?」

「ドアが壊れるからアカン」

「もっと大きな声を出したほうがいいかしら……」


 ボクたちは困ったよ。

 でも、ふと思いついたんだ。


「そうだっ、これならもしかして……! 二人とも、ボク外に出るから、合図したらこう叫んで!」


 ボクはワーシィとシグナに作戦を伝えて外に出たよ。

 それからシャーロットさんのベッド側の窓を確認して手を上げたんだ。


「“キラキラ・リン♪ ボクらを守って!”」


 ボクはシャーロットさんの部屋の窓に光障壁をかざしたんだ。

 ボクは地上にいたから二階まで届くか心配だったけど大丈夫だったよ。しかも、別の窓にも追加できそうだからやってみたよ。

 夜だからかな、なんだか光量がパワーアップしているように感じたよ。

 ボクの光障壁は、燃えさかる雑巾戦のときよりも光っている気がするよ!


「――今だよ!!! おっはよーございますーっす!!! シャーロットさーん!!」


 ボクは二人に合図すると同時に叫んだよ。

 ワーシィとシグナも続いてくれたよ。


「シャーロットさーん、朝やーーー!!」

「起きてくださーい、遅刻しますよーー!!」


 まだ起きないかな?


「シャーロットさーーんっ、あっかるいっすよー! 日が出てるっすよーー!!!」

「このままやと、遅・刻・やーー!!!」

「シャーーロットさーーんっ、あっさでっすよーー!!」


 このときやっと、「ぎゃーー!」って悲鳴が聞こえてボクたちはほっとしたんだ。


皆様、良いお年をお過ごしくださいませ。

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