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転生した受付嬢のギルド日誌  作者: Seica


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217/246

217: 実は関連のあった三人⑦ ~森の南まで来てしまったボクたち~


「はーーっははは!! マジかよ!」


 黒い格好のおじ……カイトさんが手を叩いて爆笑しているよ。

「おかしな女にはおかしな女が集まる」って笑ってる……。

 よくわかんないけど失礼な感じがするよ。

 ムッときたから、クッキーも紅茶もどんどん食べて飲んじゃうもんね。

 お金がなくなって困ればいいんだ。


「コトちゃん、お腹大丈夫だった? 状態異常を起こすキノコ食べちゃったんだね……。何でもかんでも口にしたらだめだよ?」


 やさしいシャーロットさんはボクを心配してくれるよ。

 しかも、クッキーを口に持っていきかけたのに、それを止めてまでボクに優しい言葉をかけてくれたんだ。

 おいしいクッキーだから、ボクにかまわず食べてほしいよ。


「大丈夫っす。ボク、あれからむやみに食べないことにしたっす!」

 ボクは自信満々だったけど、なぜかシャーロットさんは苦笑いしているよ。


「はー、ははは……久々におもしれー話聞いた。――んで? オレが聞きたいところはそこじゃないんだが?」

「むーっ。ボクたちの目撃情報にケチをつけたから教えてあげたっす。笑ってないで続きを聞くっす!」


 ボクの抗議にカイトさんは「ハイハイ」って話を続けるよう手を振ったよ。

 その態度は納得できないけど、ボクたちもヒマじゃないもんね。

 話を続けたよ――。




 アーリズ……。

 近いのに遠いよ、アーリズの町!

 だんだん足がつらくなってきたときだったよ。


 ――バチーン――!

 ボクのほっぺがすごい音を立てたんだ。


「ぇぶっ!! …………っ、えっ、何!? ……ボ、ボク……、あれ?」


 びっくりして左右を確認したら、ワーシィとシグナが息を切らして目の前にいたよ。


「目ぇ……覚めた!? ……っ、信じられへん……! どこまで走ん……っねん!!」

「混乱するキノコ……、だったようね。叩いて正解だわ……! もう……っ森の南に……出るところじゃない……!」


 ボクは両方の腕を掴まれて、二人に顔を近づけられていたんだ。

 二人とも睨んでるよ。荒い息だし、怖いよ!


「ど、どうしちゃったのさ、二人とも~、ぜー、はー……。あ、あれ、ここどこ? 空も赤くなってる……。ってボク、足が変だよ」


 空の雰囲気がさっきとは違うし、ボクの足がガクガクしているよ。


「おかしな物食べて……、こんなとこまで移動するなんて……。うちら、言うたよな? 淡々とやろ……って!」

「コト……っ、実習計画がめちゃくちゃ、よ……! アーリズに行けなくなったら、どうするのよ!!」


 二人の顔が近すぎるよ。

 ワーシィの顎にできたしわがよく見えたし、シグナのツノがボクのおでこにゴリゴリ当たっていたよ。

 この状態のままで、ボクが食べたキノコが原因って話を聞くはめになったけど、そうと知ったら、二人がボクの混乱状態を治すためにほっぺを叩いたことくらい許すもんね。


「授業のとおり実践したら簡単やったけど、ちょい強すぎたかいな、かんにんな」

「そうね、だいぶ腫れちゃったわ。荷物のところまで戻ったら薬を塗りましょう。……でも今度またこんなことがあったとき、すぐ対処できるわね」


 二人とも離れてくれたから、やっとボクは自分のほっぺを確認できたよ。

 ヒリヒリするし音もしてきたよ……って、ほっぺから音がするわけないや。


「あれ、でも音……? ……ねぇっ、近くで音がしない?」

「コト、今度は幻聴聞こえるんか?」

「もう一回叩いたほうがいいのかしら……」


 二人が手を上げたよ。


「わーっ、違うよ!! 近くに何かいるんじゃないかな!?」

「ん? ……あっ、確かにするな」

「何か物を打ちつける音……。人……人の声もするわ!」


 ボクたちが音や声のする方に走ると、道の端で停車した馬車を見つけたよ。

 木の枝で魔物を払おうとしている人の姿も!


「大変や! “ストロゥベル・ドロップ!”」

「“パリパリ・リボン!”離れてください、私たちが倒します!」


 二人がすぐさま前に出たよ。

 ボクも! ……って、ボクのほっぺ、腫れてるから見られるの恥ずかしいよ!

 も~~っ、二人の馬鹿力!

 だからって、このまま隠れているなんて冒険者として失格だし、何か……そうだ、ボクの腰に巻いている布を顔に巻こう!

 ぐるぐる~っと。

 ん~……目だけ出して口や耳が隠れちゃったけど、これならボクのほっぺの状態はわからないね。


「よしっ、ボクも“キラキラリ……”あれ? もう終わったの!?」


 ボクが道に躍り出たときには、もう魔物をワーシィとシグナが倒していたよ。


「歩きミニカブカブ四匹だけやったから簡単やったで」


 歩きミニカブカブは、植物のカブカブが魔物になったものだよ。

 根菜のカブカブと同じ大きさで、ただ動き回る、弱くて倒しやすい魔物なんだ。

 四匹ならワーシィとシグナ二人で簡単に倒せるね。

 その近くには、大人が二人いたよ。


「あっ、大丈夫っすか?」


 きっとさっき聞いた声はこの人たちのものだ。

 一人は恰好からして商人さんだ。馬車の様子を見ているよ。

 もう一人は……近くの岩に座っているよ。

 商人さんの格好じゃないね。

 かといって冒険者とも違う……。ずっと机で作業してそうな細い人だったよ。栄養足りているのかな?

 二人とも人族だと思うよ。


「ケガでもしてるっすか……」

「おいっ!! 道の途中で馬車止めやがって! 普通に走れないのか!? 人族のくせに野蛮な御者め……!」


 うわっ、座っていた人が商人さんに向かって怒り出したよ。ボク、びっくりしちゃった。

 ケガの心配がないくらい元気そうだね。

 怒鳴ったおじさんのほうこそ野蛮な感じだけど、もちろんボクは口をはさまなかったよ。


皆様のおかげで、コミック4巻ご好評いただいてます。

ありがとうございます!


――・――・――

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