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175: 再戦⑤ ~キャー!~


 ガサガサと草木の音を立てて現れたのは、他の冒険者さんたちだった。

 そういえば近くで、『羊の闘志』さんたちが戦闘継続困難にならないかと虎視眈々と狙っていたのだっけ。


「こっちにも譲ってほしいね!!」

「お前ら『羊の闘志』は一回戦ったんだからいいじゃねえかよ!」

 ――ゴンゴン――!


 その二パーティーそれぞれのリーダーが参戦を申し出る。

 一人は女性リーダー、もう一人は男性リーダーだ。


「そもそもこの現場には、シャーロットよりこっちが先に来ていたんだから! シャーロットが障壁で参戦するなら、当然こっちにも参戦する権利があるよ!!」

 ――ギャリギャリ――!


 女性リーダーは元気があり余った声量で、私とバルカンさんたちに食いつく。

 ちなみに何かを叩いたり引っ掻いたりしている音は、私たちが出しているのではなく、新種の魔物が障壁に対抗している音だ。

 復活したばかりなのに閉じ込められた鬱憤を、叩いたりひっかいたりして出している。

 まるで、参戦の権利を主張する彼女らに、合いの手を入れているタイミングで面白い。


「つーか、シャーロットこそおとなしくそこで見ていろよ! ギルド職員がわざわざ名前を売る必要はないぞ!」


 男性リーダーもすごい気迫で迫る。

 言われずとも、私には名前を売る気がないのでご安心ください。

 新種の魔物の近くに来たのは『鑑定』を使ってもっとよく確認したかったからで、障壁を張っているのは安全性を考えてのことですので。

 さらに言うならば、魔物の移動を制限すればより安全に、素材を奇麗な形で残す戦いができるのではないでしょうか。

 二個めのペリドットも、ぜひそのままの形で持ち帰りたいですし!


 ――ゲーーン――!!


 今度の合いの手は、新種の魔物が思いっきり障壁を蹴った音だ。なんとかして壊そうとがんばっているらしい。

 足、痛いんじゃないかな。


「『魔物図鑑』に載せることで名声が欲しい! ……だけじゃなく、自分たちの力が新種にどれだけ通用するのか試したい、ということだからね……!」

「パーティーの名前を売るチャンスは今しかない! と……当然、新しい魔物と戦うという経験も大事だ!」


「だから自分らも交ぜろ!!」――と、二パーティーのリーダーたちは欲望丸出しの本音と、ほんのちょっとの建前で私たちに訴える。

 彼らの仲間たちも「そうだそうだ!」と身を乗り出している。

 その中の一人に、虎獣人さんがいるのを発見した。

 そういえば、女性リーダーのほうのパーティーに最近入ったんだっけ。

 この町に来たときはどうにも不安そうにしているのが印象的だったけど、今ではそんな雰囲気は微塵も感じなかった。

 彼らが今回の戦闘でここにいるのは、先日の誘拐やら馬車泥棒(その他もろもろ)事件で追跡と捕縛に参加していたからだ。つまり騎士団側の指名依頼でここにいる。

 このチャンスを逃さないと意気込むのも当然だ。


 ――ギュギュギュ、ギョリギョリ――!


 また森に奇妙な合いの手が響いたけど、これは殴る蹴るではびくともしないからと、新種の魔物が全身を使って障壁を押している音だ。

 自身の毛をこすりつけるかのように押し付けている。

 もちろん、こんなことでも私の障壁はびくともしない。


「お前ぇらな……」


 バルカンさんは二つのパーティーの言い分を聞きながらも、体力を回復するポーションを口にしていた。

 仲間たちも各々飲んでいる。

 まるで、私の障壁があるうちに回復しておこうとでもいうのか、仲間の大容量収納鞄(マジックバッグ)から出し、ゴクゴクと急いで飲んでいるのだ。

 彼らもまだまだ戦うようだ。

 二つのパーティーは『羊の闘志』を囲むように迫る。


「独り占めはよくないよね! それに、早くしないと王都から戻ってきた連中も来ちゃうよ。取られてたまるか!!」

「あっちも『新種の』魔物ってことで急いで帰ってきたに違いない! 北で足止めされているあいだに倒すんだ!!」


 ――ガン、ガン、ガンッ、キッッ――!


 帰ってきた冒険者パーティーに取られたくない! とすごい剣幕だ。

 王都から戻ってきたパーティーの中にはSランクの冒険者が二人いる。その人たちへの対抗心を燃やしているように感じた。


 それを聞いたゲイルさんも「確かにあいつら、『新種』って言葉に反応してたかもな~」なんてつぶやくものだから、二人のパーティーリーダーも「それみろ!」とさらに『羊の闘志』たちに詰め寄る。

 ところで肝心の新種の魔物は、今度は何をやっているのだろ?

 何をやっても私の障壁魔法を壊せるわけないのに……。


 ――私はやれやれと新種の魔物を見た。

 その魔物の動きに、目を疑った。

 なぜなら新種の魔物は頭を後ろに大きくそらし……。


 ――ガンッッ!! ピキッ――!


 障壁に、勢いよく頭を――額をぶつけていたからだ。

「……えっっ!?」


 思いっきり、――頭突きしていた。

 何も躊躇することなく、とにかく障壁から出たいがために、頭を打ちつけていたのだ……!


「――ッ、キャーー!! ペリドットォ~~!!!」


 新種の魔物の額からキラリと輝く粒状のものが落ちていくのは、みみ見間違い、かな?

 そうであってほしい!



おまけ:グラスアミメサーペントを相手にしている騎士団側も伝えたいことがあるようです。

アルゴー「コミック三巻には!メロディーが出ているぞ!」

騎士s「壁張り職人の私服がいっぱい見れるってよ!」

魔物討伐隊長「発売は、12月3日 金曜日だ!」


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