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転生した受付嬢のギルド日誌  作者: Seica


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205/243

205: 普段と違う午前の時間④ ~馬車~


 コトちゃんたちに誘われたとき、見学している人たちの中にフェリオさんもいることは『探索』スキルで知っていた。

 少し離れたところにいたはずだけど、もしかしたらこちらの話し声に寄ってきてくれたのかもしれない。

 私、フェリオさんに謝らないといけないことがあるんだけど……、人目が多いからあとにしよう。それに彼女たちもいる。


「あのあのっ! ボクたち初めて見るんすけど、この馬車、何か特別なんすか!?」

「めっちゃ速う走るとかですか?」

「少し怖い感じもします」


 コトちゃんたち三人は、興味津々な様子でフェリオさんに聞く。

 もちろん私も興味がある。

 この黒くて威圧感のある馬車について、物知りなフェリオさんにぜひお話を伺いたい。


「……この馬車は、重犯罪者を王都まで移送させる際に用いられる馬車。『移動する牢屋』と呼ばれることもある。速さは……さほど目立ったものではないはず。それよりも、中にいる容疑者の逃亡を阻止するための強固な造りが特徴……」


 フェリオさんが説明する横で、私は馬車を『鑑定』し「耐久:77000」という数値を目にする。

 これは……確かにちょっとやそっとでは壊れないだろう。

 中にいる伯爵子息は火魔法を使えたはずだけど、この馬車の耐久性では出られないどころか、焦げ目さえ付かなさそうだ。


「……当然、中からはもちろんのこと、外からの攻撃も防ぐ。中の人物を救出しようとしても無理」

「へえ~!」


 コトちゃんが通り過ぎていく馬車を見送り、次にやってきた馬車を見ながら驚いていた。

 同じ造りの馬車は三台あるようだ。

 馬車がゆったりと走る通りは広く、その馬車が三台とも並列して走っていたとしても、まだまだ余裕を感じられるだろう。

 それほど広くても馬車は一台一台ゆっくりと列をなして走り、私たちは比較的前にいるのにそれを遠巻きに見ていた。

 なぜなら見物人たちが前に出すぎないよう、騎士団の人たちが等間隔で立って規制しているからだ。盾を装備して、やけに厳重な雰囲気だけども……。


「それから防音対策がしてあって、『探索』等スキル妨害もできているらしい。――ぼくはそういったスキルを持ってないからわからないけど、どの馬車に誰が乗っているのか確認できないらしいよ」


 実際、フェリオさんの言っていることは正しい。

 あの坊ちゃんも、元騎士見習いも『探索』スキルでは見当たらないのだから。

 馬車はダミーで、他のまったく関係ない場所にいるのではないか――とも思ったけど、『探索』スキルで広く探しても他に彼らがいる様子はないので、きっとあの馬車三台のうちのどれかに乗っているに違いない。

 伯爵子息と、その部下たちで分けられているのかな。

 どの馬車を狙っていいのかわからないから、今ここに救出しようとする勢力がいても、これでは戸惑ってしまうだろう。


「あ! だから馬車が静かなんすね! もっとギャーギャー聞こえるかと思ってたっす!」

「そうだね。今朝もすごくうるさかったし……いや、こ、孤児院前では、やかましかったよね」


 コトちゃんのあいづちに、うっかり今朝の牢屋侵入未遂の件を暴露するところだった。

 フェリオさんからは不思議そうに見られているけど、涼しい顔をしておこう!

 ちなみに、向こうの声が聞こえないのはともかく、こちらの声は向こうに届いているのかについてだけど――、それはわからないそうだ。


「中に入ったことがある人から聞かないとわからない。けど……、あの馬車に乗って、のちに自由になった人をぼくは知らないし、もともと『一度乗ったら外の世界に出てこられない場所』と呼ばれている」


 え~っと、それは、重犯罪者が乗る馬車だから、このあと釈放されることはまずないってことかな……?

 話を聞いていた三人は「ひえ~、なんだか怖~い」などときゃいきゃい騒ぎつつも、目ではしっかり馬車を追い、野次馬根性を発揮していた。


「と、とりあえず私たちは安心して見物していられますね!」


 フェリオさんの説明に、私たちはゆったりと馬車を見ることにした。

 しかし、


 ――ゴッ――。


 そこに一つ、丸い玉のような物が地面に落ちた。

 今現在も威圧感のある馬車を熱心に『鑑定』していた私だから、視線をそれ(・・)に合わせただけで「何」なのかすぐわかった。


『爆発物』


 それは馬車の真後ろに落ちていた。


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