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転生した受付嬢のギルド日誌  作者: Seica


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200/242

200: お邪魔します⑤ ~堂々と……!~


 私を矢で攻撃した人物は、女児誘拐をしたとんでもない輩で、それどころか王太子様暗殺未遂容疑で捕まった貴族の息子の関係者だ。

 そんなとんでもない人物を、アーリズの騎士団は入団させていた――。

 これは騎士団の沽券に関わることだろう。


「シャーロット嬢――、この件は誰にも話していませんね?」


 団長さんの笑顔から圧力を感じる……。


「確か貴女がアルゴーに情報を与えてくださったのは、昨日の八の鐘のあとでしたか。その後、会議の途中で犯人を捕らえたところを貴女も見ていましたね?」


 捕らえた……というか、アルゴーさんが盛大にドアを振り下ろしていたというか……。


「それから貴女は戦闘前、門付近で冒険者たちと挨拶をし、その後は城壁担当でした。戦闘に入ってからは、騎士見習いについて悠長に人と話すことはできなかったでしょうが、――実際のところどうですか? 特に後半は『羊の闘志』と再度接触し、共闘していたようですね」


 団長さんは私を監視でもしていたのかもしれない……。


「は、はい。実際、誰にもしゃべってません! それに、私が『羊の闘志』さん……バルカンさんに話していたとしたら、たぶん今頃彼は暴れていたんじゃないかと……」


 バルカンさんは昨夜の会議の様子からして、自分の聞きたいことであれば、相手が騎士団だろうと遠慮なく聞くに違いない。意識して話さないようにしていたわけではないけど、今後も黙っておかないといけないようだ。


「いいでしょう。それにしてもアルゴーには、あの粘着豚伯爵家とデココ家の名前を出してけしかけたようですね。しかし伯爵家の名前はいいとして、なぜデココの名前が? そもそも、うちの元騎士見習いはそのようなことをギルドでつぶやいた記憶はないと証言していましてね。ご説明いただけますか」

「え……っとぉ。……その前に今、ブゥモー家のことを『粘着豚』……って言いませんでした?」

「さて?」


 団長さんからこういった汚い言葉を聞くことはなかったから違和感があったんだけど、何事もなかったような顔をしている……。周囲の騎士さんたちの表情も特に変わりないし、……そ、空耳かな。

 それよりも、今は私がアルゴーさんに伝えたでたらめについての弁解をしないと。あの騎士見習いを犯人として捕らえるために、嘘を交えてアルゴーさんをけしかけていたのだから。


「まず、すみませんでした! 実はちょっと……いえ、だいぶ嘘を混ぜてました……。アルゴーさんはその……、奥さんのこととなるとやる気が上がるので、彼に熱意を持ってもらわないといけないなぁ……なんて思いまして……」


 まずはもう、謝っておく。

 アルゴーさんに伝えた内容はでたらめで、騎士団員一人をけしかけてしまって申し訳ないと正直に言った。

 もともと、騎士見習いが捕まれば、私がアルゴーさんに伝えた嘘の部分はバレると予想できていたことだ。

 だから昨夜は城門へ行く前に言い訳は考えておいた。私に抜かりはない。……はず。

 そうだ、ここからは『演技』スキルも使っていこう。


「貴族のブゥモーさんの名前や、メロディーさんが震えていると言えば、さすがのアルゴーさんも積極的に動いてくれるんじゃないかなぁと思いまして……。デココのお名前は、その直前に魔物に突破された領地の報せを聞いていたのでついでに言ったんです。ブゥモー家とも関わりがあると伺っていたので……。アルゴーさんがさらに動いてくれるかもと愚考したんです……」


 団長さんの目が探るようにこっちを見ている……。

 もちろん「デココ」という本名が『鑑定』でわかったからだけど、本当のことは言えないもんね。

 ここで目をそらさないようにしないと。


「そこまで必死にアルゴーに訴えたということは、イパスン・ガツィーコが犯人だと知っていたのですか? 貴女、確か犯人の顔は見てないと言ってませんでしたか? まさか金髪と青い瞳というだけで犯人を絞ったわけではないでしょう?」


 あの騎士見習いの偽名フルネーム、どこかで一度聞いた覚えが……あ、アルゴーさんからだ。

 名前を覚えないアルゴーさんがフルネームで覚えていた――と、すぐ気づいていれば、アルゴーさんより早くとっ捕まえて団長さんたちに阻まれることもなかったかもしれないのに。悔やまれる……!


