174: 再戦④ ~学園生が心配!~
そうだ、東門のことを考えないと。あのお目立ち三人組たちが心配だ。
いくら冒険者たちに「弱すぎる」と嫌われている“燃えさかる雑巾”相手だとしても、コトちゃんたちは学園生なのだ。
数の多さに圧倒されて劣勢になっていたら大変だ。
火が森にうつる危険を考えているからか、学園生たちは門や森からかなり離れて戦っているようで、私の『探索』スキルでは範囲外で状況がわからない。
東門で戦闘を開始したのは城門の上で聞いたけど、終了の報告はまだだ。
たとえ私が聞き逃していたとしても、終わっているならこっちに向かうはずなのにその様子もない。
うんそうだ、まず今は学園生の問題のほうが大事だから、図鑑についてはひとまず置いておこう。
名前を載せるのは強制じゃないはずだし、障壁はサポートなのだから私の名前なんぞ載せないでもらおう。
「シャーロットにそういう欲がねぇのはわかった。……が、……ん~、学園生らはよ、……あの雑巾相手にサブマスターや他の冒険者も付いてんだぞ?」
バルカンさんたちの反応からして、彼らも学園生たちの戦闘状況は知らないようだ。私が聞き洩らしているわけではないらしい。
確かに学園生だけでは出撃してはいない。
今回のことを提案したサブマスの他に、彼や学園生のサポートとして冒険者たちも連れていくと、私も少し聞いている。
……でもバルカンさん、大分考え込んでなかった……? あんまり乗り気じゃないのかな。
まぁ、新種の魔物と燃えさかる雑巾とでは、魅力が段違いなのはわかるけど……。
「燃えさかる雑巾は弱いですけど、数は多いじゃないですか。取りこぼして大変なことになってもいけないですし……」
「……今は夜だろ? 奴ら自身燃えてるから取りこぼしはすぐ見つけられるし、サブマスターならすぐ消せるじゃねぇか」
「……学園生のこと、心配じゃないですか? いくら……コトちゃんのように洞窟ダンジョンの魔物を一掃できる力を学園生全員が持っていたとしても、状況や数に圧倒されるかもしれませんし。あ、それに急なスタンピード召集だったから、コトちゃんたちったら早食いして、お腹痛くして不利な状況に陥っていたら大変です!」
ちょっと苦しい説得だったかな……。
そういえばあの三人、夕食ちゃんと食べられたのかな。
いやいや過保護になってはいけない。
「コトのことは心配無用だと思うが……まぁそのほうが向こうは手を焼か……おっと、何でもねぇ」
「え?」
そんなこんなで私たちが話し合いをしていたところ、横槍を入れる人たちが現れた。
「ちょっとっ、復活してんじゃん! どうなってんの!?」
「『復活』スキルか、ダンジョンボスか? 気になるけど、んなのは、あとあと~! 倒してからだ! そんで~、こっちにも参加させろー!」
冒険者たちがぞろぞろと私たちに詰め寄ってきたのだ。
サブマスがマンガを掲げ『キラキラ・ストロゥベル・リボン』に向ける。
カラク「さてでは、クイズ中によそ見をした君たちにチャンスをあげよう。このマンガの宣伝をやってみなさい」
コト「やった! えっとコミック発売っす!」
ワーシィ「それじゃわからんわ。『転生した受付嬢のギルド日誌』3巻が!」
シグナ「12月3日に発売です!」
コト「そ、それを伝えたかったんだもん!――よろしくっす~☆」