203: 普段と違う午前の時間② ~三人とモーなんとかを見に行く~
彼女たち三人組は、朝早くから元気に駆けていた。
「コトちゃん、ワーシィちゃん、シグナちゃん! どうしたの?」
去っていこうとしていたのは、『キラキラ・ストロゥベル・リボン』の三人だった。
「あっ、シャーロットさん、ここにいたっすね! 朝ごはん置いてもらってありがとうございましたっす! 全部食べたっすよー!」
「おはようございます。今日の朝ごはんもうまかったです! お買い物しとったんですね!」
「よく眠れましたか? 朝いないからどこに行ったんだろうって話していたんです。ギルドは昼から開くんですよね?」
通り過ぎようとしていた三人が笑顔で戻ってくる。昨夜の戦闘の疲れは残ってないかのように快活だ。
「うん、そうだよ、お昼に開くから今は……お散歩して、ついでにお買い物していたんだぁ……ははは。ところで昨晩はごめんね。私ったら階段くらい上がればいいのに、泊めてもらっちゃって……」
本日ギルドは昼から開く。
昨夜、戦闘が始まる前から決まっていたことなので、朝は騎士団のほうにお邪魔していたのだ。
だから外出する前に、彼女たち三人には朝ごはんを用意していった。
泊めてもらったお礼も兼ねて、いつもよりたくさん置いておいたのだ。残してもらってもよかったんだけど、三人で全部食べたようだ。
「いいっす、いいっす~。あっ、そうだ。シャーロットさん、一緒に見に行きましょうっす!」
「ん、どこに? そういえば三人とも向こうに行く途中だったね」
私はコトちゃんたちが通り過ぎようとしていた先を見る。人だかりができているようだ。
「そうっす、捕まえていたモー……? とかって言う腹立つ人を、王都に送るらしいっす!」
「ブー……って人やなかった? 広場の北の大通りを通るって聞きましてん」
「モブ家の人……じゃなかったかしら? 通りがかった騎士の人たちに教えてもらったんです」
三人が言いたいのはブゥモー伯爵家の四男のことだろう。
短い名前だけど、つい忘れちゃうよね。私もパッと出てこないことがあったし……。
「それとっすね、マーサちゃんを誘拐して、シャーロットさんを攻撃した奴も騎士団が捕まえたそうで、一緒に送るらしいっす。だからシャーロットさんも、それを見に広場の北にいるんじゃないかって思って……。でもでも……、本当はボクたちが捕まえたかったっすよ」
「そっか……。でも私はコトちゃんたちの気持ちだけで嬉しいよ」
私こそ捕まえたかったからね。だけど、ことごとく先手を取られてね。
というか騎士団長さんから今日王都に送るって聞いてないけど……。まぁ、教える気がなかったんだろうなぁ。
強引に矢の回収をしてきたのって、今日そういう予定になっていたからかな。
私のほうからノコノコ侵入したけど、もしかしたら家にいたらいたで、騎士団が押しかけてきていたのかもしれない。
そんなことになっていたら近所に変な噂が立つところだったのでは……!?
それなら忍び込んでいて正解だったのかもしれないね、うん……。いや、私の行動を正当化してはいけないんだけど。
「……じ、じゃ、せっかく来たんだし、そっちのほうに行ってみよっか」
他にも知っている人たちが集まっているようだし、四人で見物してみよう。最後は見送ろうじゃないか。
人だかりに近づくと、ちょうど通りがかるところなのか、見物人のほうから声が聞こえた。
「――あ、来た! きっと、あそこにデブが乗っているんだ!」
14日に、コミック版『転生した受付嬢のギルド日誌』
chapter46が更新されました。(chapter45は待つと無料に!)
下記のよもんが様のサイトへ、ぜひお越しくださいませ。
スマホサイト マンガよもんが 転生した受付嬢のギルド日誌
https://www.yomonga.com/title/883
(コピペのお手間をかけます)