「シャーロット嬢?」

「え、あ。アルゴーさんに必死に訴えた理由ですね。それはですね……、犯人の顔はまったく見てないのでわかりませんでしたけど、私には気づくことができたんです」

「どういうことです?」

「私は矢で攻撃されたとき、とてもじゃないけれど犯人の顔を確認しようがありませんでした。しかし――」


 訝し気な団長さんに自信満々に伝えた。


「私は彼が指名依頼の手紙を届けに来たとき、その顔――いえ、姿を見て“この人、犯人だ!”とピーンと来たんです。“絶対逃がしてはならない。何が何でも捕まえなきゃ!”と強く感じました。私の直感でしかないですが、私はそれを頼りに今まで冒険者や受付嬢としてやってきたので、この直感を信じてアルゴーさんに捕らえるようお願いしたのです!」


 困ったとき定番の「私の直感!」だ。しかも今回は演技スキルを使用して堂々と話している。


「……ふむ、直感ですか」

「あっ、でも毎回毎回直感が働くわけではなくて、どうしてもわからないこともありますけど、今回はわかっちゃったんです」


 軽く濁してもおこう。


「なるほど、貴女にはそういったスキルがあるのかもしれませんね」

「だ、だといいんですけどぉ……。ふふふ」

 今回もうまいこといきそうだ。よかった。


「ふむ。では……」


 少し納得した様子の団長さんは、なぜか不意に片手を上げた。

 はて、どういう意味の行動だろうか。と思ったら、私はまた両脇を騎士二人に押さえつけられていた。


「え?」


 これまた突然なぜ? というか、団長さんが片手をあげたのは、両脇の騎士への合図だったということか。

 ドアからは、先ほどお金を運んできた人が、今度は平たい板のような物を持ってきていた。板の表面は両手のひらを広げたくらいの大きさだ。

 それから私は右手首を掴まれ、その板の表面に押しつけられた。

 団長さんがさわやかな笑顔で唐突にこのような質問をした。


「シャーロット嬢。イパスン・ガツィーコに射られた矢を所持していますね?」

「えっ、いいえ?」

 ぶーーっ!


 私も笑顔で答えたけど、手のひらの下にある魔道具からは「はい、それ嘘ー!」と鳴った。

 こ、この魔道具は……!


おまけ:200話記念。応接室に多くの者たちが入ってきた。


シャーロット(両腕をかかえられて)「読者の皆さん!毎日更新にお付き合いくださりありがとうございました!……って、ギルマス、助けてくださーい!」

ギルマス「記念の200回だからと来たはいいがどうなってんだ? ――皆、読んでくれてありがとうな!」

団長「シャーロット嬢は少し話を聞いたらすぐ解放しますよ、ご安心を。――200回まで読んでくれたこと、騎士団として礼を申し上げます」

サブマス「ありがとう皆。年末年始やそれ以降でも、ゆっくり読めるからね」

メロディー「皆様の応援のおかげですわ。ありがとうございます」

フェリオ「ありがと……!」

タチアナ「皆、ありがとうね!(なんだか悪夢を見ていたけど……気のせいよ!」

バルカン「ありがてぇな。冒険者代表として礼をいうぜ」

コト「皆ありがとー!ボクたち!(シャーロットさんどうしたんだろ?」

ワーシィ「まだまだ!(わからへんけど、近くにサブマスターさんいるで」

シグナ「がんばります!(これ以上近寄らないようにするわよ」


皆様ここまで読んでくださって、誠にありがとうございます!

それでは今年もありがとうございました!よいお年をお迎えください。(たぶん次回は年始以降?)


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